マーケットアイ アンソニー・クレセンツィ ピムコ マーケット・ストラテジスト、ポートフォリオ・マネージャー 投資家にとって米国と欧州のポピュリスト(大衆迎合主義者)運動を意識することは重要だが、必要以上に恐れる必要はない。冷静さを保ち、こうした動きによりバランスのとれた投資アプローチをとる理由が二つある。第一の理由は欧米ともに民主主義社会であり、第二の理由はともに資本主義社会だということだ。 民主主義社会の基本は、法の支配が根幹にある憲法だ。したがって、憲法と民主プロセスがすべてに優先する。選挙で選ばれたポピュリストの指導者がどれほど極端な政策をとろうとしても、変革を実行に移す権限は、憲法が規定する抑制と均衡(チェック・アンド・バランス)という民主主義のプロセスによって制限される。この決定的事実は、現在の欧米のように、ポピュリストが少数派である政府でも存続するだろう。 もうひとつ、ポピュリズムが民主主義社会にもたらす影響について安心できる要因がある。選挙だ。ポピュリストの候補が選挙で選ばれるのと同様に、選挙で落選する場合もある。支持者達が、自分たちが選んだポピュリスト候補が気に入らなければ、ポピュリズム運動の第二段階へと移行する。その場合、投資家は有権者が従来の候補者支持に回帰するのか、それともさらに極端な候補を選ぶのかに注目する必要がある。 どのようなケースであっても、ポピュリストの有権者が選ぶ候補は、その国の憲法に制約される。投資家は、変化に対する不安よりも、このことを重視すべきだ。 安心していい第二の要因は資本主義だ。歴史は、多くの難題を抱えた国家が繁栄して富を築く、資本主義社会の「見えざる手」の力を示してきた。 昨年、英国が国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めたことを思い起こしてみよう。英経済の見通しについて不安が広がり、株式市場も短期間下落したが、比較的小幅な下げにとどまった。それ以降株価は最高値の更新を続け、何と20%も上昇した。何が起こったのだろうか。投資家はEU離脱にうまく適応できる企業とそうでない企業を見分け、勝者と敗者を予想したが、全般的には英国と世界の企業収益の回復がすべてに優越すると結論づけた。 世界の投資家が英国のEU離脱とトランプ大統領の誕生を実際にはどう考えているかを最もよく示している例として、米大統領選挙以降の株式と債券市場の比較が挙げられる。株価は急騰し、米10年物国債利回りは約1.85%から一時 2.6%まで急上昇した(現在は 2.4%付近)。債券市場は引き続き米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を2020年には2%、今から10年後には約2.5%に引き上げることを織り込んでいる。これは、それぞれ2006年、2000年、1995年に終了した過去3回の利上げ局面のピークである5.25%、6.5%、6.0%をはるかに下回っている。 これとは別だが、やはり同じように、市場は日銀と欧州中央銀行(ECB)が20年まで政策金利をゼロ付近で維持することを織り込んでいる。 米国の新政権が経済成長の軌道を恒久的に引き上げられるかどうかについて債券市場は懐疑的だというのが重要な点だ。一方、株式市場は企業収益の増加を織り込んでいる。これは、債券市場の大敵であるインフレを高進させるような種類の経済成長とはまったく異なる。 要約すると、投資家はポピュリズムの時代には民主主義と資本主義という社会構造の重要性に目を向けるべきだ。また短期的な対策に注目するのではなく、長期的に経済成長を押し上げる要因から目をそらさないことが必要だ。
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