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5つのグラフが示す今日のクレジット市場の投資機会

長引く低金利環境により、多くの投資家が十分なリターンを得ることができず、投資目標を達成できずにいます。クレジット投資はどのように投資家をサポートできるのでしょうか。本稿では、PIMCOがクレジット投資に投資妙味があると考える5つの理由をご紹介します。

新型コロナウイルス不況への対抗策として中央銀行が大幅な利下げを断行したことで、世界の投資家はこれから先何年も低金利環境での投資に向き合うことになります。利回り低下により、多くの投資家が投資目標の達成に必要なリターンを得ることができず、一部の投資家には、やむを得ず許容以上のレベルにまでリスクを引き上げ動きもみられています。しかし、例えばクレジット投資のように、資産クラスの一部は依然としてリスクに見合うリターンが期待できることから、そのような動きは必ずしも必要ないとPIMCOでは考えています。ただし、景気後退と昨今スプレッドの縮小もみられることから、クレジット投資では質の高い発行体を重視しながら、全体的には慎重な姿勢を維持します。以下では、PIMCOがなぜ、そしてどこに投資機会があると見ているのかをご説明します。

1) FRBによる援護射撃

  • 2008年の世界金融危機で得た経験を活かし、ボラティリティの極端な急騰時に、世界の主要中央銀行は金融市場の救済に努めてきました。2016年6月の欧州中央銀行(ECB)による資産買い取りプログラムや、2020年3月の米国連邦準備制度理事会(FRB)による前代未聞の政策対応など、中央銀行による政策支援が市場を沈静化し、投資フロー変化の起点となりました。下のグラフに見られるように、投資適格やハイイールドのクレジット市場には、多くの投資家が戻りつつあります。
  • 歴史的に低い国債利回りに加え、現在進行している金融政策支援が、クレジットなどのインカムを提供する伝統的な資産クラスに、インカムを求める投資家の目を向けさせているようです。
  • もちろん、主要中央銀行による支援があることで、クレジットセクターのエクスポージャーからは損失を被らない、というわけではありません、特に短期的には注意は必要です。コロナ不況のなかで、クレジットスペクトラムの下位の部分のリスクについては、特に警戒する必要があります。

このグラフは、4月のFRBによる支援策を受けて、クレジット市場へ資金流入が増えたことを示しています。

2)想定 対 実際 デフォルト率:アクティブ運用者にとっての投資機会

  • やがて恐怖や興奮は収まるものの、市場は想定外のイベントに対しパニックを起こした、大騒ぎするなど、状況を過大視する傾向があります。現在のところ、コロナ危機が世界経済に与える影響の不透明感が引き続きクレジット市場に重くのしかかり、市場の回復は、ワクチンが手に入るのか、またその時期次第です。そのため一部の投資家は、今後時間を経て明らかになる結果よりも、はるかに悲観的と思われるシナリオを価格に織り込んでいます。
  • 以下のグラフからも分かるように、現在のスプレッド水準は、米国の既に発行済みの投資適格債のうち12%以上が今後5年のうちにデフォルト(債務不履行)すると想定した水準です。これは、この資産クラスで過去最悪だった5年累計デフォルト率である約2%よりもはるかに大きな数字です。言い換えれば、「市場が想定しているほど悪い事態に陥ったことはかつて無かった」ということです。欧州でも同様の状況です。
  • もし実際のデフォルト率が市場の予想よりも低ければ、質が最も高く、耐性の最も強い企業に注目できるアクティブ運用者は、スプレッド縮小によって恩恵を享受できるかもしれません。
  • 回収率を40%と仮定すれば、米国でも欧州でも、現在の投資適格債の信用スプレッドは10%を超えるデフォルト率を想定していることになります。
  • これは、投資適格企業のクレジット投資で、過去実際に経験された最悪の5年累積デフォルト率をはるかに上回る数字です。

このグラフは、投資適格の想定デフォルト率が、実際に起きた最悪のデフォルトのケースよりもはるかに高いことを示しています。

3)改善しつつある市場環境

今年3月の急落時には、株式市場とクレジット市場のボラティリティは2008年~2009年の水準に達し、その後記録に残る中央銀行の対応により、市場は落ち着きを取り戻しました。FRB、ECB、日銀による前例のないレベルの支援により、市場の3つの重要な分野が回復しました。

  • 新規発行の復活:下のグラフにみられるように、5月から急速に回復し、2020年年初来で、米国の投資適格企業は1兆ドル、ハイイールド企業は1,400億ドルの資金調達を行っています。

  • ベーシスの縮小:現物債券と、現物債券複製のために用いるデリバティブ契約との差は「ベーシス」と呼ばれます。理論的にはその違いはゼロに近いはずですが、現物債券に投資して信用リスクを取る方が、流動性の高いデリバティブ市場で同じリスクを取るよりも割安なため、実際にはマイナスになる場合がよくあります(投資適格債では、過去15年の中央値は-19bps)。3月には、ベーシスは約-200bpsまで飛躍的に拡大し、その後、主要中央銀行による支援政策が発表されことで、再び縮小に転じました。このベーシスの縮小は市場の改善を示しています。 
  • 流動性の改善:買いと売りの呼び値(投資家が支払う用意がある値段と売り手が手放しても良いと考える値段)のスプレッドもまた縮小しつつあり、流動性の改善を示しています。2020年3月には、この呼び値スプレッドも2008年~2009年の金融危機以来の水準にまで急上昇しましたが、中央銀行の支援政策発表後には大幅に低下しました。

4)クーポンの魅力

  • 債券は何世紀にもわたって投資家にインカムを提供してきました。債券の保有者は、昔のように文字通りクーポンを切りとって換金する必要はありませんが、(債券の基本的な)コンセプトは変わっていません。つまり発行体は利払いを保証しますが、それが企業固有の問題や市場を混乱させる外部イベントから発生した、債券の値動きによる損失の一部をカバーする場合があります。
  • 下のグラフにみられる通り、債券のリターンには主に3つの構成要因があります。クーポン、値動き、その他(例えば為替レートの動きなど)です。ブルームバーグ・バークレイズ・グローバル総合社債インデックス(投資適格社債限定)のトータル・リターンをこれらの要因に分けてみると、過去15年のうちでマイナスとなった4年のリターンの要因がわかります。値動きの要因は、15年のうち8年マイナスですから、その8年のうちの4年は、値動きによる損失をクーポンが穴埋めし、さらにそれを上回るリターンを提供したことがわかります。
  • 通常、買い手を見つけるために、最も格付けが低い企業が最も高いクーポンを支払うことから、投資家は取るリスクに対して最適なインカム水準を選択するよう、慎重にリスクを評価すべきでしょう。

このグラフは、投資適格債から得られるクーポンが、価格の値下がりによる損失を緩和する場合があることを示しています。

5)スプレッド水準:元の水準に戻ったのか

  • 信用スプレッド(信用リスクに見合って投資家が要求するプレミアム)は、今年2月や3月の市場混乱時には2008年~2009年以来の水準に達しました。いくつかの市場では見境のないパニック売りが起こり、ファンダメンタルズの強固な企業も含め、大半の企業がその影響を受けました。
  • 主要中央銀行によって発表された前例のない支援策にスプレッドは縮小し始めましたが、下のグラフの通り、依然として長期の平均水準(グラフ中の破線)を上回っています。
  • スプレッドの水準がそのような長期平均に回帰する保証はありませんが、質の高い一部の企業は景気鈍化への耐性も強いと考えられるため、景気が回復すれば、そのリスクプレミアムも縮小するとみられます。このような状況においては、企業や市場を分析する充実したリソースを抱えるアクティブ運用者は投資機会を見つけうえで有利な立場にいるでしょう。
このグラフは、投資適格社債とハイイールド債が、依然として長期平均を上回るスプレッド水準で取引されていることを示しています。

市場のボラティリティ及び投資家にとっての意味合いについての最新情報は、 こちらのページ をご覧ください。

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