PIMCOの視点

投資適格債:BBB格債券にはアクティブなアプローチを

米国の投資適格社債市場では、信用力が低いカテゴリーにおいて投資の失敗余地が小さくなっています。

国社債市場は数十年間にわたって飛躍的に拡大し、巨大かつ多様な資産クラスに発展しました。最近4年間をとってみても、市場規模は約4兆ドルから5.8兆ドルに拡大していますが、その一方で、発行体の信用力は全般に悪化傾向にあります。社債ポートフォリオにおいてパッシブ運用とアクティブ運用の潜在的なリスクとメリットを比較する際は、投資家は特にこのような傾向を注意深く見守る必要があるでしょう。

重要なのは、米国の非金融銘柄の投資適格債市場において、BBB格(投資適格の中で信用力が最も低い格付け)の割合が1990年代の25%程度から48%へと拡大しているという点です。さらにBBB格の中でもリスクが高いカテゴリーを見てみると、BBB格低位の残高はBB格全体(投機的階級の中で信用力が最も高い格付け)の残高を上回っています。(信用格付け、発行体、クレジット・スプレッド、リスク、投資する理由の概要については、社債に関するPIMCOの解説資料をご参照ください。)

平均的な社債のファンダメンタルズも悪化傾向

BBB格の非金融系企業の純レバレッジ(平均)は、2000年の約1.7倍から2.9倍に拡大しました(図表1で示したように、純レバレッジは『総負債-現金-短期投資』÷『EBITDA(利払・税引・減価償却前利益)』と定義されます)。つまり、格付会社はレバレッジの上昇に対してより寛容になったと言えます。このため、特に利益が景気サイクルと密接に連動する業種においては、投資適格の下位の銘柄に投資する際に一段と慎重になる必要があります。

また、米国の投資適格の発行体のレバレッジが拡大した動きにも注目するべきでしょう。純レバレッジが4倍を超える非金融投資適格銘柄の割合は、2010年には6.6%に過ぎなかったものの、2017年には19%に上昇しています(図表2)。また、純レバレッジが2倍を下回る非金融投資適格銘柄の割合は、2010年の55%から2017年にはわずか26%にまで低下しました。

一方、記録的な低金利環境において、BBB格の発行体のインタレスト・カバレッジ・レシオは、2000年の5.3倍から8.2倍へと改善しました(図表3参照)。とはいえ、同レシオは2013年に11.4倍に達した後、近年では全般に悪化傾向にあります。

しかし純負債対企業価値比率の平均値をみると、このようなマイナス要因は一部相殺されています。株価上昇が追い風となって、同比率は10年前の23.9%、5年前の26.8%から2017年には29.5%に上昇するなど、信用力悪化の度合いは大幅に抑制されています。クレジットスプレッドと同比率の間には従来から高い相関が存在することを踏まえると、これは注目に値するポイントと言えるでしょう。

さらに、米国のBBB格企業の長期的なシャープ・レシオ(リスク調整後リターン)は、格下げリスクの高さに対する超過プレミアムの存在を背景に、従来からA格企業を上回っています。1997年以降のデータによると、A格企業のシャープ・レシオは+0.17でしたが、BBB格は+0.39でした。2007年以降のデータに絞ると両者の差はさらに拡大し、BBB格企業の同レシオは+0.70、A格企業は+0.14となります。

フォーリン・エンジェル・リスクに注意

2016年には、コモディティ価格の下落を主因として、BBB格企業の18%が投資適格未満に格下げされ、ハイイールド債のカテゴリーに属することになりました。(投資適格から投機的に格下げされた社債は「フォーリン・エンジェル」と呼ばれます)平均発行額と格付け推移の過去データを適用すると、2018年には800億ドル近くのBBB格社債が格下げされる可能性があります。多くの場合、格下げによって、または格付け予想が「ネガティブ」へ変更されたことによっても、スプレッドには多大な影響が及びます。

投資家にとって、リターンに対するマイナスの影響の可能性を避けるために、フォーリン・エンジェル・リスクを認識することが重要です。また、社債発行体の数は最近5年間では33%、最近10年間では67%も増加しており、投資適格企業の社債を選択する作業は一段と難しいものになっています。

パッシブ運用者とは異なり、アクティブ運用者はベンチマーク・インデックスに含まれない債券に投資することが可能です。また、充実したクレジット・リサーチのアナリストを擁するアクティブ運用者は、最も魅力的な銘柄を選択するとともに、投機的階級への格下げリスクがある銘柄と、投資適格階級への格上げの可能性がある銘柄(「ライジング・スター」と呼ばれます)を見極めるために、可能な限り多くの発行体を投資の検討対象にすることが可能です。

業種と発行体のアクティブな選択

複雑なBBB格債券を含む社債投資に伴うリスクを管理する上で、PIMCOは大手のアクティブ債券運用会社として、理想的な位置にあると考えています。

クレジット・リサーチ及び社債運用チームは、高い参入障壁と価格決定力に支えられ、トレンド以上の成長力を発揮し、経営陣が債券保有者にとって最善の利益となるよう行動する企業に注目しています。このような企業は有機的にレバレッジを引き下げ、投資適格階級を維持する能力が高いとPIMCOでは考えています。

現在の米国市場では、この基準に合致した魅力的なBBB格債券が数多く存在します。たとえば、ヘルスケア、メディア、テレコム、パイプラインなどのセクターには投資価値があるとみています。これに対して、小売り・食料品、テクノロジーの一部のニッチなセクター、非景気循環消費財、資本財のように、社債のファンダメンタルズが全般に悪化し、参入障壁、資産の質、価格決定力が総じて低い業種のBBB格企業については、慎重にみています。

投資へのインプリケーション

投資家は非金融のBBB格社債に対して、とりわけ格下げリスクが高く失敗の余地が小さいBBB格低位の銘柄に関しては、より慎重で選別的なアプローチをとることを検討すべきであるとPIMCOでは考えています。BBB格全体を単にアンダーウェイトとするよう推奨しているわけではなく、現在の環境では、より選別的なアプローチを提案していることを強調したいと思います。非金融のBBB格の中でも、参入障壁が高く、トレンドを超える成長力を発揮し、価格決定力の高い業種においては特に、投資機会が存在すると考えています。

一般的にクレジットに対する割安感が乏しく、景気下降局面では脆弱になり得る足元の環境において、PIMCOでは、BBB格債券については、ボトムアップの投資アイデアに注目しています。これがPIMCOの社債全体に対する短期の時間軸での見方でもあります。PIMCOの短期のマクロ経済予測の詳細と投資へのインプリケーションについては、直近の短期経済予測『成長のピークへ』をご参照ください。

BBB格社債の選択に際しての失敗の余地が小さくなるとともに、BBB格低位のカテゴリーが拡大するなかで、個別銘柄ごとのリスクを管理することがこれまで以上に重要になっています。このような環境においては、大規模で経験豊富なクレジットアナリスト・チームに支えられた社債ポートフォリオのアクティブ運用が、極めて効果的なアプローチになり得ると考えています。

PIMCOのクレジットリサーチに対する精緻なアプローチをビデオ(5分間)で理解する。

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著者

Lillian Lin

投資適格債担当 ポートフォリオ・マネージャー

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インデックスの構成銘柄変更は投資の好機​​​

債券のベンチマークをトラックするパッシブ運用者は、発行体がベンチマークから除外された場合、その本質的な価値が直ちに変わらないとしても、売却を余儀なくされることになります。その結果、アクティブ運用者には、より割安な価格で購入する機会が生まれる可能性があります。

ご留意事項

別段の表示がない限り、引用されたデータはJPモルガンとモルガンスタンレーによるものです。

過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

債券市場への投資は市場、金利、発行体、信用、インフレ、流動性などに関するリスクを伴うことがあります。ほぼ全ての債券及び債券戦略の価値は金利変動の影響を受けます。デュレーションの長い債券及び債券戦略は、より短い債券及び債券戦略と比べて金利感応度と価格変動性が高い傾向にあります。一般に債券価格は金利が上昇すると下落し、現在のような低金利環境ではリスクが高まります。債券取引におけるカウンターパーティーの取引能力の低下が市場流動性の低下や価格変動制の上昇をもたらす可能性があります。債券への投資では換金時に当初元本を上回ることも下回ることもあります。社債には、発行体が元利金の支払い不能に陥るリスクがあります。また社債の価格は金利感応度や発行体の信用力に対する市場の認識、市場の全般的な流動性といった要因の影響により、変動する可能性があります。全ての投資にはリスクが伴い、価値は下落する場合があります。

特定の証券や種類の証券の信用格付により、ポートフォリオ全体の安定性や安全性が確保されるわけではありません。個別の銘柄、および発行体の信用格付はそれらの信用度を示すため付与されており、一般的には、信用格付会社スタンダード・アンド・プアーズ、ムーディーズ、フィッチそれぞれ、最高格付のAAA、Aaa、AAAから最低格付D、C、Dまでの幅があります。

本資料で言及した投資戦略が、あらゆる市場環境においても有効である、またはあらゆる投資家に適するという保証はありません。投資家は、自らの長期的な投資能力、特に市場が悪化した局面における投資能力を評価する必要があります。 投資判断にあたっては、必要に応じて投資の専門家にご相談ください。

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