世界中でモビリティーデータが改善しつつあり、前例のない財政・金融政策の世界的な支援を受け、多くの経済はペースこそ異なるものの徐々に回復に向かっており、信用のファンダメンタルズも安定化しつつある。経済の改善に伴って企業が有機的に回復する中で、今後数年間は信用のファンダメンタルズが改善する可能性があると弊社はみている。 インフレ率を考慮 信用市場は引き続き、テクニカルな要因に支えられている。インフレ率を考慮すると、今の環境では多くの先進国市場の国債の実質利回りはプラスにならないだろう。このため投資家は投資適格社債市場、低格付け債(ハイイールド債)市場、新興国市場、アジアの信用市場に目を向けている。 世界の信用市場は、リスクを勘案すると、おおむね適正に評価されている。それに加え、経済の回復に伴いスプレッドが縮小する見通しの市場には、かなりの好機があるとみている。 またアジア、特に中国や、重要な中央銀行の支援が続いている欧米の非金融部門にも多くの機会がある。特にアジアの信用市場は、今後1~3年間投資家にまずまずのリターンをもたらすとみられる。 各国の財政・金融政策は、世界的なデフォルト(債務不履行)の減少と、経済の回復を大いに促している。2020年は多くの債券が格下げされたが、その大半はエネルギーや小売業など予想されていた産業だった。世界経済が最終的に回復するにつれ、デフォルトの水準は半年前の予想を大きく下回るだろう。 アジアと中国の成長率は大幅に回復しているため、われわれはアジアのハイイールド債と投資適格債両方への投資を増やしている。ボトムアップの視点から、これらの経済は中国主導で急回復が予想されるからだ。とは言え、アジアでも産業や市場によって、勝者と敗者が分かれると予想される。 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で世界と世界経済の構造には、いくつか恒久的な変化がみられる。一部の部門はその影響を大きく受けそうだ。例えば、インターネット上の消費活動が増えているため、電子商取引プラットフォームを持つ企業に有利に働く。経済が平常に戻ったときに出張が減少するかどうか、商業用不動産や個人向け不動産への需要が維持されるかどうかはまだわからない。これは航空会社や接客業、商業用不動産などの部門にマイナスの影響を及ぼす可能性がある。 各企業の業績注視 サプライチェーン(供給網)のプラットフォームを多様化し、生産拠点を中国からスリランカやインド、カンボジア、ラオス、バングラデシュなどに移転する企業が増えることも予想される。これはコスト削減のためというよりも、特定の国に集中するリスクの軽減や地政学的な緊張への対応が理由だ。ただし、これらの国の生産コストははるかに低いが、労働効率も低いことを考慮しなければならない。このためトップダウンとボトムアップのアプローチが必要だ。新型コロナの影響を受けた部門の勝者と敗者を特定するためには、経営陣に働きかけて各社のパンデミックに対する戦略を理解する必要がある。 パンデミックの影響とそこからの回復は今後12カ月間、アジアの投資家にとって大きな関心事になるだろう。アジアでは中国や韓国、日本、オーストラリアなどの国々が相対的にうまく対応している。一方、インドやインドネシアなど他国では、感染者数が依然として増加している。投資家は経済の動向やソブリン債の格付け、個々の企業の業績を注視する必要がある。
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