注目の運用戦略

バリュエーションが割高な局面における緩やかなリスク削減:インカム投資家に適したバリューの追求

市場の調整局面に備えて、ポートフォリオのリスクを徐々に削減すべきタイミングであるとみています。

以下のQ&Aでは、ポートフォリオ・マネージャーのダニエル・アイバシンとアルフレッド・ムラタが、PIMCOのインカム戦略に関する4つの主要な質問にお答えします。

問:足元の市場環境において、ポートフォリオのリスク削減とディフェンシブなスタンスへの転換を決定した背景を説明してください。

答:PIMCOでは近いうちに景気後退に陥る可能性は比較的低いとみていますが、各国の中央銀行がバランスシートを活用した政策支援を削減していることに加えて、共産党大会を終えた中国の政治経済の先行きに関する不確実性が高まったことを受けて、リスクは上昇していると考えています。その一方で、リスク資産のパフォーマンスは堅調さを保ち、価格は最高値を、ボラティリティは過去最低水準を更新しています。このような環境では、想定外の悪材料によって市場はたやすく混乱してしまいます。このため、市場の調整局面に備えて、ポートフォリオのリスクを徐々に削減し、質の高い資産を積み増し、流動性を高めるべきタイミングであるとみています。このような対応によって、ポートフォリオが保護されるだけでなく、投資機会が浮上した際に積極的に投資を進めることが可能になるでしょう。

問:インカム戦略のポートフォリオのポジションをどのように調整しているのでしょうか。

答:インカム戦略では、安定的なインカムの獲得と長期的な投資元本の増加を最優先にしています。堅調な経済環境下で良好なパフォーマンスが期待される高利回り債券と、市場のストレス時に底堅さを示す質の高い債券の間で、バランスの最適化を目指しています。

高い利回りを期待するポジションでは「曲がっても折れない」という哲学の下で、時価の変動は想定されるにしても、元本の損失が確定する事態を回避する方針を採用しています。このため、ディフェンシブで質が高く、デフォルトの可能性が低い、短期年限の企業クレジットやストラクチャード・クレジットに注目しています。その例として、利回りに魅力があり、景気減速局面においても底堅さが期待される、非政府機関系モーゲージ債(MBS)に引き続き魅力があると考えています。

一方、質の高さを求めるポジションでは、潜在的なレフト・テール(ネガティブ)・シナリオに対する備えを厚くするために、米国の金利リスクを積み増しました。また、オーストラリアの金利リスクへの投資も魅力的であるとみています。中国経済が減速した場合、コモディティ価格が弱含む結果、オーストラリアでは、経済成長が鈍化するとともに、金利が低下すると考えています。

問:非政府機関系MBSに対する前向きな見方を踏まえ、同セクターの見通しを教えてください。

答:PIMCOでは引き続き、非政府機関系MBSに魅力があるとみています。ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)やフレディマック(連邦住宅金融抵当金庫)などの政府機関の保証の付かない米国の住宅ローンを裏付けとするため、元利金の支払いは債務者の返済能力に依存します。1 このため、個別の住宅ローンの信用リスクを注意深く評価することが重要になります。PIMCOは、住宅価格、LTV(Loan to Value)比率、FICO®Scoreなどの影響を踏まえて分析する、充実したリソースを有しています。

これらの債券が、金融危機前に発行されたことも大きな魅力の1つです。つまり、裏付けとなる住宅ローンの債務者の多くは10年以上にわたって返済を続けているため、信用の質は改善しています。また、PIMCOでは額面1ドルにつき75~85セント程度での購入を意図しており、米国の住宅価格が上昇を続けた場合には、価格のアップサイドも期待可能です。

問:柔軟性の高いインカム戦略において、投資家にとってどのような投資機会やバリューを見出しているのでしょうか。

ムラタ:債券市場における特定のセクターや金利エクスポージャー全体に対する投資は、お客様のために高いリスク調整後リターンを追求する手段の1つに過ぎないということを強調したいと思います。PIMCOでは、どのセクターの見通しについても確度がやや弱まっている現在の市場環境の下で、各セクターにおいて魅力的な投資機会を見出すために、リソースを最大限に活用しています。なかでも、PIMCOの世界中の200名を超えるポートフォリオ・マネージャーの知見が、投資方針の構築やポートフォリオの耐性を強めるうえで役立っています。

足元の市場環境では、市場のストレス時に備えてポートフォリオの分散を適切に維持するため、投資家は複数の戦略を活用すべきと考えています。例えば、お客様のためにバリューを最大化する目的で、発行条件に影響力を与え、魅力的な価格を引き出し、高いシェアを得ることも可能なPIMCOの強みを活かした、企業クレジットやエマージング市場に対する厳選された投資機会が挙げられます。これらは、PIMCOの柔軟性の高いグローバルなマルチセクター戦略において、お客様のために魅力的なリスク調整後リターンを提供する手段の数例に過ぎません。

1保証は政府機関の財務健全性によるもので、米国政府が明示的に保証するものではありません。金融危機の際には米国政府は政府機関の保守を通して暗黙の保証を肯定しました。

著者

Daniel J. Ivascyn

PIMCOグループ最高投資責任者(グループ CIO)

Alfred T. Murata

モーゲージ・クレジットチームのポートフォリオ・マネージャー

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ご留意事項

債券市場への投資は市場、金利、発行体、信用、インフレ、流動性などに関するリスクを伴うことがあります。ほぼ全ての債券及び債券戦略の価値は金利変動の影響を受けます。デュレーションの長い債券及び債券戦略は、より短い債券及び債券戦略と比べて金利感応度と価格変動性が高い傾向にあります。一般に債券価格は金利が上昇すると下落し、現在のような低金利環境ではリスクが高まります。債券取引におけるカウンターパーティーの取引能力の低下が市場流動性の低下や価格変動制の上昇をもたらす可能性があります。債券への投資では換金時に当初元本を上回ることも下回ることもあります。外貨建てあるいは外国籍の証券への投資には投資対象国の通貨価値の変動や経済及び政治情勢に起因するリスクを伴うことがあり、新興成長市場への投資ではかかるリスクが増大することがあります。モーゲージ担保証券と資産担保証券は金利水準に対する感応度が高い場合があり、期限前償還リスクを伴い、また、発行体の信用力に対する市場の認識に応じてその価格は変動する可能性があります。また、一般的には政府または民間保証機関による何らかの保証が付されていますが、民間保証機関が債務を履行する保証はありません。高利回りで低格付けの証券はより高格付けの証券よりも高いリスクを伴います。 また、それらへ投資しているポートフォリオは投資していないポートフォリオに比べてより高いクレジット・リスクと流動性リスクを伴う場合があります。デリバティブ商品とモーゲージ関連商品を利用することにより、コストが発生する可能性があり、さらに流動性リスク、金利リスク、市場リスク、信用リスク、経営リスク、そして最も有利な時点でポジションを清算できないリスクなどが発生する可能性もあります。デリバティブ商品への投資により、投資元本以上の損失を被る可能性もあります。分散投資によって、損失を完全に回避できるわけではありません。

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