「欧米もほとんど2%に達していない」。日銀物価目標の未達を問われた黒田東彦日銀総裁が使う常とう句だ。しかし米国では2%どころかインフレ懸念が浮上している。 4月の米国消費者物価指数は、前年同月比4.2%、食品・エネルギーを除くベースでも同3%上昇した。一年前の極端な低水準との比較であるほか、コロナ禍がもたらした供給制約が残るなかでの需要急拡大が主因であり、今後数か月は高止まりするものの「一過性」との見方が有力だ。 しかし物価上昇を体感した人々が上昇予想を高め、将来のインフレにつながる可能性もゼロではない。仮にこれが現実となれば、世界的な長期ディスインフレ傾向から米国がコロナを機に転換することとなる。 コロナ禍での米国経済は当初予想をはるかに上回るペースで回復し、名目国内総生産(GDP)はコロナ禍直前の水準をすでに上回っている。多少のモラルハザードもいとわない大胆な財政政策が効いた。犠牲者が多く出たことは残念だが、ワクチンの早期接種で挽回し人々の信認を支えた面も大きい。金融緩和も大胆であったが、マイナス金利や長期金利操作などとは距離を置いた。 わが国はどうか。コロナ禍は、有事における国家的な政策対応力の低さを露呈した。医療資源統治の欠如や、財政支援が十分でない休業要請、ワクチン接種の遅れなど。有事での対応力不足が新たなリスク要因として、経済の成長期待を押し下げまいか。 日銀は3月に政策点検を行ったが、肝心の物価目標達成は視界にすら入らない。点検で市場機能回復を目指したはずの国債市場は、皮肉にも一層動意薄だ。成長期待が下がれば金融緩和はさらに長期化か。技術面にとどまらず、目標や政策枠組み自体の抜本的見直しが必要ではないか。
経済・マーケット関連 パブリック(公募)/プライベート(私募)両方のクレジット市場の現状:流動性、リスク、潜在的なリターン パブリック債券市場とプライベートクレジット市場を比較する際には、流動性、透明性、信用の質、リスク・プレミアム、機会費用に関連するファクターを比較検討する必要があります。
長期経済展望 債券利回りの優位性 パンデミック後のインフレショックと利上げサイクルにより、債券の利回りは数十年ぶりに高水準にリセットされました。インフレが後退し、他の市場のリスクが高まる中、この先数年間の債券の見通しが明るくなっています。
PIMCOブログ PIMCO サステナブル投資レポート2023の主なポイント PIMCOのサステナブル投資レポートは、サステナビリティに関するPIMCOの最新の見解をお届けするものです。本稿では発行体との対話、エネルギーの移行、炭素排出分析に関し、同レポートの主なポイントをご説明します。
注目の運用戦略 インカム戦略アップデート:債券におけるグローバルな投資機会の活用 各国の利回りが長期にわたって高止まりする可能性がある中、グローバルな債券の投資機会は長らく見られなかったほど魅力的です。