日本文化と投資の調和:豊かな社会への道のり ピムコジャパン共同代表が小山薫堂氏と語る

著作・制作 日本経済新聞社(2024年日経電子版広告特集)

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Ben x Koyama Interview

2000兆円を超える個人資産を保有し、資産運用立国を目指す日本。その半分以上は預貯金に眠っているが、一方野村総合研究所が18~49歳の男女を対象に行った「新NISAの認知度・利用意向調査」では15%が新しいNISAの利用に興味を示しており、個人資産の半分を占める現金から一部でもリスク資産へ移行すればその意味は大きい。政府による「貯蓄から投資へ」への流れを後押しするためには、世界で投資家に投資機会をもたらしてきた実績ある運用のプロが必要になる一方、海外での投資ノウハウを日本固有の状況、考え方や文化とどう調和させていくかも重要だろう。日本文化に関連した分野でクリエイティブな活躍を続けている放送作家の小山薫堂氏と、50年以上にわたる実績を持つ債券運用の世界的プレーヤーPIMCOの日本法人(ピムコジャパンリミテッド)共同代表にこのほど就任したベンジャミン・ファーガソン氏が、日本文化と投資の共通点について語り合った。

他者との関係で育まれる、思いやりの文化

小山:日本人は狭い国土の中で他の人と一緒に暮らしています。自分だけでは生きていけない。誰かとの関係があって、初めて自分の存在がある。例えば、日本家屋で使われる障子やふすまは、それを挟んだ隣室から寝息が聞こえるため、大きな音を立てると迷惑になると考えるようになります。それが、日本人の他者をおもんぱかる心に通じているのではないかと、僕は勝手に解釈しています。ファーガソンさんは日本に何年ぐらい住んでいるのですか?

Ben x Koyama Interview ベンジャミン・ファーガソン氏 ピムコジャパンリミテッド共同代表

ファーガソン:もう25年になります。日本人の温かさと思いやり、そして強いコミュニティ意識こそが日本の魅力であり、私が日本での生活と仕事を楽しむ理由です。私は1980年代にアメリカ中西部で育ち、そこでも地域への配慮と共通の善を重視するという、日本と同じような価値観が育まれたと思います。この思いやりの心は、投資の世界にも当てはまると思います。

お客様に代わって資産を運用する際は、お客様の投資目的を理解し、ニーズにあっているかを考えたうえで投資目標達成のお手伝いをしています。日本の投資家の皆さまの視点に立って考えることで、特定の目標や課題に対応した投資戦略やソリューションを開発し、提供することができると思います。

食と投資の意外な共通点大切なのはバランスと多様性

小山:食の分野でも日本が世界にもっと共有すべき知恵があります。私は2025年の大阪・関西万博に向けて食をテーマにしたパビリオンを手掛けていますが、そこでは日本の知恵を世界に発信し共有したいと考えています。例えば、日本では当たり前の海藻や豆や豆腐も、実は大切なたんぱく源ですが、利用されていない国はたくさんあります。また日本人の食といえば「口中調味」も特徴ですね。白いごはんと濃いおかずを口の中で混ぜるというのは日本独特の食べ方です。資産運用でも組み合わせるとおいしいものはあるのでしょうか。

Ben x Koyama Interview 小山薫堂氏 放送作家

ファーガソン:はい、日本には「一汁三菜」という言葉もありますが、これも分散と組み合わせを重視するという点でバランスの取れたポートフォリオの考えと似ています。日本では、「貯蓄から投資へ」というと株式投資を始める方が多いように思いますが、株式だけに投資するとバランスのとれたポートフォリオによって得られるメリットを放棄し、全体の栄養価、つまり投資リターンが崩れる可能性があります。株式と債券を組み合わせることで、リスクを抑え、長期的により安定したリターンが期待できるといわれています。株式が苦戦しているときは債券が好調になる傾向があり、その逆も同様です。現在のように世界経済や政治の先行きが不透明な時は、特にこうしたアプローチは重要です。

現金には、特にコロナ後の急回復局面における高インフレ下では、債券ほどの分散効果はありません。投資家が市場の不確実性を軽減するための最も効果的な方法は、ポートフォリオの中で株式などの成長資産と債券などの守りの資産のバランスをとることです。株式やその他のリスク資産が下落するような投資環境では、債券がアウトパフォームすることが多いためです。預貯金や株式などのなじみのある資産だけではなく、投資家の皆さんの資産を増やすためにも、各資産クラスとその利点を理解したうえで投資を検討していただきたいと思います。

「地域を元気に」の思いと、投資リターンの先にあるもの

小山:私の出身地である熊本県の天草地方には野生のイルカが200頭も住み着いているのですが、地元にとってそれは当たり前でした。30年ほど前にテレビ番組のロケでイルカを撮影するためカンボジアまで行った時、その話を父にしたら「イルカなら天草にいっぱいおるぞ、知らんのか」と言われたくらいです。今では天草の漁師さんたちを中心に観光資源としてイルカウオッチングを行っています。天草のイルカはディーゼルエンジンの音にも慣れているので、船が走っているとそれに併走するんですよ。

そうやって地方の宝を見つけて、活性化する取り組みを助けるうえでも、投資の力は必要ですよね。今の日本ではお金をどう使ったかはあまり話題になりませんが、稼いだお金をどう使うかや、その先の投資先にももっと注目が集まってほしいと思っています。日本にもかつては粋な旦那衆がいて、文化に対して自分の器量で応援をしていたものです。応援している人が売れっ子になれば、その価値が自分に戻ってきます。投資した企業が注目されて儲かれば、自分もその企業も、ひいては社会も豊かになって活性化するでしょう。その結果として、お金を上手に使っている人が格好いいというイメージに世の中が変わってほしいですね。債券投資家として、目的を持った投資についてはどう思いますか?

Ben x Koyama Interview

ファーガソン:おっしゃる通り、投資家にとってリターンを得ることも大切ですが、投資することは応援したい企業やプロジェクトをサポートすることにもつながります。日本では、こうした投資は株式投資でしか実現できないと思っている方も多いと思いますが、債券投資というのは、例えば企業に融資という形で資金を提供することでもあり、お客様にとっての長期的な経済的利益や重要な価値を、投資を通じて守ることができるんです。

債券投資家は株主のように議決権を持っていないので、株主総会で投票することはできませんが、債券を発行する企業等の経営陣と直接コミュニケーションをとり、定期的に対話をすることができます。実際、債券投資家は公開企業のみならず、非公開企業や国等にも投資することができるため、株式を保有している投資家よりも幅広い投資先に関与できます。魅力的なリターンの恩恵を受けながらも、地域社会や国に変化をもたらしたいと考えている日本の投資家にとっては、株式だけが投資の選択肢ではないということを是非知っていただきたいと思います。

日本の財産は、文化や伝統だけではなく、個人の金融資産もその一つだと考えています。この資産を日本の市場に再投資することで、日本の経済成長を後押しすることができます。さらに、海外には日本よりも利回りの高い債券があるため、これらの資金をグローバル市場に配分すれば、リスクを抑えつつ、より高いリターンを期待でき、結果的に日本の年金受給者や家計を支えることにつながります。年金資産が増えれば、それは再投資や自由な支出に使う富を生み出し、これが日本経済をさらに刺激することにつながる。これはまさに好循環をもたらすと思います。

現在、世界的に経済や政治の不確実性が高く、それがリスクの高い資産への投資を難しくしています。私たちの目指すところは、このような不確実性の中でも、日本の投資家の皆さまの資産価値を拡大し、国の成長を支える手助けをすることです。

ピムコジャパンは、1997年の設立以来、25年以上 にわたって日本のお客様の資産運用ニーズに向き 合い、債券のアクティブ運用に強みを持つ運用会社だからこそ可能な投資機会の開発と、運用サービスのご提供に努めてまいりました。詳しくはピムコジャパンのウェブサイトをご覧ください。



取材協力:Beef Atelier うしのみや東京(小山薫堂氏がプロデュースしている牛肉割烹店)


作成日3月1日

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