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2021年スピーカーズ・シリーズ特別編〜長期経済予測とその先を見据えて〜における四つの主要なポイント

長期的に資産クラス全般でリターンが低下し、変動しやすくなると見込まれます。しかしながら、アクティブ運用により優れた超過収益獲得の機会を見つけられるでしょう。

PIMCOは今年、創業50周年を迎え、年に一度開催される長期経済予測会議(セキュラー・フォーラム)は、今年9月の開催をもって40回目の節目を迎えました。2021年のスピーカーズ・シリーズ特別編〜長期経済予測とその先を見据えて〜では、アジア太平洋地域のお客様に、フォーラムの結論と投資家にとっての長期経済展望の意味合いについてお伝えできたことを嬉しく思っております。

今回のサミットでは、PIMCOの投資プロフェッショナルに加え、グローバル・アドバイザリー・ボードのメンバーである元米連邦準備制度理事会(FRB)議長のベン・バーナンキ博士が、向こう5年の世界経済に影響を与える主要な要因についての見解を述べました。本稿では、幅広い議論の中から得られた、四つの主要なポイントをお伝えします。

  1. グリーンエネルギー、テクノロジー、社会の変革は、広範囲にわたって影響
    最新の長期経済展望「変革への備え」で述べたように、今後数年にわたり、三つの大きなトレンドが、世界経済と市場の変革を牽引することになるでしょう。
    • グリーンエネルギーへの移行:各国政府や企業セクターが2050年までに二酸化炭素のネット・ゼロ・エミッション(実質排出量ゼロ)の達成を掲げているため、再生可能エネルギーへの大規模な投資と、いわゆるブラウン産業と呼ばれる炭素集約型産業からの撤退が必要になります。実質排出量ゼロへの道のりは平坦ではなく、投資家はその過程で座礁資産の問題への対処を迫られます。
    • デジタル化と自動化の動き:今回の新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的流行)で拍車がかかり、企業のテクノロジー投資はこの1年半で急増しています。こうした動きは、新たな雇用を生み出し、既存の雇用者の生産性を高めることで、全体として経済的な成果の向上につながりますが、一方で勝者と敗者を生み出すことになります。さらに、所得と資産の格差を悪化させ、それが政治システムにおけるポピュリズムと分極化を助長する可能性があります。
    • 格差解消のため対策促進:より顕著になると見込まれます。中国政府は現在「共同富裕」を重点施策に掲げており、米国のバイデン政権も「持てる者と持たざる者の格差拡大」の問題に取り組む意向を示しています。

  2. 不確実性が高まり、変動が大きくなり、成長とインフレのばらつきが拡大
    パンデミック前の十年は、低水準ながら安定した成長、目標以下のインフレ、抑制された金融市場のボラティリティに特徴づけられる「ニュー・ノーマル」の時代でしたが、それはもはや過去のものになりました。今後は、不確実性が高まり、変動が大きくなり、景気サイクルは短期化し不安的なものになるとみられます。また、前述の三つの大きなトレンドにより、国や地域によるばらつきが大きくなるとみています。

    インフレ率の変動も激しくなる見通しです。PIMCOでは、インフレのテールリスクは両方向で肥大化しているとの見方を継続しており、インフレ率がかなり高い時期とかなり低い時期が訪れる可能性が高まっているとみています。財政積極主義と炭素価格の上昇はインフレ圧力となりますが、テクノロジーによる生産性向上はインフレ抑制にはたらきます。一方、高水準の債務は債務デフレのリスクを高め、負の成長ショックはバランスシート不況につながる可能性があります。

    長期のインフレリスクは全体としては比較的バランスが取れていますが、米物価連動国債(TIPS)やコモディティは、ここ数四半期でバリュエーションが上昇したものの、長期的な観点から十分に魅力的だと考えられることから、インフレヘッジの手段として検討する価値があるでしょう。

  3. 期待リターンの低下から求められる、ポートフォリオのアクティブ運用
    新型コロナ危機を受けて積極的な金融・財政政策が取られたことで、リターンは前倒しされました。そのため投資家は、今後5年から10年の間、株式と債券両方について期待リターンを引き下げるだけでなく、過去10年に比べて、不確実性とボラティリティが高まることに備えなければなりません。

    こうした状況下でリターンを追求するには、投資家は創造性を高め、より幅広い投資機会に注目する必要があります。特に、よりグローバルな視点を持ち、さらなる機動性を確保することが理に適っています。またポートフォリオの一部をプライベート市場に配分することも検討の対象になるでしょう。プライベート市場は、非流動性と複雑性のプレミアムを利用して、公開市場よりも魅力的なリスク調整後リターンが期待できます。

    さらに、前述の三つの大きなトレンドは、市場の混乱につながり、忍耐強い投資家にとっては魅力的な超過収益獲得の機会になりうる点も強調しておきたいと思います。例えば、気候変動をめぐる技術的な創造的破壊と規制の動向は、不確実性と複雑性をもたらしますが、同時に投資機会ももたらし、ブラウンからグリーン経済への移行において勝者と敗者の両方を生み出すことになるでしょう。これらを総合すると、今後数年は、ポートフォリオのアクティブ運用が特に重要になると考えられます。

  4. エマージング市場と証券化商品が好調に推移する可能性
    エマージング市場のバリュエーションは、先進国の多くの市場と比較して適度に魅力的です。特にアジアでは、力強い成長と資本市場の発展が期待されています。しかしながら、成長ダイナミクスのばらつき、政策の不確実性の高まり、現下の貿易摩擦を考慮すると、投資を厳選する必要があり、エマージング市場をパッシブ投資のベータの対象としてではなく、幅広い投資機会として捉える必要があります。中国の共同富裕の推進で、一部のセクターでは不確実性が高まっていますが、グリーンエネルギーなど他のセクターには投資機会があるとみています。ただし、政府の政策や固有のリスクにより、発行体間のばらつきがさらに大きくなると見込まれるため、慎重な銘柄選択が求められます。

    またモーゲージ債や資産担保証券などの証券化商品や担保付の投資機会についても、概ね楽観的な見方をしています。変化と不確実性に満ちた世界において、投資の裏付けとなる実物資産を保有することは安心材料になります。

    最後に、短期的には景気の継続的な回復に伴い、金利に上昇リスクがあるものの、長期的にはレンジ内にとどまるとみています。コア債券への資産配分ではリターンは低下しつつもプラスのリターンを確保できると予想しています。また債券はアセットアロケーション・ポートフォリオ全般で引き続き分散効果を発揮するとみています。

PIMCOの世界経済の展望の詳細については、最新の長期経済予測「変革への備え」の全文をご覧ください。


(2021年11月19日発行)

著者

Robert Mead

アジア太平洋共同運用統括責任者

Tomoya Masanao

ピムコジャパンリミテッドの日本における代表者兼アジア太平洋共同運用統括責任者

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アルファは、ポートフォリオのリスク調整後パフォーマンス(ベータによって測定されたファンドのリスク水準に対する、ファンドの実際の運用成績と予想運用成績の差)を示しています。あるポートフォリオのアルファがプラスであっても、そのポートフォリオの実際のトータル・リターンがマイナスになる可能性もあります。

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