PIMCOの視点

米国のウェルス・マネジメントの動向:ファイナンシャル・アドバイザーと個人投資家にとっての2019年の5つの主要テーマ

競争の激化、規制の強化、不透明な市場要因を背景に、ウェルス・マネジメント業界は根本的な変化に直面しています。
*本稿は貴社・貴行内限のご利用としていただき、顧客への転送・配布はご遠慮ください。

1年前に見られたトレンドの多くは引き続き重要ですが、本稿では、向こう1年のウェルスマネジメント業界に影響を及ぼすとみられる主要なテーマを取り上げ、変化しつつある最終投資家のニーズに応えるべく、ファイナンシャルアドバイザーやPIMCOがどのような取り組みを行なっているかをご紹介します。

第1のテーマ:ボラティティの上昇に伴い、アクティブ運用に注目が集まる

2018年の金融市場が想起させてくれた通り、投資家が慣れ親しんできた、金融危機以降の低ボラティリティ環境は終焉を迎えつつあります。景気サイクルの最終局面に入り、ボラティリティは明らかに上昇しています。米国の金融政策は、緩和から引き締めに転じ、現在は休止しているようにみえます。財政刺激効果は剥落しつつあり、(貿易戦争や政府機関の閉鎖など)政策および政治的な過ちのリスクが高まっています。

こうした市場環境では、債券投資でアクティブ運用の方針を取ることが重要だと考えます。非経済的投資主体の多さや市場の複雑さと規模の大きさに起因する、債券市場の根強い非効率性が、不安定な市場において一段と顕在化し、アクティブ運用に投資の好機をもたらします。過去10年の債券の運用成績では、アクティブ運用の中央値がパッシブ運用の中央値を約80ベーシス・ポイント上回っていることが調査で明らかになっています。こうした収益が長期にわたり累積していくと、総リターンは相当な大きさになりえます。重要な点として、ファイナンシャルアドバイザーは、他のファイナンシャルアドバイザーだけでなく、パッシブ運用やロボット運用とも競争していることから、一貫してアウトパフォーマンスをもたらすことができるアクティブ運用者を選択することが、アドバイザー自身の差別化に役立つ、ということを指摘しておきたいと思います。

アクティブ運用重視は、投資商品の選好に関係なく重要です。ETF(上場投資信託)は、割安なパッシブ運用の手段としてよく知られていますが、これに関しても、クライアントの目標達成を助けるうえで、アクティブ運用が重要な役割を果たしうるとみています。運用資産残高で最大級の債券ETFのアクティブ運用者として、また最大級のアクティブETF(MINT)の運用者として、PIMCOはお客様が選択した商品に債券のアクティブ運用が活かされるよう努めています。

第2のテーマ:税環境の変化を一段と重視する必要性

2017年税制改革法(減税・雇用法)から1年が経ち、税制は米国のほぼすべての投資家にとって最重要検討事項になっています。一部の個人の最高限界税率が50%を超える中、効率的なポートフォリオの構築と高度な税務戦略が、ファイナンシャルアドバイザーにとって主要な差別化の手段になりつつあります。

地方債は多くの富裕層や超富裕層のポートフォリオに不可欠なのは当然ですが、大衆富裕層のポートフォリオにも次第に組み入れられるようになっています。顧客の利回り向上と元本保全を助けるうえで、ファイナンシャルアドバイザーは、多くの場合、地方債の運用を資産運用会社に委託しています。若干の追加リスクとボラティリティが伴うものの、より高い利回り確保の手段として、ハイイールド地方債やクローズドエンド型の地方債ファンドに資金を割り当てていることもあります。

PIMCOでは、ガーティン社との提携を通じて、地方債戦略でお客様との関係を深めることができることを喜ばしく思っています。

地方債戦略以外に、ファイナンシャルアドバイザーは、資産管理や運用モデルに税制の影響を取り入れ、税関連サービスを提供しています。たとえば、標準的な控除や(国および地方税の)控除の限度額の変更を踏まえ、多くのアドバイザーは現在、寄付者助言基金の活用を推奨しています。退職が近い顧客には、税制をより意識した資産配分と最適な引き出し戦略を重視しています。超富裕層や富裕層には、資産譲渡や保険専用ファンドと組み合わせた私募の生命保険と年金の一層の活用を重視しています。

第3のテーマ:オルタナティブ投資の拡大―活用と定義

PIMCOでは、オルタナティブ戦略を広く定義し、クローズドエンド型ファンド、インターバル・ファンド、プライベート・ファンド、ヘッジ・ファンドなどの投資ストラクチャーや投資戦略を含め、売買される資産のタイプ、投資リターンの源泉、ポートフォリオ内での戦略の役割を重視しています。

リターンの源泉を分散し、より高いリターンを見込み、ボラティリティの抑制とインカムを高めることを目的に、オルタナティブ戦略に目を向けるアドバイザーや個人投資家が増えていることにPIMCOは注目しています。さらに、多くのアドバイザーは、自らの付加価値を高め、パッシブ運用やロボット運用に対する防御壁を構築する手段として、オルタナティブ戦略が重要な役割を担うと見ています。

大衆富裕層や富裕な投資家がプライベート市場や非相関的投資手法にアクセスできる手段として、オルタナティブ投資ストラクチャーは主流になりつつあると言えます。こうしたトレンドを後押しする動きとして、最新技術プラットフォームによってオルタナティブ投資にアクセスするプロセスが合理化され、新たに登録されたファンド・ストラクチャーでは最低投資額が引き下げられ、こうしたソリューションを顧客であるウェルスマネジメント会社に提供する老舗の資産運用会社が増えています。これらはいずれも、オルタナティブ投資の「民主化」に寄与しています。

とはいえ、オルタナティブ投資の運用会社を慎重に評価し、こうした投資が顧客に適しているかどうかを決定する責任は、アドバイザーにあります。運用会社の選択は常に重要ですが、オルタナティブ投資など流動性の低い戦略の場合、特に重要だと言えるでしょう。

PIMCOでは、Artivest*などのテクノロジー・プラットフォームや、クローズドエンド型、インターバル・ファンドなど、新たに登録したファンド・ストラクチャーを活用して、アドバイザーや個人投資家のオルタナティブ投資へのアクセスを助けることに尽力しています。

第4のテーマ:退職後の生活設計が最優先に

2011年に65歳になり始めたベビーブーマーは、2029年には全員65歳以上になり、米国の総人口に占める65歳以上の割合は20%に達します。個人がアドバイザーを求める最大の理由の1つが退職であり、アドバイザーにとっては今まさに大きな機会が訪れていると言えます。退職に際しては、社会保障、資産配分、引き出し戦略、税や医療について高度に入り組んだ意思決定が重要になりますが、新たなツールやソリューションによって、ファイナンシャルアドバイザーはより包括的な助言が可能になっています。行動の問題も主な検討課題になります。多くの学術研究では、個人は退職後に(資産を切り売りするなど)資産を「取り崩す」とされていますが、実際には、そうしない退職者が少なくありません。資産運用で得られたインカムで生活することを選択したり、インカムが十分でない場合は生活スタイルを変えるなどして、むしろ退職後に資産を増やす退職者が存在します。ほとんどの退職者にとって、社会保障や年金など、伝統的な所得保証ではニーズを満たすことができないため、退職後の安定的なキャッシュフローの創出が最重要課題になります。PIMCOでは、この点が現在の資産運用業界における緊喫の課題の1つだと考えており、アドバイザーや個人のお客様がこうした複雑な課題を解決するお手伝いをするべく、債券、リスク管理、負債を活用した資産運用に関するノウハウをご提供いたします。

第5のテーマ:アドバイザーのビジネス・モデルは急速に進化

アドバイザーは、資産運用会社や金融技術(フィンテック)のプロバイダーなど、第三者が提供するツールへのアクセスを拡大しています。デジタルサービスが人間のアドバイスに完全に取って代わるとはみていませんが、多くのアドバイザーが、テクノロジーを活用して効率を高めつつ、リアルタイムではカスタム化した方法で新規顧客への対応を図るなど、ハイブリッド・モデルを導入しています。アドバイザーも運用会社も、増加する一途のデータを活用して、顧客に合わせた販売やサービスを提供しようとしています。PIMCOでは、アドバイザーがPIMCO独自の分析力にアクセスし、顧客により大きな価値を提供できるように、デジタル・ソリューションへの投資を今後も続けていきます。

また、ポートフォリオの構築や資産配分については、所属するアドバイザリー会社のモデルか第三者、運用会社のモデルを活用するなどアウトソーシングして、自らの業務を簡素化し、顧客の獲得と維持に注力するアドバイザーが増えています。ファイナンシャルアドバイザリー会社は、潜在的な顧客の成果の範囲を限定し、より大きな監視権限を発揮しようとしており、こうした動きを後押ししています。多くのアドバイザーは、資産運用や銘柄選択を直接管理できる業務慣行を確立していますが、他の分野に時間や関心が取られることや、アウトソーシングによる魅力的なソリューション・モデルを提供するプロバイダーが増えていることから、長期的にはアウトソースするアドバイザーが増えていくものとみられます。PIMCOは革新的なソリューション・モデルを開発しており、この分野でアドバイザーと提携できることを嬉しく思っています。

これとは対極の動きとして、一部の大手アドバイザーの業務が拡大を続けており、より複雑なニーズを持つハイエンドの顧客をターゲットとする中で、(税制や相続税対策など)特定分野で専門知識を持つ他の企業と提携して、資産運用、資産形成など幅広いサービスを提供する動きがみられます。多くのアドバイザーは、オルタナティブやラップアカウントの投資から、節税対策、保険・資産譲渡戦略まで、革新的な投資ソリューションを手掛けており、多くの場合「家族カウンセラー」の役割を担い、次世代を教育し、資産譲渡効果への理解を促しています。税制改正に伴い遺産税の免除が拡大したことを背景に(2,200万ドル超)、相続対策は今や税を越えたプロセスに入っています。

今後の展望

PIMCOでは、リスク調整後の魅力的なパフォーマンス、業界をリードする顧客サービス、アドバイザーや個人投資家の目標達成を支援する革新的なツールやソリューションの提供に尽力しています。PIMCOは創業以来、一貫して顧客と対話を重ね、共に歩むことで、最高の投資ソリューションを生み出してきました。これまで述べてきた大きな変化のなかで、ウェルス・マネジメント会社、ファイナンシャル・アドバイザー、投資家を支援することを目指し、より広範にパートナーシップを深めていきたいと考えています。

 

*ArtivestとPIMCOは提携しているわけではありません。

著者

Barbara Clancy

U.S. Global Wealth Management

Eric J. Mogelof

米国グローバル・ウェルス・マネジメントの統括責任者

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ご留意事項

情報はすべて2018年12月31日時点。

過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

全ての投資にはリスクが伴い、価値は下落する場合があります。債券市場への投資は市場、金利、発行体、信用、インフレ、流動性などに関するリスクを伴うことがあります。ほぼ全ての債券及び債券戦略の価値は金利変動の影響を受けます。デュレーションの長い債券及び債券戦略は、より短い債券及び債券戦略と比べて金利感応度と価格変動性が高い傾向にあります。一般に債券価格は金利が上昇すると下落し、現在のような低金利環境ではリスクが高まります。債券取引におけるカウンターパーティーの取引能力の低下が市場流動性の低下や価格変動制の上昇をもたらす可能性があります。債券への投資では換金時に当初元本を上回ることも下回ることもあります。株式の価値は一般的な市場、経済、産業の実体と見込み両方の状況によって減少する可能性があります。高利回りで低格付けの証券はより高格付けの証券よりも高いリスクを伴います。また、それらへ投資しているポートフォリオは投資していないポートフォリオに比べてより高いクレジット・リスクと流動性リスクを伴う場合があります。地方債による利子収入は、州税、地方税、また場合により代替ミニマム税の課税対象となる場合があります。単独あるいは少数の州に限定した投資戦略は、不利な経済状況や規制改正などのより高いリスクを伴う場合があります。デリバティブ商品を利用することにより、コストが発生する可能性があり、また流動性リスク、金利リスク、市場リスク、信用リスク、経営リスク、そして最も有利な時点でポジションを清算できないリスクなどが発生する可能性もあります。デリバティブ商品への投資により、投資元本以上の損失を被る可能性もあります。

オルタナティブ投資戦略は投機的であり、元本の一部または全部が毀損するなど高度なリスクを伴います。運用成績は変動する可能性があり、投資家には金融の知識とこうしたリスクを許容する意思が求められます。オルタナティブ戦略への投資は流動性が低く、譲渡制限を受ける可能性があります。また、譲渡したい場合でも流通市場が存在しないのが一般的です。プライベート・ファンドやオルタナティブ戦略への投資に関する手数料および費用は、他の投資に関わる手数料および費用に比べて高く、利益が相殺される可能性があります。クローズドエンド・ファンドは、オープンエンド・ファンドと異なり、常に提供されるわけではありません。公開後、株式は株式交換所を通じて公開市場で売却されます。一般の株式と同様に、クローズドエンド・ファンドの普通株の価格は、市況やその他の要因により変動します。クローズドエンド・ファンドの株式はしばしば割安な価格で取引されますが、純資産価値にプレミアムを上乗せした価格で取引される可能性があります。クローズドエンド・ファンドはレバレッジがかけられ、ファンドが保有する原資産に依存した様々なリスクを内包している可能性があります。インターバル・ファンドへの投資は、すべての投資家に適しているわけではありません。一般的なクローズドエンド・ファンドと異なり、インターバル・ファンドの株式は通常、株式市場に上場されているわけではありません。インターバル・ファンドは、決まった期間に一定限度の株式の買戻しを提供することで、投資家に対して限定的な流動性を供給しますが、投資家はインターバル・ファンドの株式を非流動性投資と考えるべきです。したがって、インターバル・ファンドの投資は流動性リスクにさらされ、投資家は有利な時期や価格で株式を売却できない可能性があります。流通市場はなく、今後の開設も見込まれていません。投資家が一定期間内に全部または一部の株式買戻し請求を行使できる保証はありません。

債券市場への投資は、以下のリスクを伴います。金利の変化で債券価値が下落するリスク。ETFが純資産価値以外の価格で取引されるリスク。運用者の投資判断が期待した成果を生まないリスク。ETFの投資には、元本が毀損するリスクを伴います。投資リターン、価格、利回り、純資産価値は、市況の変化に伴い変動します。売却時の価値は当初費用を上回る可能性も下回る可能性もあります。

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