注目の運用戦略

PIMCO ESGインカム戦略:サステナビリティに注目しつつ、魅力的なインカムを追求

PIMCOの革新的なESG(環境、社会、ガバナンス)投資のアプローチに、インカム投資の専門性を融合したこの機動的な戦略は、多数のセクターで世界の投資機会をターゲットにしています。

変貌するグローバル経済のなか、インカムなどの伝統的なポートフォリオの運用目的の中に、サステナビリティ目標を組み入れることに多くの投資家が関心を示しています。PIMCOでは、投資家の金融目標を達成することを目的とした、ESG(環境、社会、ガバナンス)投資ソリューションをサポートする専門のプラットフォームを立ち上げました。そのソリューションのひとつが、PIMCO ESGインカム戦略です。以下のQ&Aでは、ESGインカム戦略に携わる二人のポートフォリオ・マネージャー(インカム戦略とその関連戦略を主に担当するジョシュ・アンダーソンと、ESG関連のクレジットセクターを主に担当するイェレ・ブロンズ)と、マルチセクター債券チームのストラテジストのゴードン・ハーディングが、当戦略の運用アプローチと、より幅広いポートフォリオの中における役割についてご説明します。

問:PIMCO ESGインカム戦略とはどのようなものですか。

ゴードン・ハーディング :PIMCO ESGインカム戦略は、世界の債券市場において、ESG投資を意識しながら、魅力的かつ安定したインカムの提供を目指す、ベンチマークに依存しない機動的なポートフォリオです。当戦略では、PIMCO独自の分析に基づき、ESGの信頼性が高く安定したインカムが期待できる証券に投資し、責任投資に相応しくない業界や発行体への投資は制限しています。

サステナビリティを強く意識し、一貫したインカムを提供しながら高ボラティリティ時を乗り切れる耐性を持ったポートフォリオ構築を目指すこの柔軟な戦略は、多数の潜在的リターンの源泉にアクセスして、広く分散されたオポチュニスティックなアプローチを機動的に活用します。

問:サステナブル投資のアプローチをどのように組み入れるのでしょう。

イェレ・ブロンズ :ESGインカム戦略は、PIMCOが社会的責任投資を始めて以来、30年以上にわたり磨き続けてきた、確固として規律あるESG投資のアプローチを活かした戦略です。ESGチームは、PIMCOの幅広いリサーチプロセスの中に完全に統合され、主要なサステナビリティ要因は既に長年にわたって、PIMCOのトップダウンとボトムアップの投資プロセスの中に組み入れられています。サステナビリティ要因は、長期的な投資機会とリスクを評価するうえでの重要な検討要素であり、また、ESG上の検討内容は、資産クラスによって異なります。ESG統合とは、金融目標よりもESG目標を優先することではありません。

PIMCOのESGアプローチには、三つの要素があります。持続可能性の原則に根本的にそぐわない投資をExclude - 排除し、ESGの観点から投資をEvaluate - 評価し、そして、ESGに関連したビジネス慣行を改善させるために、発行体と積極的なEngage - 対話を行います。

ボトムアップの観点から、個々のグリーンボンドの特性を評価する独自のグリーンボンドスコアリングシステムのほか、社債、ソブリン債、証券化商品、米国地方債セクターにいたるまで、強固なESGリサーチの枠組みを開発してきました。PIMCO独自のESGスコアリングモデルにより、ポートフォリオ・マネージャーが下す投資判断において洞察が深まり、個々の証券に対する、ESGのレンズを通した慎重で公正な見方が可能になりました。また、PIMCOの投資プロセスには、厳格なリサーチに基づくトップダウンの見通しも組み入れられており、気候変動や不平等などのESG関連テーマを含めた、大きなマクロのトレンドや社会の変質も考慮しています。

債券発行体との積極的かつ協力的なエンゲージメントも、PIMCOのESG投資プロセスの重要な構成要素です。債券投資のグローバルリーダーとして、PIMCOはその規模と発行体の経営陣との関係を最大限に活用し、ポジティブな変化の推進、潜在リターンの引き上げ、お客様のリスク削減に寄与することができます。PIMCOのクレジットリサーチ・アナリストは、彼らがカバーする企業と定期的にエンゲージメントを実施しており、そこでは気候変動対策の目標や環境計画、人材管理、取締役会の選任要件や人員構成など、ESG関連のテーマが議論されています。

問:ESGインカム戦略のポートフォリオで注目しているセクターは何ですか。

ジョシュ・アンダーソン :ESGインカム戦略では、世界の債券市場への機動的なアプロ―チを活用し、セクター分散の維持に努めています。米国債や政府系モーゲージ債(MBS)など、高格付け資産に対するエクスポージャーと、証券化クレジット商品、企業クレジット、エマージング市場などの高利回りセクターとのバランスを取ります。各セクターをESGの観点から分析することによって、サステナビリティに注目しながら、多数のセクターにアプローチすることが可能になります。

例えば、証券化商品の市場では、不動産投資向けではなく、初めて家を買う人向けに資金提供する住宅ローン担保証券(RMBS)に投資することで、人々の住宅保有を促し、金融機関の責任ある融資を推進すべく、資産価値負債比率(LTV)や住宅ローン金利に注目することも可能です。また同様に、商業不動産担保証券(CMBS)市場においても、(LEED認証など)環境に配慮した建物を担保とするディールに的を絞ることも可能です。企業クレジットの分野では、有望な高利回りのグリーンエネルギー企業に投資したり、十分な金融サービスが受けられない人々にサービスを提供している金融機関などに投資する例が挙げられます。エマージング市場では、持続可能な社会とガバナンスを実践している国々への投資が考えられます。

問:インカム戦略とESGインカム戦略の違いを教えてください。

ジョシュ・アンダーソン :ESGインカム戦略では、一貫したインカムを目指して、長年実証してきた「曲がっても折れない」インカム戦略のアプローチを活かします。しかし、ESGインカム戦略は単にESGのスクリーニングを経た、インカム戦略の複製が目的ではありません。ESGインカム戦略は一から作り上げられたポートフォリオです。魅力的なインカムの可能性を持ちつつ、ESGの観点から優れている証券を重視しています。この戦略では最終的に、カーボンフットプリント(温暖化ガス排出量)が低く、グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティ・リンク・ボンドへ投資し、発行体とのエンゲージメントに注力している点が重要となります。どちらの戦略もPIMCOのトップダウンとボトムアップの投資プロセスから生まれており、当然のこととしてセクター・エクスポージャーやマクロのリスク要因でインカム戦略と類似するところがありますが、それらの主要な要因を二つのポートフォリオ間で同一にする意図はまったくありません。

問:サステナビリティを重視しつつインカムに注目する運用戦略に対する、PIMCOの強みを教えてください。

イェレ・ブロンズ :ESGインカム戦略は、ESGとインカム投資という二つの分野におけるPIMCOの高い専門能力を融合した戦略で、インカムの獲得を目指し、複数のセクターにおいて、サステナブルで機動的な債券ポートフォリオを志向する投資家向けのソリューションです。この戦略は、50年に及ぶPIMCOの革新的な債券運用の歴史、業界内での影響力、さらに最大のアクティブ運用のマルチセクター債券インカム戦略を含む実績ある商品のラインアップを活かした戦略です。

PIMCOは業界のリーダーとして、債券のESG統合に関する議論をまとめるべく、積極的な役割を果たしています。その一例として、国連とのコラボレーションがあります。PIMCOは国連から、持続可能な開発目標(SDGs)達成のための資金調達に向けて、PIMCOの債券市場における専門性と世界中の財務最高責任者(CFO)に対する影響力を活かして、投資意識向上に向けた活動の設計と参加をするよう依頼されました。

問:今日の市場環境において、投資家の全体的なポートフォリオの中で、PIMCOのESGインカム戦略が果たしうる役割は何でしょうか。

ゴードン・ハーディング : ESGインカム戦略は、ベンチマークに囚われない機動的なアプローチにより、ESGのフレームワークの中で魅力的なインカムの提供を望む投資家にとって、魅力あるソリューションになりうるとPIMCOでは考えています。当戦略は過剰なリスクを取らず、持続可能な債券発行体との強力なパートナーシップを保ちながら、責任ある方法で一貫したインカムの提供を目指しています。

「曲がっても折れない」投資哲学に合う証券を保有しながら、流動性と品質に注力していきます。機動的な幅広いガイドラインにより、経済や市場環境の変化に応じて、数多くのリターンの源泉にアクセスし、投資機会をうかがうことが可能な戦略です。

PIMCOのESG投資のアプローチについて更に詳しい情報はこちらをご覧ください。



[i] 2021年6月30日現在出所:モーニングスター


(2021年10月21日発行)

著者

Joshua Anderson

グローバルABSポートフォリオ・マネジメントチーム統括

Jelle Brons

グローバル社債チームのポートフォリオ・マネージャー

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過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

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PIMCOでは、環境・社会・ガバナンス(「ESG」)要因を幅広くリサーチプロセスの中に取り入れ、サステナビリティ要因に関して発行体と積極的な対話を行い、気候変動に関連する投資分析を行っています。PIMCOでは、ESG統合を「気候変動リスク、ダイバーシティ(多様性)、インクルージョン(包摂)と社会的平等、規制リスク、人材管理などのさまざまな主要ESG要因を、投資リサーチプロセスのなかで一貫して考慮すること」と定義しています。詳しくは、PIMCOの「ESG投資方針綱領」をご覧ください。

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