注目の運用戦略

PIMCOインカム戦略:インカム獲得に挑み続けた10年​​​

10年にわたり、インカム戦略がボラティリティをどのように投資機会に換えてきたのかを、ポートフォリオ・マネージャーであるダン・アイバシンとアルフレッド・ムラタがインタビュー形式でお伝えします。

ンカム志向の投資家にとって、これまでの10年ほど苦難を強いられた時期は思い当たりません。この10年間は金融危機を起点に、 トランプ大統領を誕生させたポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭に挟まれた10年です。その間には、欧州金融危機、テーパリング癇癪(量的緩和縮小に対する市場の過剰反応)、中国経済の 減速、米国の金利正常化の始まり、そして英国のEU離脱(Brexit)などに市場は翻弄されてきました。そのようななかでも、金利と利回りは歴史的に低い水準に留まったままでした。

このような状況にあっても、PIMCOインカム戦略は「曲がっても折れない」アプローチで難局を乗り越え、安定的なインカムを追及してきました。この3月30日に、運用開始以来10年の節目を迎えたPIMCOインカム戦略について、ポートフォリオ・マネージャーの ダニエル・J・アイバシンとアルフレッド・T・ムラタが、どのように ボラティリティを投資機会に換え、金利上昇期に不透明感が増す時期にどのようなポジションをとってきたのかについてご説明します。

問: 恐らく最も波乱に満ちた10年と言えるかもしれないこれまでの10年を振り返り、PIMCO インカム戦略のどのような点が最も重要だったのでしょうか。 
アイバシン: まずは、PIMCOインカム戦略が10周年を迎えることができ、ムラタも私も大変嬉しく思っています。これはチームワークの賜物で、社内の関係者全員に感謝しています。そして、 資産運用の委託先としてPIMCOを信頼してくださったお客様に、何より感謝申し上げます。

運用開始当初から、高齢化が進みお客様のインカムに対するニーズの高まりが明らかになるにつれ、より安定的なインカムと資産価値の上昇を求める声が大きくなっていると感じました。

それが、ベンチマークを意識せず、幅広い投資機会に柔軟に投資機会を見出すインカム戦略のアプローチ につながり、そのアプローチが、試練に満ちた10年を無事乗り越えることができた大きな理由です。アクティブ運用では、デュレ―ションやセクター配分などを管理することで、地域やセクター間に広く分散した運用が可能となります。これまで、金利の低下局面や、クレジット・スプレッドが拡大する局面、またクレジット・スプレッドが拡大する中で金利が上昇する厳しい局面も経験してきましたが、どのような時期でも、この戦略の柔軟性を活かして、市場の歪みから好機を捉え、ダウンサイド・リスクを抑える運用に努めてきました。

ただし、確かに柔軟性は必要ですが、それだけでは十分ではありません。世界の投資機会に目を向けるには、非常に多くのリソースが必要となります。そこでPIMCOの組織の大きさが物を言います。世界各地に配したポートフォリオ・マネージャーとトレード・デスクにより、全世界の債券市場100兆ドルすべてのセクターに投資する力を備えています。低金利時代には、市場の歪みを捉えた戦略がより大きなリターンの源泉となる可能性が高くなりますが、このような充実した組織体制は特に大きな意味を持ちます。

問:PIMCOの投資プロセスはインカム戦略にどう反映されていますか。
アイバシン: 当戦略の中心的な役割を担っています。PIMCOでは、米連邦準備制度理事会(F R B)前議長の ベン・バーナンキ氏を議長とするPIMCOグローバル・アドバイザリー・ボード(GAB)など外部のエキスパー トとPIMCOのインベスメント・プロフェッショナルが一堂に会する、短期経済予測会議(シクリカル・フォーラム)と長期経済予測会議(セキュラー・フォーラム)において、それぞれ6~12ヶ月間、3~5年間の経済と 市場の見通しを導き出します。これらのトップダウンのマクロの見方に、クレジット・アナリストやトレーダー、特定の資産クラスを担当するポートフォリオ・マネージャーからのボトムアップの知見を取り入れます。

こうした深い洞察が、インカム戦略の「曲がっても折れない」戦略を形作るベースとなっています。安定的なインカムと資産価値の安定を維持するには、ポートフォリオを2つの分野に分けることが最善だと考えています。一つ目の分野は、経済成長が予想よりも堅調な場合に高いパフォーマンスが期待できる、利回りが比較的高い資産で構成されています。二つ目の分野は、逆に経済成長が予想よりも低調な場合でも、資産価値が安定しており、相対的に安全性の高い資産です。このように2つに明確に分かれた戦略分野を持っていますが、両者はPIMCOの投資プロセスに完全に統合されています。

問:現在の見通しを教えてください。
ムラタ:ほぼ8年続く世界経済の拡大は、この先1年、その勢いを増すと考えています。多くの先進国では、 積極的な財政政策、年初からの緩和した金融情勢、消費者の信頼感と企業景況感、世界貿易の反転などの 追い風を受け、経済成長は加速するでしょう。FRBは3月15日に次いで、今年2 度の追加利上げをするとPIMCOではみています。また、今後1年の世界のGDPの伸び率は2.75%から3.25%の間を予想しています。(詳細は直近の Cyclical Outlook「軌道修正」をご覧ください。)

さらに3年から5年の長期でみると、FRBはその後何度か利上げはするものの、高齢化や、公的および民 間債務の拡大、生産性の伸びの低下などの理由から、金利水準と経済成長の伸び率は、過去の水準より低いところでピークを打つでしょう。このような理由により、今後の投資の見通しは、リターン確保の期待は十分できるものの、決して容易ではないと考えています。また、ボラティリティと不確実性は増大しており、レフト・テール(ネガティブ)とライト・テール(ポジティブ)の発生確率は、どちらも上昇したと考えています。

レフト・テール・リスクのシナリオとしては、中央銀行による政策の限界、資産価格の膨張、維持不能な水準にまで膨れ上る債務、政治的不確実性と貿易戦争のリスクなどが考えられます。一方ライト・テール・リスクには、世界的な生産性の持ち直しにより、投資と消費が高まり、「アニマルスピリット」が回復することが考えられます。

決して確実だとは言えませんが、このような環境はアクティブ運用戦略にとっては好機といえます。十分な流動性の確保とポートフォリオの柔軟性を含めたリスク管理が、今後大きく変動するとみられる市場をうまく乗り切るうえで最も重要となります。

問:現在の見通しのもとで、どのような戦略を取っていますか。
アイバシン:安定的なインカムと長期的な資産価値の上昇が常に最大の優先事項です。高利回り分野の戦略 では、ディフェンシブで安全性が高く、満期が短くデフォルトの可能性が少ない社債やストラクチャード・クレジットに注目しています。例えば、高利回りで、経済が減速する状況でも価格が下がりにくい非政府機関系モーゲージ債は引き続き魅力的だと考えています。

一方、安全性を重視する分野では、レフト・テールのシナリオが発生した場合に備え、大統領選挙後特に、米国のデュレーションを延ばしました。またオーストラリアの金利戦略でもリターンが期待できるとみています。もし中国経済が失速することがあれば、商品市場の価格が下がり、オーストラリアの経済成長と金利が低下すると考えられるためです。世界的に幅広く分散されたエクスポージャーを取ることに引き続き価値があるとみています。

問:非政府機関系モーゲージ債の見通しはいかがでしょうか。
ムラタ:非政府機関系モーゲージ債は、米国の住宅ローンを担保としていますが、ファニーメイやフレディ マックなどの政府機関の保証が付いていません。1 投資家は、ローンの借入人の返済能力に依存しています。そこで、PIMCOでは、住宅価格と債務者の信用力の2つのパフォーマンス要因を丹念に調査し、その結果、非政府機関系モーゲージ債は十分に価値があると判断しています。

問:PIMCOインカム戦略は多くの投資家の人気を呼んでいます。規模の制約はないのでしょうか。
ムラタ:すぐに問題となるとは考えていません。世界全体の債券市場の規模は100兆ドルと巨大で、まだまだ魅力的な投資余地は広く存在しています。流動性スペクトラムを意識しながら、ポートフォリオ内の分散維持に努めています。

確かに一部のセクターはそれほど規模も大きくなく、縮小している場合もあります。しかし当戦略では、何年にもわたって数多くの魅力的な投資機会を見出してきました。現在のような市場環境を上手に乗り越え、安定したインカムと魅力的なリスク調整後のリターンを追及するには、ベンチマークを意識せず、幅広い機会に投資する柔軟性が重要となる所以です。

問:この10年間のショッキングな出来事をすべて予想した人は誰もいません。次の10年間にはさらに想定外の事態が起こるだろうと心配する投資家に、アドバイスをお願いします。
アイバシン:市場のボラティリティは避けられませんが、低金利の時には特に、投資機会を見出すためのボラ ティリティは重要です。市場が過剰に反応する時は、リターンを捉える好機です。

言い方を変えれば、時価評価による市場のボラティリティは敢えて受け入れ、キャピタル・ロスを確定させないような戦略をとることでポートフォリオを守りたいと考えています。資本構造上優位で、安全性のより高い資産への投資を重視することは、当戦略のインカムを安定的に確保するうえにおいて大切な点です。

当戦略は、怒涛の10年を乗り越えてきました。次にどのようなことが起こっても、乗り切れる自信はあります。


1 保証は政府機関の財務健全性によるもので、米国政府が明示的に保証するものではありません。金融危機の際には米国政府は政府機関の保守を通して暗黙の保証を肯定しました。

著者

Daniel J. Ivascyn

グループ最高投資責任者(グループ CIO)

Alfred T. Murata

モーゲージ・クレジットチームのポートフォリオ・マネージャー

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