CMBS(Commercia l Mor tgage-Backed Secur ities、商業 不動産担保証券) は、商業用不動産ローンを裏付け資産とするモー ゲージ証券の一種です。通常、商業用不動産ローンは土地やオフィ スビルなどの資産を担保としており、テナントによって支払われる賃 料という比較的予見しやすいキャッシュフローを持ちます。担保とな る商業用不動産には、オフィス、小売、集合住宅、工業、ホテルなど 様々なタイプの物件が含まれますが、それぞれの物件に需給要因、 収入・費用、地域性などの特性があり、それらによってローンの価値 が左右されます。CMBSは1989年以降に米国で起きたS&L(貯蓄 貸付組合)危機の際に生まれた副産物で、商業不動産のリスクを金 融システムからその他の民間投資家に移転するための手段として開 発されました。

典型的なCMBSの資本構造

CMBSの資本構造を見ると、他の証券化商品と同様、トランシェと呼ば れるいくつかの階層を持ちます(シニア、メザニン、エクイティなど)。これ らのトランシェは優先劣後構造を持ち、上位トランシェほどキャッシュ フローを先に享受し、発生した損失は後で被る仕組みとなっています。 この為、下位になるほど損失のリスクが高くなり、トランシェ間のリスク の差は利回りの差に反映されることになります。

サブプライム危機以降の市場概況

2007年後半からCMBSを含めたあらゆるタイプの証券化商品が大幅 に下落する展開が続きました。AAAの格付けを得ていたトランシェで さえも価格が大きく下落しました。その後、米国政府やFRBによる流 動性供給政策(例えばTALF(ターム資産担保証券ローン制度))や 流通市場による買い入れ策(官民共同ファンド、PPIP)など異例の 政策対応もありCMBS市場は回復へと転じ、市場が沈静化するに 従って資金流入も見られるようになりました。

サブプライム危機以降の市場概況

シリーズ4:証券化商品

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