経済・マーケット関連

アジアトレードフロアより2020年第2四半期アップデート

ポートフォリオ・マネージャーのスティーブン・チャンが、PIMCOが考える最近のアジア・クレジット市場の展望と投資機会についてお話します。

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アジアのクレジット市場は3月以降、非常に不安定になっています。世界中のアセットで全般的に、大規模なリスクオフの動きが起きています。

世界のクレジット市場ではスプレッドが劇的に拡大しましたが、アジアでは特にハイイールド債が売り込まれました。ご存じのとおり、こうした動きを引き起こしているのは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済混乱です。過去数週間、様々な事業が突如停止を余儀なくされたことで、ファンダメンタルズがマイナスに転じました。

さらに3月初旬にOPECプラスが減産合意で決裂したことを受け、原油価格が急落し、最近協議が再開されたとはいえ、エネルギー・セクターへのさらなる打撃になりました。

市場にはテクニカルな圧力もあります。その一つは現金需要で、現在、多くの企業が収益が得られない中で現金の枯渇に直面しています。同時に、ボラティリティの急上昇で、リスク選好は大幅に減退し、流動性の低下により、市場参加者の取引能力は低下しています。

流動性懸念に対処するために、政府が迅速な行動をとったことは好材料です。米連邦準備制度理事会(FRB)の緊急対策により、アジアのクレジット市場も落ち着き始めています。様々な資金調達プログラムが打ち出された3月中旬以降、状況は大幅に改善しています。

アジアのクレジット・スプレッドは大幅に拡大しており、概ね米国の類似銘柄と同様の動きになっています。

向こう6カ月で、中国の景気は回復するのでしょうか?

中国はいち早くロックダウン(封鎖措置)を実施したことから、他国の良きロードマップになる可能性があります。高頻度データでは回復の動きが緩慢であることが示されています。電力消費量、工場の生産能力、不動産販売の回復の程度はまちまちです。引き続きかなりの不確実性があり、感染拡大の点でも世界的な需要破壊の点でも、第2波の影響を受ける可能性があります。生産が2019年後半の水準に戻るのは、2020年第4四半期か2021年第1四半期になるとみています。

ジレンマは、政策立案者が財政および金融政策を通じて、景気を刺激したい意向であるのに対し、中国は以前デレバレッジを進めていたことから、過度な信用主導による拡大を回避しようとすると思われる点です。

アジア・ハイイールド・セクターのデフォルトに対する見方は?

新型コロナが最初に発生してから、そして市場と一般の人々がそれを理解するための時間を考えると、まだ2カ月しか経っていません。

私共が対話した企業の多くは、引き続き適切な対策の立案に取り組んでいます。どの設備投資を削減できるのか、予め用意していた融資枠に手をつけるべきかどうか。こうした問題への取り組み方は、企業ごとに大きなばらつきがあると見受けられます。

デフォルト件数は感染拡大前に予想した水準よりも、増加する可能性があります。どこまで上昇するかは不透明で、引き続き検討が必要です。ただ、市場はきわめて前向きであり、最善を尽くして、この未曾有の事態を織り込もうとしていることはお伝えできます。デフォルト率が世界的金融危機の時以上に悪くならない限り、現時点で割安な領域があるとみられます。

この問題を別の角度から見ると、アジア・ハイイールド市場では、2020年に償還を迎える米ドル建て債が特に多いわけではありません。私が管理する発行体の多くは1月初旬に借り換えをしています。発行体にとってクーポンを支払うことができる限り、デフォルトの問題はそれほど深刻でないでしょう。より大きな試練は2021年にやってくるでしょう。

現在の市場における投資機会はどこにあるのでしょうか?

セクター別では公益事業について前向きな見方をしています。同セクターは過去の不安定な時期にも高い耐性を示しました。また銀行は総じてファンダメンタルズが健全です。社会的距離戦略が取られ在宅勤務に対する対応が必要になることから、ハイテク・セクターは構造的な成長を続けるでしょう。ビジネスのトレンドは引き続き柔軟な労働力にシフトするでしょう。現在の混乱した状況でも、クラウドコンピューティング関連企業は好調なはずです。

クレジット・スプレッドはかなり広がっています。ただ割安な銘柄が必ずしも優良な銘柄とは限らないことを投資家は念頭に置いておくべきです。信用格差はさらに顕著になるでしょう。

そしてアクティブ運用者にとって今は銘柄を選別し、規律を保ちながら忍耐強く、資本を組み替えるのには好機とであると言えるでしょう。

ご留意事項


2020年4月14日撮影

本ビデオはPIMCO Asia Limited により香港で発行されたものですが、香港の証券先物委員会によるレビューを経たものではありません。本ビデオはPIMCO Asia Pte Limited によりシンガポールで発行されたものですが、シンガポール金融管理庁によるレビューを経たものではありません。

全ての投資にはリスクが伴い、価値は下落する場合があります。外貨建てあるいは外国籍の証券への投資には投資対象国の通貨価値の変動や経済及び政治情勢に起因するリスクを伴うことがあり、新興成長市場への投資ではかかるリスクが増大することがあります。債券市場への投資は市場、金利、発行体、信用、インフレ、流動性などに関するリスクを伴うことがあります。ほぼ全ての債券及び債券戦略の価値は金利変動の影響を受けます。デュレーションの長い債券及び債券戦略は、より短い債券及び債券戦略と比べて金利感応度と価格変動性が高い傾向にあります。一般に債券価格は金利が上昇すると下落し、現在のような低金利環境ではリスクが高まります。債券取引におけるカウンターパーティーの取引能力の低下が市場流動性の低下や価格変動制の上昇をもたらす可能性があります。債券への投資では換金時に当初元本を上回ることも下回ることもあります。モーゲージ担保証券と資産担保証券は金利水準に対する感応度が高い場合があり、期限前償還リスクを伴い、また、発行体の信用力に対する市場の認識に応じてその価格は変動する可能性があります。また、一般的には政府または民間保証機関による何らかの保証が付されていますが、民間保証機関が債務を履行する保証はありません。高利回りで低格付けの証券はより高格付けの証券よりも高いリスクを伴います。また、それらへ投資しているポートフォリオは投資していないポートフォリオに比べてより高いクレジット・リスクと流動性リスクを伴う場合があります。株式の価値は一般的な市場、経済、産業の実体と見込み両方の状況によって減少する可能性があります。デリバティブ商品とモーゲージ関連商品を利用することにより、コストが発生する可能性があり、さらに流動性リスク、金利リスク、市場リスク、信用リスク、経営リスク、そして最も有利な時点でポジションを清算できないリスクなどが発生する可能性もあります。デリバティブ商品への投資により、投資元本以上の損失を被る可能性もあります。 金融市場動向やポートフォリオ戦略に関する説明は現在の市場環境に基づくものであり、市場環境は変化します。

本ビデオで言及した投資戦略が、あらゆる市場環境においても有効である、またはあらゆる投資家に適するという保証はありません。投資家は、自らの長期的な投資能力、特に市場が悪化した局面における投資能力を評価する必要があります。投資判断にあたっては、必要に応じて投資の専門家にご相談ください。

本資料には、本資料作成時点でのPIMCOの見解が含まれていますが、その見解は予告なしに変更される場合があります。本資料は情報提供を目的として配布されるものであり、投資助言や特定の証券、戦略、もしくは投資商品の推奨を目的としたものではありません。本資料に記載されている情報は、信頼に足ると判断した情報源から得たものですが、その信頼性について保証するものではありません。特に注記しない限り、データは2020年4月14日現在です。

ピムコジャパンリミテッドが提供する投資信託商品やサービスは、日本の居住者であり、かつ法律による制約のない方に対して提供するものであり、かかる商品やサービスが許可されていない国・地域の方に提供するものではありません。運用を行う資産の評価額は、組入有価証券等の価格、デリバティブ取引等の価値、金融市場の相場や金利等の変動、及び組入有価証券の発行体の財務状況や信用力等の影響を受けて変動します。また、外貨建資産に投資する場合は為替変動による影響も受けます。したがって投資元本や一定の運用成果が保証されているものではなく、損失をこうむることがあります。運用によって生じた損益は、全て投資家の皆様に帰属します。

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本資料の一部、もしくは全部を書面による許可なくして転載、引用することを禁じます。本資料の著作権はPIMCOに帰属します。THE NEW NEUTRALは、パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー・エルエルシーの米国およびその他の国における商標です。 PIMCOは、アリアンツ・アセット・マネジメント・オブ・アメリカ・エル・ピーの米国およびその他の国における商標です。

(注)PIMCOはパシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー・エルエルシーを意味し、その関係会社を含むグループ総称として用いられることがあります。©2020, PIMCO

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