寄稿文 日本経済 世界の潮流の中で 日本経済新聞夕刊十字路(2021年12月8日付)グリーン経済への移行、デジタル化・自動化の加速、格差是正という大きな世界の潮流を見据えて、日本の政策対応の見直しが望まれます。
世界経済は、リーマン危機以降、コロナウイルス以前の約10年間、おおむね低成長ながらも景気の過熱・後退の少ない安定成長を遂げた。 今後はどうか。世界経済を見通す上で重要なトレンドが3つある。グリーン経済への移行、デジタル化・自動化の加速、格差是正だ。脱炭素化投資や技術利用による生産性の向上は経済成長を高める。コロナ禍にあって加速した技術利用が柔軟な働き方を定着させ労働参加を増やすことも期待される。 一方、脱炭素化に伴う化石燃料関連への投資撤退・縮小は、雇用の喪失も伴って成長を押し下げうる。すでに見られるように資源インフレをも招きかねない。技術利用にしても雇用の代替に終わるリスクもある。新しい潮流の中で、今後の経済成長は不確かさが増し、各国の経済構造や政策対応の違いに左右される可能性が高い。日本はどうか。 脱炭素化や技術利用の加速には財政支出による投資が鍵を握る。しかし政府が決定した過去最大55・7兆円にのぼる財政支出はコロナ給付金が主柱となっている。成長よりも分配を重視する現政権の姿勢は世界の潮流であるように見えるが、極端な富の集中是正である米中の議論と混同すべきではない。日本にとってより大きな格差問題は高齢化に伴う社会保障費増大を通じた世代間格差であり、社会保障改革こそが望まれる。 日銀の金融緩和も再考が必要ではないか。資源を輸入に頼る日本にとって、資源インフレによる交易損失を拡大する円安は望ましくない。生産性の高い事業への資本・労働の円滑な移動には市場機能が欠かせない。マイナス金利や資産買い入れなど市場機能を封じ込める政策は円滑な移動を妨げうる。 世界の潮流を見据えた政策対応が望まれる。
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