デュレ―ションの意味と役割

デュレ―ションは債券市場の話題の中で頻繁に登場する言葉で、債券投資のリスクを理解するうえで大切な概念です。投資家に債券投資についてアドバイスする際は、デュレ―ションについて十分理解しているかを確認することが重要です。

ュレ―ションは債券市場についての説明の中で頻繁に登場する言葉で、債券投資のリスクを理解するうえで重要な概念です。

デュレ―ションとは

債券のリスクを測るにはさまざまな側面を考慮しなければなりません。その中で最も代表的なものがデュレ―ションで、債券や債券ポートフォリオの金利に対する感応度(どのくらい影響を受けて変動するか)を数値化したものです。金利は債券価格を決定する主な要因であるため、デュレ―ションは重要なリスク指標となります。

デュレ―ションの単位は年数で表され、債券の利回り、クーポン、満期、期限前償還の特性を反映しています。

ある債券のデュレ―ションとは、金利が上昇した場合に、その債券の価値がどれほど低下するのかを示すものです。一般的に、デュレ―ションの長い債券は、短い債券よりも価値の損失が大きくなります。

デュレ―ションには様々な計算方法や種類がありますが、一般的には「実効デュレ―ション」を指します。これは、金利の変化(%)に対して、債券の価格のおよその変化割合(%)を表すものです。

たとえば、金利が1%上昇すると、デュレ―ションが1年の債券の価格は1%低下します。もしデュレ―ションが5年であれば、同じ1年の金利上昇でも価格は5%低下します。

逆に金利が低下した場合には、デュレ―ションの長い債券は、短い債券よりも大きく価格が上昇します。

たとえば、金利がもし1%低下すれば、デュレ―ションが1年の債券の価格は1%上昇します。デュレ―ションが5年であれば、同じ1%の金利低下でも価格は5%上昇します。

債券の運用者によるデュレ―ションの活用方法

デュレ―ションとは、債券の運用者がポートフォリオ構築やリスク管理をする際に極めて有用なツールとなります。経済見通しの変化に応じて、運用担当者は投資目的に沿うように債券ポートフォリオの平均デュレ―ションを調整することができます。

このようなデュレ―ションの調整は、ポートフォリオ全体でもできますし、ポートフォリオの一部のセクターでも可能です。金利低下を予測する運用担当者は、ポートフォリオのデュレ―ションを長期化し、逆の場合は短期化します。

金利上昇に確信を持っている運用担当者は、価値の最大化を狙って、デュレ―ションを「マイナス」にする場合もあります。

アクティブ運用に関するより詳細な説明は、シリーズ 3-トピック 2―債券のパッシブ運用とアクティブ運用との違い をご参照ください。

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投資家はデュレ―ションを投資判断の材料としてどう使えばよいか?

どの債券に投資するかを決める際、投資家は将来の金利の行方に対する見方と共に、ボラティリティに対する選好度も考慮する必要があります。

リスクを回避したい投資家、言い換えれば保有資産の価値が大きく振れることに懸念を抱く投資家は、デュレ―ションが短い債券戦略を考えるべきです。また、もし投資家が債券の満期までに金利が上昇すると予想すれば、デュレ―ションの短い債券が望ましい投資と言えるでしょう。

一方、リスクに対する許容度が高い、あるいは債券の満期までに金利が下がると予想する投資家は、デュレ―ションが長い債券に魅力を感じるでしょう。

デュレ―ションに基づいた債券ポートフォリオの選択

プロが運用する債券ポートフォリオを選ぶ場合は、デュレ―ションの違いに基づいて債券戦略を選ぶことが可能かもしれません。典型的な選択肢としては、

ポートフォリオのタイプと平均デュレーション

短期デュレ―ション

平均デュレ―ション:1-3年

低金利の環境下で、マネー・マーケット商品より利回りの良い代替投資として多く利用されています。

中期デュレ―ション

平均デュレ―ション:2-5年

マネー・マーケットや短期デュレ―ションのポートフォリオよりもやや高いリターンを期待して、多めのリスクを取ることができる投資家向けです。

長期デュレ―ション

平均デュレ―ション:6-25年

株式投資に代替する比較的安定した投資として、あるいは保有している負債のデュレ―ションに合わせたポートフォリオとして使用されています。

債券投資の種類に関するより詳細な説明は、シリーズ 3-債券投資の方法をご参照ください。

デュレ―ションの限界

デュレ―ションは債券のリスクを測るうえで非常に有益なツールですが、完全ではないことを理解する必要があります。たとえば、発行体信用力は考慮されていません(債券の評価に関するより詳細な説明は、シリーズ 1のトピック 2-債券が利益(リターン)を生む仕組み をご参照ください)。

もう一つの限界は、債券ポートフォリオの中で債券が満期を迎えたり金利が変動したりすると、ポートフォリオの平均デュレ―ションが変わるということです。これを懸念する投資家は、投資戦略の平均デュレーションを定期的にチェックするか、アクティブ運用者に一定の範囲内での運用を任せるべきでしょう。

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