インフレが債券に与える影響

インフレがモノとサービスの価格の上昇を意味することは、広く投資家に知られています。また、インフレがとりわけ債券投資に大きな影響を与えることもよく知られています。しかし、債券市場は巨大で、債券には様々な種類があります。あらゆるインフレ環境に対処する機会も数多く存在します。

ンフレーション(インフレ)がモノとサービスの価格の上昇を意味することは、広く投資家に知られています。また、インフレがとりわけ債券投資に大きな影響を与えることもよく知られています。

しかし、債券市場は巨大で、債券には様々な種類があります。どんなインフレ環境であっても、投資機会は数多く存在します。

インフレとは

インフレとは、簡単に言えばすべての価格水準の継続的な上昇であり、その結果、購買力を低下させるものです。大半の国では、健全な経済成長を示す適度なインフレを志向していますが、実際には望ましい水準を上回ったり、それに届かない場合もあります。

  • ハイパー・インフレ―ションは、供給をはるかに上回る需要が発生した場合に発生します。強い需要に対し、生産者が価格を引き上げ、それが極端に進めば、急上昇のスパイラルとなってインフレが進みます。
  • ディスインフレーションは、財やサービスに対する需要が後退し始め、インフレが減退していく時期を表しています。経済成長が緩やかな時期や、政府によってインフレ鎮静化の慎重な政策対応がとられた場合に発生することがあります。
  • デフレーション(デフレ)は、需要が低迷し物価が下落する状態を言います。極端な場合には、景気後退(リセッション)、さらには不況(デプレッション)につながります。

インフレの測定方法
インフレにはいくつかの指標があります。おそらく最も多く使用されるのは消費者物価指数(CPI)で、住宅、輸送、ヘルスケアなどを含む、モノやサービスの小売価格を反映したものです。

経済学者や中央銀行は、よく「コア・インフレ率」を用います。これは、総合インフレ率から食料品やエネルギーなど、変動の著しいものを除いたもので、好ましくない計測上のゆがみが取り除かれています。

そのほかの指標としては、個人消費支出(PCE)価格指数があげられます。CPIよりも広い範囲の支出項目をカバーしているため、米連邦準備制度理事会(FRB)はこれを重視しています。

インフレの要因

インフレには様々な要因があります。最も顕著なものは商品(コモディティ)価格の上昇で、コストプッシュ(原価上昇)型と呼ばれるインフレの一例です。企業がコストの上昇分を消費者に転嫁することによって発生します。

典型的な例が原油です。原油価格が上昇すればガソリンの値段も上昇し、その結果、輸送を必要とするモノやサービスの生産費用が上昇するため、生産者はそのガソリンの値段の上昇分を価格に反映させます。

インフレを加速させるもうひとつの例は、高い雇用水準が賃金上昇をもたらす場合です。労働者の賃金上昇により、一時的にモノやサービスに対する需要が供給を上回るため、生産者は値上げを行います。

また、為替の動きもインフレ率に影響を与えます。たとえば、ある国の通貨が安くなれば、その国では輸入品の価格が上昇し、物価が全般に押し上げられます。

もう一つのインフレの種類はデマンドプル(需要牽引)型と呼ばれるインフレです。中央銀行による急激なマネーサプライの拡大などにより、経済全体の需要が急激に上昇した場合に、モノやサービスの生産拡大が追いつかずに発生するものです。供給を上回る需要が価格の上昇につながります。

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インフレが投資家に与える影響

インフレは、貯蓄や投資で得た利益の将来における購買力を低下させることになり、投資家にとっては厄介な問題です。

たとえば、インフレ率が3%のときに2%の投資リターンでは、実質リターン(インフレ調整後のリターン)は-1%と、マイナスのリターンとなってしまいます。

満期まで定期的な利子の額が確定している債券(Fixed Income)投資にとっては、特に悩ましい問題で、インフレによってその利子の購買力が時間とともに低下していくことになります。

このような関係から、債券の金利は次の2通りで表すことができます。

  • インフレを考慮に入れない名目金利、または
  • 名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利(たとえば、債券の名目金利が5%で、インフレ率が2%の場合、実質金利は3%)

購買力以外でもインフレは債券に影響を与えます。インフレ率がある一定のレベルを超えると、消費者の支出を抑えようとする中央銀行の政策によって、金利は上昇する傾向があります。その結果、債券価格は低下し、投資の全体的な収益も減少します。

購買力維持のためにできること

投資家の将来の購買力を維持または向上させるためには、投資資金がインフレ率に遅れを取らない方法を考える必要があります。債券市場では、以下のような手段が考えられます。

  • 変動利付債は、あらかじめ決められた金利に連動してクーポンが増減する債券です。一般に金利はインフレに同調して上下する傾向があるため、完全ではないにせよ、変動利付債はインフレとの相関が高いと言えます。
  • インフレ連動債は、その名の通りインフレの変化に連動した債券で、政府によって発行されます。債券の元本と金利の両方がCPIの変化に連動しているため、投資家にとってインフレのバッファーや防御の役割を果たします。

債券のアクティブ運用会社は、物価上昇の影響を受けにくいセクターや特定の国または地域に資金を移動させることにより、インフレ傾向が強い経済環境下でもインフレ率を上回るリターンを目指します。