デビット: デビッド・フィッシャーです。今回はグループ最高投資責任者(グループCIO)のアイバシンが、PIMCOのインベストメント・コミッティー(IC)における最近の議論をご紹介します。
最近投資家が懸念しているのが米国利回り曲線の形状です。3月には米国10年国債の利回りが3カ月物の利回りを一時的に下回り多くの投資家がこれを景気後退の前触れだろうと指摘しました。ICはこれをどうみていますか?
米国で景気後退は迫っているのでしょうか?
ダン:そうは考えていません。むしろ世界経済は今年全般的にプラス成長になるとみています。米国経済も2%前後の成長を予想しています。確かに利回り曲線フラット化には注意が必要で背景を理解したいとは思います。先行きには不透明感も高まっていると考えています。実際来年米国では非常に重要であるものの不確実な大統領選挙が控えています。
また中国を筆頭に世界貿易関連では大きな不確実性も残っています。
しかし米国の利回り曲線の一部が逆転しただけで、景気後退が迫っているとみるのは早計だと考えています。
デビット:
では投資にはどのような影響があるのでしょうか?利回り曲線に対する最近のPIMCOのポジションはどうなっていますか?
ダン:PIMCOでは、 ポートフォリオ全体でどれほどの金利リスクを取るかについて長時間議論してきました。厳選しながらも、多くの戦略で金利リスクをやや引き下げてきました。金利はほぼレンジ内で推移すると考えていますが、第1四半期には金利低下がみられたのでPIMOOの基本的な経済見通しに照らし、年後半には金利が反転するリスクがあるとみています。
デュレ―ションと金利リスクの取りどころについては、利回り曲線の中央部の5年から7年の範囲に集中しています。
利回り曲線のその部分は米連邦準備制度理事会(FRB)のハト派転換に対する市場の反応に、最も多くの恩恵を受けてきました。力強いパフォーマンスで多少魅力は落ちましたが、引き続きまだその満期部分を選好しています。
デビット:政策金利は現在中立に近いとFRBは明言しています。実際に現在の市場では、利上げの前に利下げを見込んでいます。短期的な金利の方向性とその影響を教えてください。
ダン:FRBをはじめ中央銀行は、強いハト派姿勢を維持するとの見方には賛成します。FRBはここ数カ月市場参加者に対して将来の利上げには非常に慎重な姿勢で望みたいとあえて明確に伝えています。これに対し市場は政策リスクが今日ほぼ対称的だとみています。つまり次回のFRBの動きに対し金利が上昇する確率と下落する確率は、ほぼ同じだと考えているようです。PIMCOではやや慎重な見方をしています。言い換えれば、市場は恐らく若干先走り過ぎだと考えています。
先程お話ししたとおり、世界の経済成長はプラスを維持するでしょう。年後半には再加速する可能性もあります。
しかし金利市場は現在、まだ経済成長が再加速するリスクを織り込んではいません。
中国との確固とした貿易合意や、米国内の政治的緊張の緩和など政策面での改善がみられれば、また米国の経済活動をみても、年後半には成長率の一段の伸びやインフレ圧力の一層の高まりも見られるかもしれません。
そうなった場合、金利は上昇する可能性が高くなります。
デビット:昨年第4四半期のPIMCOのポートフォリオについて、ICの防御姿勢の強さがひとつあげられます。市場のボラティリティに対し中央銀行は実質的に動きを止め、かなりハト派寄りになりましたが、それでも守りの姿勢は適切だと考えていますか?
ダン:限界的にはもう少しリスクは取れると思います。しかし守り重視の姿勢が重要であることに変わりはありません。
住宅関連投資は、米国の社債の代替として非常に魅力的だとも話してきました。多少であっても、分散に非常に適したもう一つのセクターはエマージング市場です。
中央銀行が動かず世界が安定的に成長している場合、エマージング市場は概して良好なパフォーマンスとなります。
もちろんこの資産クラスにも、PIMCOの見通しにもリスクはあります。
しかしエマージング市場の一部には、絶好のポートフォリオ分散効果をもたらす分野もあると考えています。
中央銀行の動きがプラスの環境にあることから、やや攻めの姿勢を取っていますが、将来のボラティリティの高まりに備えて強い耐性も整えたいと思います。
市場のボラティリティが高くなった時にポートフォリオを守ることができれば、他の市場参加者が流動性を必要とし、リスク削減を望んでいるとき、PIMCOは攻めに転じることができるでしょう。
デビット:ありがとうございました。
ダン:こちらこそありがとうございました。みなさん、またお会いしましょう。
ご留意事項
2019年4月15日撮影
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