インベストメント・コミッティー

年末のボラティリティ:可能性はあるが確実ではない

グループ最高投資責任者(CIO)のダン・アイバシンが、流動性が低下し不確実性が高まる世界でPIMCOがいかにポートフォリオを構築しているかをご説明します。

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デビッド・フィッシャー:デビッド・フィッシャーです。今回はグループ最高投資責任者(CIO)のダン・アイバシンがPIMCOのインベストメント・コミッティー(IC)における最近の議論をご紹介します。メディアやお客様の間で市場の脆弱性に対する注目が高まっています。特に多くのお客様から米国の短期金融市場について、特に9月にごく短期間ながら調達金利が急上昇した事実についてお問い合わせをいただいています。市場が見かけ以上に脆弱であるとICは懸念しているのでしょうか?もしそうだとすればICは現時点でどんな兆候を注視しているのでしょうか?

ダン・アイバシン:ある程度懸念しているというのが答えだと思います。私共では過去数週間多くの時間を割いてレポ市場で見られた混乱について話し合ってきました。またPIMCOの外部アドバイザーであるベン・バーナンキ元米連邦準備制度理事会(FRB)議長の見解も取り入れました。確かに過去数ヶ月、一部に資金調達圧力があったのは事実です。

FRBは市場参加者と密接に連携して必要な流動性を供給し、この種のボラティリティを徐々に沈静化させてきました。

FRBにはボラティリティをコントロールする能力と意欲があると考えています。そのため年末に近づくと資金調達市場で、継続的にボラティリティが見られる状況に陥る可能性がありますが、それほど重大になるとはみていません。あくまで管理可能だと考えています。

市場の脆弱性という全体的な質問の観点では、資金調達は注視すべき重要な分野です。金融危機以降、銀行セクターに影響を与える大幅な規制強化が行われてきました。そして取引の流動性は悪化しており、このようにボラティティが高まる時期に介入し、支援できる市場参加者はグローバル金融市場全体で少なくなっているのが現状です。

アクティブ運用会社としてはそれを評価するだけでなく、ポートフォリオ構築に関する全般的な方針の点から備えることが必要です。

デビッド・フィッシャー:市場の脆弱性というテーマに沿って言えば、昨年の今頃は市場が非常に不安定でした。年末にかけてこの点をやや懸念する向きがあり、似たような状況が見られるかもしれません。その点についてICはどのように考えているのでしょうか?

ダン・アイバシン:昨年末にかけて見られた同じタイプのボラティリティが見られるとは必ずしも思いません。ただ、すべての材料が通常12月末に揃うという点に留意することが重要だと考えます。金融市場ではごくわずかな材料で、通常より大きな変動が引き起こされます。

12月は一般に銀行セクターの人員が少なくなります。そんな中でFRBの会合が開かれます。また年末に向けて通常より手間のかかるトランザクション・フローが多くなります。

ですから圧力が高まる可能性はあります。投資家としては、金融市場のボラティリティが高い状態が続くことに慣れておく必要があると考えます。ただ昨年の株式市場と債券市場のボラティリティはやや独特なものだったとみています。今年の年末までに少なくとも同水準のボラティリティが発生する確率は、依然としてかなり低いと考えています。

デビッド・フィッシャー:昨今は地政学的環境もかなりの不確実性の要因になっています。貿易戦争があり英国のEU離脱があり、米国では大統領の弾劾公聴会が開かれています。これらの先行きを予測する難しさを踏まえたうえで、様々なシナリオに弾力的に対応できるポートフォリオを、ICはどのように準備しているのでしょうか?

ダン・アイバシン:投資家としては、市場の成果は政治的不確実性にますます左右されることになるという事実に慣れる必要があります。これは私共が重視している領域というだけでなく、リスク管理の観点からも重要です。

言及された極端な不確実性を踏まえ、私共では従来以上に分散を進めようとしています。

ポジションの規模については細心の注意が必要です。市場のどこに自分達の優位性があるのか、また思ったほど優位性がないのはどこなのかを慎重に見極めなければなりません。分析構造や過去に自信を深めてきたモデルの一部に、健全な謙虚さを取り入れる必要があります。

繰り返しになりますが、今後はボラティリティが大幅に高まる環境にあると考えています。ただそれはグローバルで十分な資金力があり、多様な投資プラットフォームに合った環境でもあります。

デビッド・フィッシャー:では投資機会について話しましょう。債券のアクティブ運用会社は、収益獲得の機会を求めて何ができるのでしょうか?またICが現在価値を見出している分野を教えてください。

ダン・アイバシン:お客様にとって真に価値があると考えている領域がいくつかあります。過去数年にわたって住宅関連投資の魅力についてはかなり論じてきました。企業分野にも魅力があると述べてきました。企業クレジットを見ると、数年前に比べてPIMCOの社債引き受け基準を満たせる案件ははるかに少なくなっています。ただ現在でも一部に割安なものがあります。

銀行は現在リスクを大幅に減らしています。債券投資家にとって銀行のスプレッドは依然として魅力的です。さらに歴史的観点からすると資本はきわめて高い水準にあります。

そのため金融セクターについては引き続きオーバーウエイトとします。米国を重視していますが、欧州にも厳選した投資機会があるとみており、英国にすら機会を見出しています。最後に企業クレジット・セクター内で消費者に関連した企業債務に注目した場合、米国ではきわめて強いとみており、ここ数年で家計のレバレッジは着実に低下している分野であり、景気が予想以上に悪化した場合の防御的なポジショニングを取りながら、ある程度の収益を確保することが可能だと考えています。

デビッド・フィッシャー:年の瀬が迫り2020年に迎えるにあたりお客様に他にお伝えしたいことがあればお願いします。

ダン・アイバシン:最後に1つ大切なことを申し上げなければなりません。世界中のPIMCOのお客様、素敵な年末年始をお過ごしください。いつも変わらぬご支援をいただき感謝しています。

デビッド・フィッシャー:本日はありがとうございます。ご覧いただきありがとうございました。

ご留意事項



過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

全ての投資にはリスクが伴い、価値は下落する場合があります。債券市場への投資は市場、金利、発行体、信用、インフレ、流動性などに関するリスクを伴うことがあります。ほぼ全ての債券及び債券戦略の価値は金利変動の影響を受けます。デュレーションの長い債券及び債券戦略は、より短い債券及び債券戦略と比べて金利感応度と価格変動性が高い傾向にあります。一般に債券価格は金利が上昇すると下落し、現在のような低金利環境ではリスクが高まります。債券取引におけるカウンターパーティーの取引能力の低下が市場流動性の低下や価格変動制の上昇をもたらす可能性があります。債券への投資では換金時に当初元本を上回ることも下回ることもあります。株式の価値は一般的な市場、経済、産業の実体と見込み両方の状況によって減少する可能性があります。モーゲージ担保証券や資産担保証券は金利水準の変化に対する感応度が高い場合があり、期限前償還リスクを伴い、また、一般的には政府または民間保証機関による何らかの保証が付されていますが、民間保証機関が債務を履行する保証はありません。連邦政府抵当金庫(GNMA)が発行する証券には、米国政府による全面的な保証が付与されています。連邦住宅金融抵当金庫(FHLMC)と連邦住宅抵当公庫(FNMA)が発行する証券には、元本と利息の適時返済に機関の保証が付されていますが、米国政府による全面的な保証は付与されていません。

本ビデオで言及した投資戦略が、あらゆる市場環境においても有効である、またはあらゆる投資家に適するという保証はありません。投資家は、自らの長期的な投資能力、特に市場が悪化した局面における投資能力を評価する必要があります。投資判断にあたっては、必要に応じて投資の専門家にご相談ください。

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