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​ハイイールド債に投資妙味

足元ではボラティリティが高水準で推移しているものの、分散の効いたポートフォリオの一部にハイイールド債を加える意味は大きいと言えます。企業利益の伸びが減速したことやクレジット市場が下落したことを踏まえると、ハイイールド債の株式に対する優位性はとりわけ大きいと言えるでしょう。PIMCOでは、ケーブル、ヘルスケア、銀行セクターに多くの投資機会を見出しています。スプレッドの拡大や市場のボラティリティの上昇が魅力的な投資の好機を生じさせると考えています。

在は、ハイイールド債を推奨するタイミングとして相応しくないように思われるかもしれません。実際、ここ1年半の間、スプレッドは全般に拡大基調にあり、利回りは11月下旬に8%を超えました。これは、2011年の欧州ソブリン債務危機以来、持続することのなかった水準です。最近のスプレッドの拡大は、投資資金の大規模な流出、エネルギー・セクター向けエクスポージャーに対する懸念、世界経済の成長についての不透明感を反映する動きと言えるでしょう。しかしながら、PIMCOの見解では、米国を中心にハイイールド市場の見通しは改善しています。

PIMCOの見解を理解するには、全体像を把握する必要があります。まず、ハイイールド債がポートフォリオ全体にもたらすメリット、すなわち、アロケーションを株式から振り替えた場合にリスク量が軽減される可能性、高格付け債から振り替えた場合に利回りが上昇する可能性、大方の資産クラスとの相関が低いことに起因してポートフォリオ全体のリスク・リターン特性が改善する可能性について、考えてみましょう。

足元で企業利益の伸びが減速した結果としてフリー・キャッシュ・フローが減少したことや、クレジット市場の下落に伴い、米国ハイイールド債の利回りが、株式のリターンとして投資家が一般的に目標とするレンジ(6~8%)まで上昇したことを考えた場合、ハイイールド債の株式に対する優位性はとりわけ大きいと言えるでしょう。図表1で示したように、米国ハイイールド債の利回りは上昇基調にあり、11月下旬には8%を超えた結果、S&P500構成銘柄のフリー・キャッシュ・フロー利回りとの差が拡大しています。

また、ハイイールド債のクーポンには、水準が高くボラティリティが低いという点、また、支払いが裁量ではなく契約上の義務に基づいて行われるという点において、株式の配当に対して優位性があります。さらに、ハイイールド債は株式並みのリターンが見込まれる一方で、株式のボラティリティや下落リスクを大幅に下回るなど、従来から下落に対して高い耐性を示してきました。

さらに、前述のように、ハイイールド債に投資することによって、利回りの向上が期待されます。先進国企業のハイイールド債のスプレッドは、グローバルな投資適格社債のスプレッドの3.5倍を超えています。

このほか、ハイイールド債には、他の資産クラス、なかでも国債との相関が低いため、ポートフォリオを分散させる効果が期待されます。たとえば、ハイイールド債は米国債と逆相関の関係にあることから、従来から、米国債利回りの上昇時にはリターンがプラスとなってきました。

ファンダメンタルズ、テクニカル、バリュエーション
PIMCOでは、ハイイールド債の見通しを検討する際に、ファンダメンタルズ、テクニカル、バリュエーションという3つの柱を評価します。全般に、景気拡大を背景に、エネルギーやコモディティ関連セクターの高リスク銘柄を除いて、デフォルト率が低い環境が続くとみて、ハイイールド市場を前向きに評価しています。現在のバリュエーションにはデフォルト率の上昇見通しが織り込まれているため、投資家には厳選した信用リスクを積み増す好機が到来しているとみています。

ファンダメンタルズ

クレジット市場のパフォーマンスには、景気拡大局面では改善し、景気後退局面では悪化する傾向があります。米国の場合、実質国内総生産(GDP)成長率が2.25~2.75%程度(PIMCOによる2016年9月までの1年間の見通し)であれば、負債を持続不能な水準まで拡大させるほど過熱気味ではなく、デフォルト率を上昇させるほど低調でもない、クレジット市場には最適な水準と言えるでしょう。企業のバランスシートは依然として堅調であり、現金残高も比較的高い水準にあります。

金融危機以降、レバレッジ指標が長期にわたって改善する一方で、資本市場の環境改善は企業が負債を積み増すインセンティブとなってきました。原油価格の下落は、独立系の探査・生産企業や油田サービス企業を中心とするエネルギー企業の利払・税引・減価償却前利益(EBITDA)の大幅な減少とレバレッジの上昇を招きました。上場しているハイイールド債発行企業のレバレッジは、上昇基調にあるものの、コモディティ関連セクターを除くベースでは、ここ数年間は概ね横ばいで推移しています(図表2)。また、インタレスト・カバレッジ・レシオは、特にコモディティ関連以外のセクターでは、堅固な水準となっています。

過去1年間のデフォルト率は2.3%と、遅行指数の性質が強いとはいえ長期平均の半分程度の水準に過ぎません。デフォルト率は2016年に上昇する見通しであり、ムーディーズは3%を超えると予想しています。また、エネルギー・セクターにおいて債務再編の動きが加速すれば、さらに上昇するでしょう。しかしコモディティ関連以外のセクターでは、2017年末までのハイイールド債の償還額は900億ドル未満にとどまることから、デフォルト率は当面の間は比較的低い水準で安定する可能性が高いと予想されます。

また、足元ではデフォルト時の回収率が平均的な水準よりも高いため、コモディティ関連以外のセクターでは、デフォルト損失は1%程度と従来よりも低い水準にとどまると予想されます。

テクニカル

年初来、アクティブ運用型の上場投資信託(ETF)の資金フローが大きく変動したことからも確認されるように、ハイイールド債のパフォーマンスの決定要因として、テクニカル要因が通常よりも優勢でした。10月には多額の資金が流入したものの、ここ数年間はリテール資金が大量に流出した結果、金融危機以降に増加した運用資産残高の多くが帳消しとなりました。資金の大半は、金融危機以降の拡大ペースと同じように劇的に縮小したETF以外のファンドから流出しました。このように、過去3年間にわたって、短期的な運用資金の多くが流出したことになります。PIMCOでは、現在の利回りの魅力を踏まえ、機関投資家がハイイールド債のエクスポージャーを積み増す好機が到来した可能性があるとみています。もっとも、外部要因が投資家のセンチメントに影響する恐れがあることから、リテールの資金動向は予測困難な状況が続く可能性が高いでしょう。

バリュエーション

ここ数カ月間に利回りを押し上げてきた要因によって、ハイイールド債には割安感が生じています。ハイイールド債の価格は額面未満に下落したため、金利収入に加えて値上がり益が期待されます。また、デフォルト率見通しと過去平均を上回る回収率を考慮した期待損失調整ベースでは、スプレッドは過去平均を大きく上回っており、魅力的な水準にあるとPIMCOではみています。

スプレッドのボラティリティは高い水準にとどまる見通しですが、売り圧力が見境なく高まった結果、一部セクターのスプレッドには非常に大きな魅力が存在しています。原油価格の下落が始まった2014年6月以降、コモディティ価格の下落はハイイールド債市場の大半を占める消費セクターにプラスに作用するべきところ、スプレッドは150ベーシスポイント以上も拡大しています(エネルギー、金属・鉱業セクターを除くベース)。

下落したエネルギー・セクターへの投資
これまで、インデックスで大きな比重を占めるコモディティ関連セクターが、ハイイールド債市場全体のパフォーマンスを大きく左右してきました。ここ1年間、ハイイールド債のエネルギー・セクターのセンチメントは悪化と改善を繰り返し、ハイイールド債市場全体に多かれ少なかれ影響を与えてきました。エネルギー・セクターでは、破綻を織り込んだ価格水準で取引される銘柄の割合が2014年6月には1%に過ぎなかったのに対して、最近では3分の1程度(ハイイールド債市場全体の約4%に相当)にまで高まったことを受けて、市場は債務再編の候補銘柄を素早く割り出すようになりました。これらの破綻懸念の強い企業の多くは、向こう1年間にデフォルトする見通しであるものの、コモディティ関連以外のセクターでは、ほとんどの企業が当面の流動性を十分に確保しているため、影響が波及することはないとPIMCOでは予想しています。

PIMCOのハイイールド債ポートフォリオでは、これまでコモディティ関連セクターをアンダーウエイトとしており、その方針は変わっていません。原油価格が大幅に下落する前からアンダーウエイトとしていましたが、保有資産の質の高さによって下落リスクが緩和される場合や、向こう1~2年間に企業合併と買収(M&A)が実現して恩恵が生じ得る場合には、アンダーウエイト幅を縮小するために投資機会を模索することも考えています。

ポートフォリオの構築
足元ではボラティリティが高水準で推移しているものの、分散の効いた広範なポートフォリオの一部にハイイールド債を加える意味は大きいと言えます。ハイイールド・セクターは一貫して、株式より低いリスクでポートフォリオの分散効果を提供してきました。PIMCOでは、バリュエーションが改善したことや、コモディティ関連以外のセクターではデフォルト率が低い水準にとどまる見通しであることを根拠に、ハイイールド債市場には魅力があるとみています。具体的には、ケーブル、ヘルスケア、銀行セクターに多くの投資機会を見出しています。スプレッドの拡大が続く場合や市場のボラティリティが高止まりする場合には、魅力的な投資の好機が生じると考えています。

著者

Andrew R. Jessop

ポートフォリオ・マネージャー

Anna Dragesic

クレジット・プロダクト・マネジメント・チームの統括責任者

ご留意事項

全ての投資にはリスクが伴い、価値は下落する場合があります。高利回りで低格付けの証券はより高格付けの証券よりも高いリスクを伴います。また、それらへ投資しているポートフォリオは投資していないポートフォリオに比べてより高いクレジット・リスクと流動性リスクを伴う場合があります。

債券市場への投資は市場、金利、発行者、信用、インフレ、流動性などに関するリスクを伴うことがあります。ほぼ全ての債券及び債券戦略の価値は金利変動の影響を受けます。デュレーションの長い債券及び債券戦略は、より短い債券及び債券戦略と比べて金利感応度と価格変動性が高い傾向にあります。一般に債券価格は金利が上昇すると下落し、現在のような低金利環境ではリスクが高まります。債券取引におけるカウンターパーティーの取引能力の低下が市場流動性の低下や価格変動制の上昇をもたらす可能性があります。債券への投資では換金時に当初元本を上回ることも下回ることもあります。インデックスに直接投資することはできません。投資判断にあたっては、必要に応じて金融またはその他の専門家にご相談ください。

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