投資を理解する 債券市場における持続可能性―楽観的になれる三つの理由 ESGミニシリーズ 第一弾:債券投資家はサステナブル(持続可能)な金融市場を築くためにどう貢献できるのでしょうか?加速するマクロトレンドをもとに、楽観的な見方をしている理由をお話します。
2020年のサステナビリティ オリビア・アルブレヒト:多くの人々にとって2020年は目覚めの年でした。投資家はこの世界がいかに相互につながり、依存し合い、また脆弱であるかに気づきました。隣人の問題は一夜にして自分自身の問題になる可能性があります。そう考えれば、気候変動が世界にもたらす潜在的課題が見えてきます。 今回の新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的流行)は、間違いなく21世紀初のサステナビリティ(持続可能性)の危機だといえます。そして、長期的なサステナビリティ・リスクに対する投資家の認識と行動は、新型コロナウイルス後も益々拡大していくことは明らかです。2020年にかけてESG投資は本格化し始めましたが、新型コロナウイルス収束後も、このトレンドは加速する一方で、減速することはないとみられます。 債券市場において加速するサステナビリティ そこで、まずスコットに聞きます。新型コロナウイルスと2020年の出来事は、サステナブル投資にどのような影響を与えたのでしょうか。 スコット・マザー:既にあったトレンドを加速させたのは間違いない、と考えています。トレンドは加速していましたが、そのスピードがさらに速まったとみています。今回の危機の直接的な影響を乗り越えたあとは、先ほど言及していた理由から、トレンドの動きはさらに速まるでしょう。 今回のパンデミックでは、世界がいかに脆弱で、相互につながっているかがあらわになり、世界規模でより良い成果を達成するために協力する必要性が意識されるようになりました。産業界や資産運用業界おいては、まさにその通りです。 だからこそ、産業界や資産運用業界はサステナビリティに注目し、注目を高めています。そして、現在の危機がひとつのきっかけとなり、より多くの人々が、長期的に意味のある資産運用を模索するようになるとみています。 楽観的になれる理由①:重点的な市場イノベーション サステナビリティが今後、社会全体、特に産業界や資産運用業界において、より存在感を増すのは間違いないと楽観的な見方をしています。そしてPIMCOでは、サステナビリティは中・長期的にみて、経済の成長と回復力を最大化する鍵になると考えています。 それは多くの点で明らかになっていきますが、特に向こう1年は、より多くのデータが得られ、それが投資家に役立つとみています。また、特例の新型コロナウイルス債、ソーシャルボンド、グリーンボンドなど、サステナビリティの理念に沿った新たな金融商品も増えていくでしょう。そのため、投資家が活用すべきイノベーションと、新たな進展という意味で、多忙な1年になるだろうと、PIMCOでは考えています。 オリビア・アルブレヒト:次に、イェレに伺います。向こう1年で、最も楽観的にみている点を教えてください。 楽観的になれる理由②:大気の質と社会的平等 イェレ・バロンズ:最近のことですが、ついに澄んだ青空を見ることができました。多くの人がそのことを喜んでいると思います。基本的に、空がきれいな未来を実現することは可能です。道路上の車を減らし、走行車が発生する汚染物質を減らし、環境を改善することはできるのです。 そしてここ数ヵ月、注目を集めている、もう一つの大きなテーマが不平等です。人種や所得、従業員の処遇に基づく不平等は、注目が集まれば集まるほど解決に向かいます。私はその行方に、非常に興味を持っています。大きな変化が起こるはずで、PIMCOはそれを支援することができます。 楽観的になれる理由③:ESG機運の高まりから実践へ オリビア・アルブレヒト:最後のまとめとして、私が最も楽観的になれる理由についてご説明いたします。今日お話しした複雑かつ困難な課題に対して、革新的なソリューションの設計を支援するには、発行体、規制当局、資産運用会社、資産保有者の、サステナブル投資に関わるモメンタムを総動員する必要があります。PIMCOでは、戦略やポートフォリオの執行を通じて、課題を活用し、革新的なソリューションを見つけることができます。発行体から得られる新たなデータにアクセスしながら、社内で独自リサーチを行ない、世界中のお客様が、財務目標だけでなく、サステナビリティと連動した目標を達成できるソリューションを設計することができるのです。 最後に、PIMCOの視点から見えているいくつかの知見をお伝えいたします。PIMCOは独自の投資プロセスを通じて、50年にわたり市場環境の変化に動じることなく、何百万人もの投資家の皆様の投資目標達成に尽力してきました。PIMCOが有するESG投資におけるリーダーシップは、長期的に持続可能な世界経済の成長を支持しながら、お客様の投資目標の達成にコミットし、PIMCOの高パフォーマンス文化を維持するうえで、不可欠なものとなっています。 しかし、より早く包括的な変化をもたらすには、投資家としてさらなる行動が必要です。より多くの資産運用会社、より多くの発行体、より多くの資産保有者が参画し、同じ方向に推し進める必要があることは、皆様にもご理解いただけると思います。 ESGを単に言葉だけに終わらせず行動に移すよう、投資家の皆様のご協力を期待しています。PIMCOと共に実現させましょう。さらなる詳細については、PIMCOのESG投資に関するレポート(英語版)をダウンロードし、過去1年の積極的な対話の一部をご覧ください。
経済・マーケット関連 パブリック(公募)/プライベート(私募)両方のクレジット市場の現状:流動性、リスク、潜在的なリターン パブリック債券市場とプライベートクレジット市場を比較する際には、流動性、透明性、信用の質、リスク・プレミアム、機会費用に関連するファクターを比較検討する必要があります。
長期経済展望 債券利回りの優位性 パンデミック後のインフレショックと利上げサイクルにより、債券の利回りは数十年ぶりに高水準にリセットされました。インフレが後退し、他の市場のリスクが高まる中、この先数年間の債券の見通しが明るくなっています。
PIMCOブログ PIMCO サステナブル投資レポート2023の主なポイント PIMCOのサステナブル投資レポートは、サステナビリティに関するPIMCOの最新の見解をお届けするものです。本稿では発行体との対話、エネルギーの移行、炭素排出分析に関し、同レポートの主なポイントをご説明します。
注目の運用戦略 インカム戦略アップデート:債券におけるグローバルな投資機会の活用 各国の利回りが長期にわたって高止まりする可能性がある中、グローバルな債券の投資機会は長らく見られなかったほど魅力的です。
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