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投資におけるバイアスが、一貫性のない投資行動を惹起する可能性があることが 明らかに: PIMCOによる初のアジア太平洋地域での調査

 

東京 (2020年12月17日) - PIMCOは本日、投資家の期待や行動、意志が、特にボラティリティの高い期間において、必ずしも一貫性があるわけではないということを示した調査結果を発表しました。調査は、アジア太平洋地域を対象にPIMCOが実施したもので、投資の意思決定に際し、影響を及ぼす可能性のあるバイアスを理解することの重要性が明らかになりました。

PIMCOは、オーストラリア、香港、日本、シンガポール、台湾の5つのアジア太平洋地域の市場において、流動性のある金融資産を10万米ドル(約1000万円)以上保有する個人投資家、各市場500人、合計2500人を対象に調査を実施しました。投資に際しての心理や見通しなどについて定期的に行う調査の初回となり、2020年8月にオンラインで行われました。

調査対象地域の中で、世界や地域経済、そして国内市場の見通しについて最も悲観的な見方を示したのは日本の投資家でした。にもかかわらず、今回の調査対象となった日本の投資家は、平均的に投資ポートフォリオに占める株式の割合が他の地域の投資家よりもやや高い影響もあり、自分のポートフォリオが若干成長すると予想していました。株式市場やより広範な経済動向と、自分のポートフォリオの見通しとの乖離は今後も継続する可能性はあるものの、日本の投資家は、将来の出来事を予想する上で、現状維持バイアスの影響に留意すべきだと思われます。

また調査では、日本の回答者の44%が、市場の不透明感が高い時は、タイミングを見計らうことが重要だと回答し、価格が下がったり新しい環境で急成長しそうなリスクの高い資産を購入することが最善の戦略だと考えていることが明らかになりました。一方で、向こう三か月の間にどのような投資行動をとるかを尋ねたところ、現金や現金に近い投資を、減らすよりも増やす可能性が高く、59%が大掛かりなポートフォリオのリバランスや再配分を実施する可能性は低いと回答しており、投資に対する考え方と実際の投資行動の間に食い違いがあることが示唆されました。

更に、日本人回答者の52%は、新型コロナウィルスがポートフォリオにマイナスの影響を与えたと回答しており、また、同じ割合の投資家が、自分たちの投資判断に対する自信が揺らいだと答えています。

投資判断を行う上での情報収集においては、日本の投資家は―― 調査対象の他の国の投資家も同様ですが――自分自身の経験やこれまでの投資歴を最も信用し、それを利用する傾向があります。また、日本の投資家は他の国の投資家に比べて、プロのアドバイスや金融機関が公表する情報に依存する割合が小さいことも明らかになりました。

調査結果を受け、ピムコジャパンリミテッドの日本における代表者であり、クライアントサービス部門とビジネスマネジメント部門を統括する竹内一郎は次のように述べています。

「専門家による公平なアドバイスを取り入れることは、とりわけ市場のボラティリティが高い時は、潜在的な認知バイアスや感情バイアスに対処するために重要です。PIMCOでは長年、投資アドバイスのメリットを強調してきましたので、今回の調査結果は意義深いものです。不透明な市場環境でも投資家の皆様を支援できるよう、これからも実践的な投資に対する見方を金融業界の皆様に提供してまいりたいと思います。」

本調査では、アジア太平洋地域全体でも、例えば、経済が縮小する中でポートフォリオの成長を期待している投資家や、現金を志向している一方で、タイミングを計りながら市場に投資することが最善な投資行動だと考える投資家が多いなど、投資家の行動にいくつかの矛盾があることが明らかになりました。PIMCOアジア太平洋地域代表のキンバリー・スタフォード氏は以下のようにコメントしています。

「PIMCOは、認知バイアスと感情バイアスをより深く理解することで、それらの影響を軽減され、お客様がより良い投資判断を下せるようになると信じています。この地域における調査は、PIMCOの行動科学を中心とした多様で深い研究を支援するための長期的な取り組みの重要な一部となっています。」

調査結果をみる

 

本調査について

今回の調査は、アジア太平洋地域の五つの市場で、流動性のある金融資産を10万米ドル(約1,000万円)以上保有する合計2,500人の投資家に実施しました。自身の投資ポートフォリオに対する心理や見通しなどについて、定期的に行う調査の初回となります。調査は、オーストラリア、香港、日本、シンガポール、台湾(各市場の500人の投資家)のアジア太平洋地域の五つの市場で、2020年8月にオンラインで実施されたものであり、今後も定期的に実施される予定です。

この調査では、ボラティリティがアジア太平洋市場の投資家にどのような影響を与えているか、ポートフォリオだけでなく、展望、期待、意志決定に対する自信などを様々な質問をしています。また、投資家がどの戦略が最も効果的であると考えているか、また、様々な情報源にどの程度の信頼を置いているかについても質問しています。

調査結果には回答者の意見が含まれており、必ずしもPIMCOの見解とは限りません。本レポートに含まれるデータは、PIMCOの商品や戦略と必ずしも関連するものではなく、また投資判断において依拠すべきではありません。

研究を投資の意思決定に応用するイノベーターとして、PIMCOは、人間の行動とそれが意思決定にどのように影響するかをよりよく理解するために、いくつかの重要なイニシアティブに取り組んでいます。これらには、シカゴ大学ブース・ビジネススクールの意思決定研究センター (CDR) の行動科学研究を支援する長期的な提携や、[同校の]ノーベル賞受賞者であるリチャード・セイラー博士の退職と行動経済学に関するシニア・アドバイザーへの任命などがあります。

PIMCOは、金融機関やアドバイザーが顧客の行動おける潜在的なバイアスを理解、特定することを支援するために、さまざまな資料を発表してきました。詳細については、PIMCOのwebサイト、https://japan.pimco.com/ja-jp/behavioral-science をご参照下さい。

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ピムコジャパンリミテッドについて
PIMCOグループの日本におけるビジネスの拠点として1997年に設立され、1999年に投資一任業務、2000年に投資信託委託業務を開始、以来機関投資家・個人のお客様等へ向けて安定し付加価値のある資産運用サービスを提供しております。