注目の運用戦略

PIMCOインカム戦略アップデート: 不安定な市場での価値の追求

さまざまな市場環境においてこの戦略の投資目的を達成するには、高利回り証券と、信用力の高い証券の程よいバランスアプローチが最適だと考えています。

下のQ&Aでは、ポートフォリオ・マネージャーのアルフレッド・ムラタが、インカム戦略での投資機会と、上昇する金利に備えてどのようなポジションを取っているのかをご説明します。

問:インカム戦略では、第一の目的である安定したインカムの提供と、第二の目的である長期的な元本の成長を、どうバランスさせているのかを教えてください。


アルフレッド・ムラタ:インカム戦略では多様なセクターを利用し、ベンチマークにとらわれず、最良のインカムを生み出すPIMCOのグローバルな投資アイデアを活用しています。また同時に、クオリティを維持しながら資本構成上の上位の証券を中心に投資しています。PIMCOのインカム戦略はベンチマークをアウトパフォームすることが目的ではなく、投資家への安定的なインカムの提供を目指しています。このため、全ての債券市場から投資アイデアを柔軟に汲み上げることができるのです。

これらの目的を達成するため、この戦略は大きく2つの部分に分けられています。つまり経済が堅調な場合に高いパフォーマンスが期待できる利回りが比較的高い資産と、経済が低調な場合に効果的な保有となる安全性が比較的高い資産の部分です。さまざまな市場環境においてこの戦略の投資目的を達成するには、このアプローチが最適だと考えています。

問:多くの投資家が金利上昇を見込み、債券ポートフォリオに与える影響を懸念しています。金利上昇に対し、インカム戦略はどのようなポジションを取っているのでしょう。


ムラタ: 債券のアクティブ運用会社には、金利上昇時に発生するリスクを軽減する様々な手段があります。

インカム戦略は、PIMCOのマクロ経済見通しに基づき、デュレーションを機動的に変更する柔軟性を持っています。一般的に、低金利で魅力の乏しい時には、金利のエクスポージャーを引き下げてきました。逆に、金利が上昇して投資妙味が増した時には、引き上げています。これまで、金利リスクについては守りの姿勢を維持し、大きなリスクを取るに値しないと確信した際には、柔軟性を活かしてデュレーションを調整してきました。

金利上昇時のもう一つの戦略は、デュレーションをグローバルに捉えることです。インカム戦略は世界中の債券市場で運用しているため、金利リスクを分散することができます。例えば、これまで数年にわたってオーストラリアに投資していますが、先進国のオーストラリアは信用力も高く、景気減速局面にあることから金利も低下しています。

さらに、金利上昇は通常強い経済環境と一致するため、例えば非政府機関系モーゲージ債(MBS)など、景気上昇の恩恵を受ける債券への投資に注力しています。もし景気回復に伴って金利が上昇すれば、好況時に高い利回りが期待できる債券から高いリターンが期待できるでしょう。

問:インカム戦略では柔軟なデュレ―ション幅を活用するそうですが、ポートフォリオの金利エクスポージャーをどのように管理しているのですか。


ムラタ: インカム戦略はデュレ―ションを0から8年までアクティブに動かせる柔軟性を備えています。デュレーションを機動的に管理し、現在は比較的利回りの高いオーストラリアや米国など、高い信用力を重視しています。年初来金利は上昇していますので、信用力の高いインカムを確保する好機だと考え、米国のデュレ―ションを増やしています。また、これはリスクオフのイベントが起こった場合のヘッジにもなります。米国のデュレ―ションは伸ばしていますが、金利リスクについては慎重な姿勢を維持し、イールドカーブのポジションについては、予想外のインフレ上昇による影響を最も大きく受ける長期ゾーンのエクスポージャーを限定しています。

また、引き続きオーストラリアのデュレ―ションには魅力があるとみています。米国と同等の利回りで、世界経済停滞のダウンサイドリスクの影響を抑えることのできる質の高い投資と言えます。

一方、世界の金利上昇に備えて、日本のデュレ―ションはマイナスとしています。このポジションのリスクは対称的ではなく、ダウンサイドリスクは限定されていると考えています。もし世界の金利が上昇し続ければ、日銀はイールドカーブの目標設定プログラムの再考を余儀なくされ、利回り上昇を許容するでしょう。

問:インカム戦略へは多くの資金が流入していますが、このように巨額の資産運用について、PIMCOがどのように運用してきたのか、運用しているのかを教えてください。


ムラタ:PIMCOには比較的大規模な戦略の運用経験があります。現在のインカム戦略に関して、全体的な規模にも資金流入の大きさにも問題はありません。総資産額は絶対額でみれば大きく見えますが、米国や世界の債券市場に比べると、相対的にはそれほど大きなものではありません(図表 参照)。全世界で100兆ドルにおよぶ様々なセクターの投資機会を考えれば、また2016年7月の底から2倍以上上昇した米国金利を考えれば、今後も幅広い分野から魅力的な投資機会を探し出し、投資目的を達成できると考えています。

加えて、PIMCOではこの戦略を支えるために多くの経営資源を投入してきました。また、今後も投入し続けていきます。インカム戦略の柔軟性と幅広い投資機会により、240名に上るポートフォリオ・マネージャーと60名以上のクレジット・アナリストを含めて、PIMCOの世界中のリソースを活かすことができます。


著者

Alfred T. Murata

モーゲージ・クレジットチームのポートフォリオ・マネージャー

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ご留意事項

債券市場への投資は市場、金利、発行体、信用、インフレ、流動性などに関するリスクを伴うことがあります。ほぼ全ての債券及び債券戦略の価値は金利変動の影響を受けます。デュレーションの長い債券及び債券戦略は、より短い債券及び債券戦略と比べて金利感応度と価格変動性が高い傾向にあります。一般に債券価格は金利が上昇すると下落し、現在のような低金利環境ではリスクが高まります。債券取引におけるカウンターパーティーの取引能力の低下が市場流動性の低下や価格変動制の上昇をもたらす可能性があります。債券への投資では換金時に当初元本を上回ることも下回ることもあります。外貨建てあるいは外国籍の証券への投資には投資対象国の通貨価値の変動や経済及び政治情勢に起因するリスクを伴うことがあり、新興成長市場への投資ではかかるリスクが増大することがあります。モーゲージ担保証券と資産担保証券は金利水準に対する感応度が高い場合があり、期限前償還リスクを伴い、また、発行体の信用力に対する市場の認識に応じてその価格は変動する可能性があります。また、一般的には政府または民間保証機関による何らかの保証が付されていますが、民間保証機関が債務を履行する保証はありません。高利回りで低格付けの証券はより高格付けの証券よりも高いリスクを伴います。また、それらへ投資しているポートフォリオは投資していないポートフォリオに比べてより高いクレジット・リスクと流動性リスクを伴う場合があります。株式の価値は一般的な市場、経済、産業の実体と見込み両方の状況によって減少する可能性があります。デリバティブ商品とモーゲージ関連商品を利用することにより、コストが発生する可能性があり、さらに流動性リスク、金利リスク、市場リスク、信用リスク、経営リスク、そして最も有利な時点でポジションを清算できないリスクなどが発生する可能性もあります。デリバティブ商品への投資により、投資元本以上の損失を被る可能性もあります。分散投資によって、損失を完全に回避できるわけではありません。マネジメント・リスクとは、PIMCOが用いる投資手法およびリスク分析が望んだ結果を生まないリスク、また、政策や変更等が戦略の運用においてPIMCOが利用可能な投資手法に影響を及ぼしうるリスクを指します。

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