寄稿文

コロナ資金 アフリカ支援の枠組み

日本経済新聞夕刊 十字路(2020年8月4日付)

先進国以上にコロナ感染拡大が深刻で財政ファイナンスの危険をはらむアフリカ諸国向けの支援策

コロナ感染「第2波」の懸念をよそに、先進国の債券市場では大胆な金融緩和の効果で信用スプレッド(上乗せ金利)がほぼコロナ以前の水準に戻った。一方で新興国市場、特にアフリカは異なる。

アフリカ全体で感染爆発には至っていないが、例えば南アフリカでは人口約6千万人に対して感染者約51万人、死者約8千人強と厳しい状況だ。アフリカ全土では人口千人あたり病床数が2未満、家庭に石鹸のある手洗い場を持つのは人口の約3割とされ、感染拡大のリスクが大きい。金融市場の評価は低く、南アのドル建て信用スプレッド(5年物)はコロナ以前の2倍近い約3%に高止まりしている。

アフリカ諸国への信用市場の低い評価には理由がある。南アなどは先進国と同様に中央銀行が自国通貨建て国債買い取りを進めるが、政治からの独立性が不安定で財政ファイナンスの危険をはらむ。外貨建て債券は自国中銀による支援がそもそも難しい。

そこで、アフリカ諸国の外貨建て債券の購入に使い道を限定した「担保付き資金供給ファシリティー(枠組み)」を世界の官民が組んで立ち上げてはどうか。先進国がドルなど外貨準備をファシリティーに貸出し、あるいは出資する。投資家は担保債券を拠出してファシリティーから資金を調達、アフリカの債券を購入する。信用スプレッドが縮小、調達コストは下がるだろう。コロナ対応力を高めるだけでなく、クリーンエネルギーなど成長戦略の手助けになるだろう。ファシリティーは担保付きなので資金を拠出する先進国のリスクは限られる。

課題は国際的リーダーシップだ。自国優先主義の米国政権に旗振り役は望むべくもない。日本が主導してはいかがか。債務安定化に向けた指導力を発揮すれば対外的な信頼強化の一助となろう。

著者

Tomoya Masanao

ピムコジャパンリミテッドの日本における代表者兼アジア太平洋共同運用統括責任者

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