シリーズ2:債券-後編 運用評価指標 ポートフォリオの運用結果を客観的に評価するにあたり、以下のよう な指標を用いて評価することができます。 超過収益 超過収益とは、運用実績(パフォーマンス)と参照指数(ベンチマー ク)との差で、自己のポートフォリオの運用実績(パフォーマンス)が、 ベンチマークに設定している市場指数(インデックス)に対して、どの くらい上(下)回ったのかを表しています。 リスク(リターンの標準偏差) リスクとは、運用実績や市場指数のリターンの不確かさを言い、リ ターンの分布のバラつきを示しています。リターンの標準偏差で表さ れ、プラスリターンとマイナスリターンの両方が加味されて計算され ているので、リスクは損失の可能性を示す指標ではなく、利益・損 失双方を含めたリターンの不確かさの程度を表しています。 トラッキングエラー(アクティブリスク) トラッキングエラー(アクティブリスク)は、運用結果が参照指数の 変動からどの程度乖離しているかを測る指標として、主にパッシブ 運用の評価に利用されます。数値が小さいほど、市場指数の変動と の乖離が小さいことを表しています。超過収益のバラツキ(標準偏 差)を測定することで求められます。 シャープレシオ シャープレシオとは、リスク調整後リターンを表す指標のひとつで す。同一期間において同じパフォーマンスの運用商品を比較して、 どちらの運用効率が高かったかを簡便的に評価する指標として用 いられます。以下のように求められ、数値が大きいほど運用効率が 良いことを示しています。 シャープレシオ = (パフォーマンス−無リスク資産リターン)/リスク(標準偏差) インフォメーションレシオ インフォメーションレシオとは、アクティブ運用においてトラッキング エラー(アクティブリスク)に対してどの程度の超過収益を獲得でき たのかを示す数値です。運用効率を示す数値のひとつで、数値が大 きいほど、運用効率が良いことを示しています。 インフォメーションレシオ = (パフォーマンス−市場指数リターン)/トラッキングエラー バリューアットリスク(VaR) バリューアットリスク(VaR)とは、保有資産の損失可能性を示す指 標です。VaRは、統計的手法に基づいて、現在保有している資産を 将来のある一定期間に亘って保有した場合、一定の確率の範囲(信 頼区間)内で、市場変動によってどの程度の損失を被る可能性があ るかを計測した数値です。例えば、保有期間1日、信頼区間99%で 計測した場合、100日のうち99日の日次損失額は統計の範囲内に収 まりますが、1日は統計上の最大損失額を超える可能性があること を示しています。 この手法では、過去の統計を用いて最大予想損失額を算出しています ので、2008年の金融危機のようなイベントが発生した場合に、VaRで 算出した最大予想損失額を上回る損失を被ることがあります。 条件付バリューアットリスク(CVaR) 条件付バリューアットリスク(CVaR)とは、ポートフォリオの損失額 がある確率水準を上回る場合の平均損失です。VaRが信頼区間内 の1点の計測値であるのに対して、CVaRは、設定した確率水準を外 れた確率で被る損失の平均損失額を表しています。