トピック5:金利上昇時に投資家がとるべき行動

債券投資家が最も不安を感じるのは、金利上昇時でしょう。価格の下落を心配し、売却することが最善の手段と考えるかもしれません。しかし金利上昇は、債券投資家にとって常に悪いというわけではありません。金利上昇を上手く乗り切り、プラスに変える方法も存在します。

債券投資家が最も不安を感じるのは、金利上昇時でしょう。価格の下落を心配し、売却することが最善の手段と考えるかもしれません。しかし金利上昇は、債券投資家にとって常に悪いというわけではありません。金利上昇を上手く乗り切り、プラスに変える方法も存在します。

債券投資家にとっての金利上昇のメリット

金利上昇は債券投資家にとって好都合だというのは逆説的に聞こえるかもしれません。しかし、プラスになる可能性は確実に存在します。

ポートフォリオの長期的な成長のために、市場の高金利の環境を活かした再投資はその典型です。

たとえば、ある投資家が保有する債券で、クーポンの利払いや満期到来による元本の返済があるとしましょう。その投資家は、その資金を債券市場で再投資することを決めたとします。

もし金利が上昇していれば、投資家は利回り上昇の恩恵を受けることができます。しかし反対に、金利が低下している局面で再投資すれば、低い利回りを受け入れざるを得ません。

金利上昇局面では、一般に金利変化に対する感応度が低い、満期までの期間の短い債券(別の言い方をすれば、デュレーションの短い債券)に投資することが合理的です。デュレ―ションに関するより詳細な説明は、シリーズ 2―トピック2 デュレ―ションの意味と役割 をご参照ください。

投資アプローチの重要性

投資家が金利上昇の影響をどのように受けるかは、個別の債券への直接投資、パッシブ・ファンドの利用、あるいはプロの投資家によるアクティブ運用のファンドなど、投資アプローチによって異なります。

投資アプローチとその意味

直接投資

個別債券を保有(直接投資)する場合、単純に満期まで債券を保有し続ければ、金利上昇時でも元本の損失確定を避けることが可能です。クーポンを継続して受け取ることができ、満期時には受け取った元本で、より利回りの高い債券に再投資することが可能です。

パッシブ債券ファンド (たとえばETF)

債券市場のパフォーマンスは金利上昇に応じて低下し、同様に債券の指数(インデックス)に連動するパッシブ債券ファンドも下落します。投資家は保有シェア売却により元本の損失を確定させることができますし、パフォーマンスが改善するまで保有し続けることもできます。

アクティブ債券ファンド

金利上昇時には、債券のアクティブ運用者が運用するファンドへの投資が有利となる場合があります。アクティブ運用者、特に投資制限のない運用を行なう運用者は、上昇する金利やその他の市場環境を的確にとらえ、世界の債券市場で投資家に魅力的な投資機会を見つけ出そうとします。たとえば、ある国で金利が上昇していても、他の国ではそうでない場合があります。

もちろん、アクティブ運用者が目的を達成できず、指数のパフォーマンスを下回る可能性もあります。

債券投資の種類に関するより詳細な説明は、シリーズ3-債券投資の方法をご参照ください。

金利が変動すると、不安を抱くのは住宅ローンを借りている人ばかりではありません。「これだけは知っておきたい5つのこと~金利編~」をみる

金利上昇時のデュレ―ションの役割

一般に、デュレ―ションの長い債券は、短い債券よりも金利の変化に敏感です。そのため、金利が上昇した場合、デュレ―ションの長い債券の価格は、デュレ―ションの短い債券よりも大きく下落します。

金利上昇局面で、ポートフォリオの金利に対する感応度を減らしたい投資家は、債券の保有を、特にデュレ―ションの長い債券の保有を減らしたいと考えるかもしれません。

しかし、ポートフォリオからデュレ―ションを取り除いてしまうことには注意が必要です。長期デュレ―ション投資は、ポートフォリオ全体の分散において重要な役割を果たし、市場環境が変わった際のバッファーとして機能する場合もあります。

もし投資家がポートフォリオ全体のリスク水準に満足しているのであれば、ポートフォリオをそのままにしておくことにも意味があるでしょう。

デュレ―ションに関するより詳細な説明は、シリーズ 2 -トピック2 デュレ―ションの意味と役割をご参照ください。