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PIMCO ESG投資年次レポートの主なポイント

新型コロウイルスの世界的流行(パンデミック)の中で浮かび上がった課題と不確実性は、コミュニティ間の絆を強化し、持続可能な未来に向けた行動を促す機会になりえます。

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持続可能な世界的回復の土台となるのが、「ボンド」だとPIMCOは考えています。これは投資および資金調達源としてのボンド(=債券)だけでなく、コミュニティや国家間、また産業間や投資家の間で永続するボンド(=絆)を意味しています。こうしたボンド(債券や絆)を土台とし、世界はより持続可能(サステナブル)な未来を築いていきます。

新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的流行)が様々な意味で契機となり、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資における中核的な課題に注目が集まっています。すなわち、包摂的な経済、健全なコミュニティ、安全で公平な職場、強靭なサプライチェーン、よりクリーンな代替エネルギー、これらをいかに実現するかといった課題です。PIMCOではかねてより、こうした課題をはじめ様々な要因を調査や発行体との対話、そして投資決定に取り入れてきました。 

詳しくはPIMCO ESG投資年次レポートでご説明していますが、よりサステナブルな世界経済への移行を支えるための資本は、世界に十分存在しているとPIMCOでは考えています。しかしながら、有意義な変化を起こすためには、債券発行体、資産保有者、そして資産運用会社が、より一層足並みを揃えることが必要です。すべての主体が、健全で包摂的なグローバルな成長の実現に力を入れる必要があります。

本稿では、グローバル・パートナーシップと債券発行体との対話に力点を置きながら、ESG投資年次レポートの主なポイントをご紹介します。

パートナーシップ:業界スタンダードの設定と市場イノベーションの促進

世界的に足並みを揃えた持続可能性の取り組みを推進するために、PIMCOは主要な業界団体や多国籍機関に積極的に貢献しています。PIMCOは世界をリードする債券運用会社として、サステナビリティ・ボンド市場の革新と育成に積極的に関与しています。また、気候変動をはじめとする持続可能性の課題に関わる情報開示の改善を提唱しています。世界経済を将来的により包摂的で低炭素型に移行させるには、数兆ドルの投資が必要です。これは、投資家、とりわけ債券投資家にとって大きな投資機会になります。

重要なパートナーシップの一つが、国連グローバル・コンパクト(UNGC)持続可能な開発目標(SDGs)のCFOタスクフォースとのパートナーシップです。このタスクフォースでは、UNGCに参加している企業約1万社を活用し、持続可能な開発を世界のCFOに働きかけています。PIMCOのESG投資を統括する最高投資責任者(CIO)のスコット・マザーは、このタスクフォースの共同議長であり、PIMCOは2020年8月に「統合SDG投資・ファイナンスに関するCFO原則」を共同で立ち上げました。

ESG投資レポートでは、様々な業界イニシアチブへのPIMCOの関与と、過去1年間、各イニシアチブの目標達成にPIMCOがどう貢献したかを、さらに詳しくご覧いただけます。PIMCOが関与した業界イニシアチブとしては「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」、「国際資本市場協会(ICMA)」、「ワンプラネット・アセット・マネジャー・イニシアチブ」、「持続可能な開発のためのグローバル投資家(GISD)のアライアンス」、「気候変動に関する機関投資家グループ(IIGCC)」、「機関投資家の畜産業関連イニシアチブ(FAIRR)」があげられます。

変化を支える債券:発行体との対話

PIMCOのプラットフォームの確かさと歴史を鑑みると、債券発行体との対話がPIMCOのアプローチの礎となっています。株式とは異なり、債券の発行体は常に市場に戻ってきます。PIMCOのクレジット・アナリストは、担当する企業と定期的に対話をしています。その中で、気候変動目標や人的資本管理、取締役会の資格と構成などESG関連の様々なテーマを取り上げ、前向きなインパクトを与え、定量化できる成果を重視しています。2020年、PIMCOのクレジット・アナリストは、環境・社会・ガバナンスなどサステナビリティ関連のテーマについて、世界各国の1500社以上の企業と対話を行いました。これは、PIMCO全体で保有する社債の80%をカバーしています。

2020年は、新型コロナウイルスによるパンデミックが、もっぱら話題の中心を占めました。発行体との対話でPIMCOが主に注目したのは次の点です。パンデミックに関連した復元力(レジリエンス)と責任、新型コロナ対策を統括する取締役と経営陣、パンデミックに関連して労働力や事業運営を見直し調整するプロセス、パンデミック関連の打撃を最小化するためのサプライヤーとの調整などです。

様々な業界や世界にまたがる債券発行体とPIMCOのESG対話の詳細については、PIMCO ESG投資年次レポートをご覧ください。

結論

PIMCOは独自の投資プロセスを通じて、50年にわたり市場環境の変化に動じることなく、何百万人もの投資家の皆様の投資目標達成に尽力してきました。ESG統合戦略と持続可能なソリューションは、長期的に持続可能な世界経済の成長を支えながら、お客様の投資目標の達成にコミットするうえで不可欠なものだとPIMCOは考えます。投資家、発行体、資産保有者、そして資産運用会社が協力しあい、活動の足並みを揃えることで、意味のある大きな変化を迅速に実現できると考えています。

サステナビリティ・ボンド市場、業界動向、脱炭素社会に向けた投資に関する知見については、PIMCO ESG投資年次レポートをご覧ください。また、ESG投資戦略に特化したウエブサイトもご参照ください。

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ご留意事項

社会的責任投資は、定性的で主観的な性質上、PIMCOが活用する基準や行使する判断が、特定の投資家の見解や価値を反映することを保証するものではありません。責任ある行動についての情報は、自発的な発表や第三者による報告から得たものであり、正確性や完全性を欠いている可能性がありますが、PIMCOはこうした情報に基づいて、企業の責任ある行動へのコミットメントや執行を評価しています。社会的責任の規範は、地域によって異なります。社会的責任投資の投資戦略や手法の成功が保証されているわけではありません。過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

金融市場動向やポートフォリオ戦略に関する説明は現在の市場環境に基づくものであり、市場環境は変化します。本資料で言及した投資戦略が、あらゆる市場環境においても有効である、またはあらゆる投資家に相応しいという保証はありません。投資家は、自らの長期的な投資能力、特に市場が悪化した局面における投資能力を評価する必要があります。見通しおよび戦略は予告なしに変更される場合があります。