力的な投資機会は存在しますが、高い水準で広がり続ける不確実性と政策手段の枯渇に対するリスクに見合ったリターンが必要です。

世界経済はどの程度安定的で、それにはどのようなリスクが伴うのでしょうか。

5月にPIMCOの投資プロフェッショナルが集結して開催され た35回目の長期経済予測会議(セキュラー・フォーラム)では、この重要なテーマを中心に活発な議論が展開され、例年通り、向こう3~5年間に世界経済や金融政策、財政政策、金融市場に影響を与える主要な長期的テーマに焦点が当てられました。PIMCOの独自の見解を導きだし、それを磨き上げるため、一流のゲスト・スピーカーの見解を拝聴するとともに、ビジネススクールを卒業したばかりの新入社員からも意見を取り入れ、グローバル・アドバイザリー・ボードのメンバーも交えて活発な議論が展開されました。セキュラー・フォーラムの目的は、向こう3~5年間において世界の金融市場に対峙する際に役立つ構想、概念、羅針盤を構築することです。それには、世界経済と経済政策について、その期間のPIMCOの基本シナリオと、レフト・テール(ネガティブ)シナリオ、ライト・テール(ポジティブ)シナリオをしっかりと見据えることが重要となります。

今回のセキュラー・フォーラムの議論を始めるにあたり、昨年のフォーラムで策定した基本シナリオを簡単に振り返りました。

2015年5月のセキュラー・フォーラムでは、2014年に形成した「ニュー・ニュートラル」というテーマの延長として、中央銀行はレバレッジの高さや経済成長の低迷に制約される形で、政策金利を金融危機前より大幅に低い水準に設定せざるを得なくなるという、長期的な基本シナリオを策定しました。この基本シナリオでは、ユーロ圏と日本では、長期的に実質政策金利の均衡点は概ねマイナスで推移すると予想しました。また米国では、ニュー・ニュートラルのテーマに沿う形で、フェデラルファンド(FF)金利が徐々に上昇すると予想しましたが、その金利上昇シナリオは、1年前も現在も金融市場にすでに十二分に織り込まれています(図表1)。さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)にとっては経済成長を下支えしつつインフレを2%の目標に向けて押し上げるという2つの使命と、バランスシートを段階的に縮小させたいという意向は相反する可能性があるため、FRBはバランスシートを機械的に縮小することはないと考えました。昨年の長期的な基本シナリオでは、世界各国の経済成長が緩やかなトレンドの成長軌道に収斂するなかで、需給ギャップは(一部地域では非常に緩やかに)縮小し、インフレ率は目標に向けて上昇すると予想しました。また、実現すれば世界経済の先行きを激変させてしまうようなテールリスクも併せて特定しました。たとえば、世界経済がリセッション入りした場合、抜本的な政策を導入する余地が十分に残された国は米国と中国を除いてほとんど存在しないこと、さらにユーロ圏での政治分極化と英国の欧州連合脱退のテールリスクがあり、中国では野心的な改革が計画されているものの成功は保証されておらず、発表された期限内で資本勘定の自由化を遂行することは簡単でない、と具体的に警鐘を鳴らしました。

「現在の中立的な名目FF金利――潜在成長率で成長しているときに、拡張的でも抑制的でもないFF金利――は従来の水準よりも低く、時間をかけて段階的にしか上昇しない可能性が高い」2015年12月16日、イエレンFRB議長    

2016年のフォーラムのテーマ

2016年のセキュラー・フォーラムをニューポートビーチで開催するにあたり、ニュー・ニュートラルのテーマが金融市場に十分に織り込まれていることは明確でした。実際にFRB自体が、「中立的な」政策金利は時間とともに変化するもので、今後数年間は金融危機前のオールド・ニュートラルの水準より(大幅に)低い水準で推移するという前提で、金融政策を議論しています。このため、今回のセキュラー・フォーラムにおける重要な目的は、ニュー・ニュートラルの状況が定着し、それが資産価格に十分に織り込まれた世界に見合う新しい長期的枠組みを構築することでした。また、昨年からの多くの疑問も持ち越されています。その主なものとしては、先進国市場とエマージング市場の景気拡大の底堅さ、非伝統的な金融政策の限界およびコストとメリットの比較、中国の経済成長、通貨政策、資本収支の自由化の見通し、などがあげられます。その一方で、欧州や米国における政治の分極化や多極化の見通しとリスク、日本などで導入されたマイナス金利政策の副作用など、新たな疑問も発生しています。

このように多くの疑問が持ち越される一方で、昨年のセキュラー・フォーラムの後に非常に数多くのイベントも発生したため、ゲスト・スピーカーやグローバル・アドバイザリー・ボード、MBAの新入社員からのインプットを基に、改めて「基本シナリオの再検証」と「テールリスクの発生確率の再評価とその潜在的影響の再検証」を行う必要が生じました。そこでセキュラー・フォーラムでは、議論の枠組みを整理するため、テーマを大きく4つに分類し、4つの重要な疑問を提示しました。

  • 世界経済の見通し―― 昨年のレフト・テール・シナリオは今年の基本シナリオとなるのか(国際通貨基金(IMF)の見通しについては図表2をご参照ください)
  • 中国―― 目標と同じようにプロセスも重要なのか
  • 金融政策―― リターンの逓減か行き詰まりか
  • 政治のポピュリズムと分極化―― 一時的なものか長期的な現実か




PIMCOの長期見通し

PIMCOでは、金融危機後の足元の世界経済の成長の勢いは辛うじて失速速度を上回る程度に過ぎないという見方では一致していますが、さらなる景気拡大という基本シナリオを描く根拠となるような、明らかな見込みのある生産性向上の源泉や有機的な需要は確認されていません。確かにデフレは回避され、多くの主要国では需給ギャップが縮小傾向にありますが、主要な中央銀行のなかで2%のインフレ目標に到達、またはこれを上回った事例はほとんどありません。このため、2009年以降世界経済は不安定な足取りを続け、再度のリセッション入りは回避してきましたが、金融システムが辛うじて破綻を免れた要因は、多くの国においてゼロ金利政策やマイナス金利政策が導入されたこと、主要な中央銀行が量的緩和政策を通じて流動性を大量に供給したこと、中国や一部のエマージング諸国において借り入れに基づく投資ブームが発生したことだったと言えるでしょう。

今後考えられるシナリオとしては、向こう3~5年間はこのような現状が基本的に維持されながらも徐々に変化するというものですが、実は引き続きこれがPIMCOの基本シナリオです。具体的には、米国では実質GDP成長率が年率1.5~2%とトレンド並みかこれをやや上回る水準となり、インフレ率は2%という目標近辺で推移し、FRBはFF金利をニュー・ニュートラルのレンジ(名目ベースで2~3%)まで段階的に引き上げ、財政政策は総需要をわずかながら押し上げると予想しています。

ユーロ圏の長期的な基本シナリオは、経済成長率は年率1~1.5%という低調ながらトレンド並みの水準になる一方で、インフレ率は2%をやや下回る水準にとどまるとみています。政策面では、欧州中央銀行(ECB)が困難な政策を担い続け、財政赤字の(制度上ではないにせよ)事実上のマネタイゼーションに近い形で量的緩和プログラムを拡大すると予想しています。一方、財政政策は欧州の経済成長にわずかながらプラスに作用するというのが、PIMCOの基本シナリオです。

また、中国に関しては、景気は政府の誘導に従って減速し、経済成長率は5~6%、インフレ率は2%程度になると予想しています。この基本シナリオでは、企業破綻は制御され、国有企業には段階的に公的資金が投入される結果、レバレッジはある程度安定化する見通しです。

しかしながら、基本シナリオが変わらず、上記のような説明を繰り返すにしても、決して安心し過ぎるべきではないという見方で、フォーラムの参加者は一致しました。世界経済の回復局面は8年目に差し掛かり、中央銀行は非伝統的な政策をさらに推進してその効果を(マイナスにならないまでも結果として)引き下げており、長期見通しの対象範囲は2020年以降まで広がっています。このため、レフト・テールが厚みを増し、一部の主要国の金融政策手段の枯渇や過剰債務の問題が、世界経済の回復や金融システムの安定の持続性に重大な懸念をもたらすリスクが明確にあるという、より複雑な見通しを新たに提示しました。これはレフト・テール・シナリオで、基本シナリオではありませんが、これまでのニュー・ニュートラルというテーマとは対照的に、現在の非伝統的な金融政策では、世界経済の成長を持続し、需給ギャップを解消させ、インフレ目標を達成するには不十分となる重大なリスクが(米国では必ずしもそうでなくとも)世界的に存在すると考えるようになりました。さらに、金融危機前の状況と比較した場合、トレンド成長率が低下して債務残高が増加する状況においては、金融政策の手段が底を尽き世界経済の安定を脅かした場合に、世界で利用可能な「予備のタイヤ」は明確には存在していません。言い換えれば、現在の世界経済は不均衡な状態にあり、これまではゼロ金利、あるいはゼロに近い低金利政策、量的緩和政策、中国やエマージング諸国及び欧州周縁国におけるレバレッジ拡大、という3つの政策支援によって辛うじて安定を保っていたということです。セキュラー・フォーラムでは、これらの3つの政策支援の効果は消滅しつつある一方で、非伝統的な政策のコストは増加傾向にあり、一部の国がレバレッジの更なる拡大を通じて成長を維持する能力は限定的である、との結論に至りました。

また、世界経済の見通しに伴うライト・テール・シナリオとして、世界的な生産性の回復が、投資と消費、さらに「アニマル・スピリット」を浮揚させる可能性と、各国の政策の重点が財政政策にシフトし、場合によっては金融政策と財政政策が協調する「ヘリコプター・マネー」プログラムが導入される可能性に注目しました。生産性に関連しては、生産性の伸びの転換点を事前に予想することは困難であるという見方がゲスト・スピーカーから示されました。このため、今後3~5年間に仮に生産性が回復するにしても、またそれを裏付けるような事例をいくつか提示することができたとしても、投資の方向性を変えるほどのシナリオにはならないだろうと考えました。

ヘリコプター・マネーに関しては、向こう3~5年間に米国で導入される可能性は非常に低いとの結論でした。これに対して、日本では金融政策と財政政策の協調がかなり進んでいるようにみえ、財務省と日本銀行が協調体制を強化する結果、既存の量的質的緩和プログラムが日本国債の価格固定プログラムに発展する可能性も否定できません。ヘリコプター・マネーのシナリオの影響に対する不確実性は、まさに予測不能です。

より伝統的な財政政策の選択肢として、米国、ドイツ、中国の世界主要3カ国には、いずれも財政政策の拡大余地があり、ライト・テール・シナリオでは、インフラ関連や供給サイドに重点を置いて財政支出が拡大されるでしょう。

また、基本シナリオで世界経済の見通しにプラスに作用し得る要因として、コモディティ価格の長期的な調整局面と長期的なドル高局面がおおむね終了したことがあげられます。

総じていえば、PIMCOの長期的な見通しにおいては、世界経済の安定に対するリスクが高まるなかで、投資家は高水準で広がり続ける不確実性と金融政策手段が枯渇するシナリオに見合ったリターンを早めに確保するべきでしょう。現在の「安定的不均衡」が、今後3~5年のうちに何らかの形で瓦解するというレフト・テール・シナリオの結末を、誰も正確に予言することはできません。このようなシナリオに伴う最終的な結末の発生時期と詳細なダイナミクスは不透明です。それに至る過程は複雑で数も多く、その結末はその過程に依存することは確実で、財政政策を含む政策対応のタイミングと大胆さに依存する部分が大きいでしょう。しかしながら、様々な不確実性があるなかで、PIMCOの基本シナリオが世界的に崩壊した場合、経済成長やインフレ、金融市場に深刻な影響が及ぶことには疑いの余地がありません。このようにリスクは不確実ながら、十分に現実的なものであることから、アクティブな投資家はリスクを正しく評価しようとするでしょう。

この点に関しては過去の教訓から学ぶことができます。PIMCOでは、実際に2006年のセキュラー・フォーラムにおいて、数年後には世界的な金融危機に至った世界の枠組みを「安定的不均衡」と整理しました。金融のグローバル化とオイルダラーの循環を背景に、民間部門の負債がかつてないほど急増した当時の世界情勢を、先行的に「安定的不均衡」と捉えました。現在では、この時期は「大いなる安定(the great moderation)」のために必要な資金を提供した「大いなるレバレッジ(the great leveraging)」の時代とされています。この時期には資産価格は適正水準から乖離し、伝統的なバリュエーション指標は軽視されました。モメンタムを捉えることが良好な運用成績につながり、逆張り型の投資スタイルはしばらくの間アンダーパフォームが続きました。そのようななかで、予想には不確実性が伴い、安定的不均衡はいずれ崩れるにしても当面は継続する可能性があること(実際に継続したことは言うまでもありません)を十分に理解しつつ、PIMCOでは2004年時点からすでに、最終的な瓦解シナリオに備えたポートフォリオの構築を始めました。

現在の環境は多くの点で金融危機前の状況とは異なりますが、類似する点も見受けられます。豊かな国では財政赤字が拡大し、一部の主要エマージング諸国では民間部門の負債が増加するなど、レバレッジは世界的に再び急拡大しています(図表3)。「QE無限大」やマイナス金利政策が導入され、7年物国債利回りがマイナスに転じるなかで、一部の市場では資産価格が適正水準から乖離し、伝統的なバリュエーション指標は軽視されています。世界的な不均衡は縮小しつつあるものの、慢性的に負債に依存している主体へ安価な資金と流動性を提供する中央銀行のバランスシートが、それ以上に急拡大しています。このようなポリシー・ミックスと、その政策に下支えされた中程度の世界経済の成長率、低水準のインフレが、引き続きPIMCOの基本シナリオとなっています。しかしながら、金融危機前の安定的不均衡の時代と同様にレフト・テール・リスクは高まっているとみており、今回のセキュラー・フォーラムを踏まえて、このようなマクロ経済リスクの上昇に備えたポジションを構築することが適切であると考えています。



投資に関するインプリケーション

安定状態の持続性が危うさを増す環境において、どのように投資に臨むべきでしょうか。以下では、PIMCOが向こう3~5年間にお客様の資産を運用するにあたって重要になるであろう長期的なテーマをご紹介します。

冒険はせずに元本を保全する

ここ数年間、各国で導入された一連の非伝統的な政策が資産価格のリターンを押し上げてきたため、中央銀行による政策介入の「波に乗る」ことを推奨してきました。これまでは「波乗り」戦略のパフォーマンスは良好でしたが、長期的に見た場合、政策介入の効果が低下傾向にあることと、とりわけマイナス金利政策のように積極的な政策が裏目に出る可能性を踏まえると、このような戦略は手控えていくべきでしょう。負債残高は世界的に非常に高い水準で推移しており、一部のレバレッジが高いセクターは(効果が逓減する見通しの)中央銀行の政策支援に依存しています。PIMCOでは基本シナリオとして、マクロ経済が比較的良好に推移するなかで市場価格は概ねレンジ圏内にとどまるとみていますが、すでに詳しく述べてきたように、中国やユーロ圏の情勢、金融政策手段の枯渇、政局の膠着、ポピュリズムの台頭など、ダウンサイド・リスクも幅広く存在しています。このような世界経済にとっての潜在的な問題を背景に、長期的には、恒久的な債務免除が強制される可能性が高まっています。従って、全般に一層慎重なスタンスでポートフォリオを構築し、元本の保全を最優先する方針です。ポートフォリオでは、必ずしも高利回りの資産ではなく、インカムを生む信用力の高い資産に的を絞ることが重要になるとみています。長期的な不確実性を乗り切るために、構造的に支払優先順位の高い商品や、ファンダメンタルズが十分に堅固で、実物資産による裏付けのある資産を選好しようと考えています。中央銀行の支援だけに依存するわけにはいきません。今後3~5年間は、投資環境が極めて困難になる可能性が高いため、元本の損失が確定するリスクのある投資は回避する方針です。

マイナスの利回りと非対称的な利回り上昇のリスクに備える

現在市場では、これまで2年間にわたってPIMCOの長期見通しを構成する中心的テーマであったニュー・ニュートラルの見通しが、中央銀行の政策と金利水準に織り込まれています。向こう3~5年間については、日本とユーロ圏のマイナス利回りの資産を回避しつつ、より魅力的な他の選択肢を広くグローバルに追及します。基本シナリオでは、国債利回りは概ねレンジ圏内で推移するとみていますが、利回りがフォワード金利カーブに織り込まれた水準よりも上昇するという非対称的なリスクは、明らかに存在しています。

低リターンの環境で超過収益を捻出する

債券市場でニュー・ニュートラルのテーマが織り込まれるとともに、株価が概ねフェアバリューに達したことは、低リターンの環境にあることを意味します。その結果、アクティブ運用の重要性が増し、トータルリターンに占める超過収益の比率は、長期的な上昇相場局面での状況を上回る見通しです。このような環境では、アクティブ運用がパッシブ運用の低いリターンを上回ることが可能であり、ポートフォリオにおいて特定の資産クラス、セクター、地域を「どれだけ」保有するかという単純な判断よりも、「どのような」資産を保有するかの裁量を拡大する必要性が大きくなってくると考えています。ここでは、市場の非効率性に着目し、トップダウンとボトムアップの様々なポジションから多様なリターンの源泉を確保する、PIMCOが長期にわたって培ってきた構造的な超過収益を追求するポジションの重要性を再確認したいと思います。

ボラティリティの上昇局面で利益を追求する

PIMCOでは、世界経済全体と個々の重要性の高い国および地域の経済成長見通し自体は、釣鐘型の正規分布に近いとみています。ただし、このように概ね正規分布に沿った見通しは、金融政策やその他の政策による極めて異例な水準の介入を前提としています。市場には適正価格に近い資産から割高な資産まで幅広く存在し、中央銀行による政策介入の影響を依然として極めて強く受けています。FRBが刺激策の解除を目指す一方で、日本を始めとするその他の国では極端な政策介入を一段と進める環境にあり、失敗が許される余地は非常に限られています。近年の経験から、市場価格の調整を引き起こすには、それほど大きな政策措置や政策の失敗は必要ではないことがわかっています。ポートフォリオでは概ね慎重なポジション構成を維持しますが、資産価格が極めて割安になりやすいボラティリティの上昇局面においては、利益獲得を追求する方針です。利益を生むポジションを構築するためには、ポートフォリオを注意深く構築するとともに、ポジションのリスクを精緻に管理することが必要になるでしょう。

ユーロ圏の資産には非常に選別的な姿勢で臨む

とりわけユーロ圏の長期見通しには、経済、政治、規制に関連する幅広いリスクや、財産権の信頼性や法の支配に基づく保護に関する大きな不確実性(最近ではポルトガルやオーストリアの事例が該当します)が伴います。近年、長期的な観点からユーロ圏市場を選好してきましたが、足元のバリュエーションと見通しに対するリスクを踏まえ、ポートフォリオを構成するユーロ圏の資産に対しては慎重かつ極めて選別的とする方針です。

エマージング市場に投資機会を見出す

過去数年間、エマージング市場は米ドル高とコモディティ価格の下落という2つの大きな問題に直面しました。中国に与える影響がFRBの引き締めペースを抑制する見通しなどを背景に、米ドル相場は概ね安定するというPIMCOの長期見通しと、中国経済の成長減速とコモディティへの依存度の後退がコモディティ価格にほぼ織り込まれた点を踏まえると、この2つのマイナス要因は解消されたように見受けられます。言うまでもなくエマージング市場は各国固有の問題を抱えており、流動性の状況は悪化していますが、同市場における魅力的な投資機会を国ごと、セクターごとに模索する方針です。

市場ベータよりもボトムアップ分析を優先する

市場ベータのバリュエーションが適正水準にあって割安ではないであろうクレジット市場では、グローバルなクレジット・ポートフォリオ・マネージャーとクレジット・アナリストから構成されるPIMCOのチームにより、資本構成上で負け組を回避しつつ勝ち組を選択し、価格決定力と参入障壁が存在すると考える業種と企業に投資することを通じて、付加価値を生み出す方針です。

全世界を対象に分散を図る

295名のポートフォリオ・マネージャーとアナリストから構成されるPIMCOのグローバルなチームで、世界中の幅広いセクターから投資機会を丹念に追及します。また、幅広く分散されたポジションを構築するとともに、流動性および複雑性に付随する魅力的なプレミアムを探し出す一方で、過剰な相関リスクの回避を念頭にポートフォリオの構築とリスク管理を進めてまいります。

ライト・テール・リスクに備える

マクロ経済が予想以上に好転する可能性も考えられるため、レフト・テール・リスクのみならずライト・テール・リスクにも注意を払う必要があります。特に実質利回りと名目利回りが極めて低い現状においては、PIMCOがデフォルト・リスクと並んで債券ポートフォリオの最大のリスク要因と考えている、インフレの上振れリスクには注意が必要です。インフレ率を押し上げることを最大の目標に、金融政策が世界中で実験的側面を強めている(今後さらに強化される可能性もあります)状況下、インフレヘッジ手段は魅力的な価格水準にあるとみられます。国によってインフレ見通しは異なりますが、米物価連動国債(TIPS)は割安なだけでなく、米国のインフレ上昇リスクに対する有効なヘッジになり得るでしょう。長期的な投資に際しては、リスク管理が極めて重要となります。

リスクは高まっているのか


投資に伴うリスク

ポートフォリオに重大な意味を持つレフト・テール・リスクの高まり

  • 構造改革が進まないなかで、金融政策は限界に直面
  • 政策の実験的側面が強まる結果、不確実性は高まり、バリュエーションは割高に
  • 債務残高が持続不能な水準に達すれば、長期的には元本毀損やインフレ上昇のおそれも
  • 政治の不確実性が拡大
  • 規制強化と、その結果として取引の流動性低下を背景に、各市場のボラティリティは上昇

対応策

  • 辛抱強く
  • 機動的かつ柔軟に
  • 必要な局面では流動性を供給
  • 市場の転換点に備えることが、アクティブ運用の主な利点の1つ
  • インフレ率が中央銀行の目標を上回るというテール・シナリオに対するヘッジ 短期的には可能性は低いが、長期的なリスクは無視できない

 

著者

Andrew Balls

グローバル債券担当最高投資責任者(CIO)

Richard Clarida

グローバル戦略アドバイザー

Daniel J. Ivascyn

グループ最高投資責任者(グループ CIO)

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PIMCOの従業員のデータは2016年3月31日現在のものです。

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全ての投資 にはリスクが伴い、価値は下落する場合があります。債券市場への投資 は市場、金利、発行者、信用、インフレ、流動性などに関するリスクを伴うことがあります。ほぼ全ての債券及び債券戦略の価値は金利変動の影響を受けます。デュレーションの長い債券及び債券戦略は、より短い債券及び債券戦略と比べて金利感応度と価格変動性が高い傾向にあります。一般に債券価格は金利が上昇すると下落し、現在のような低金利環境ではリスクが高まります。債券取引におけるカウンターパーティーの取引能力の低下が市場流動性の低下や価格変動制の上昇をもたらす可能性があります。債券への投資では換金時に当初元本を上回ることも下回ることもあります。政府が発行する 物価連動債(ILB)は、元本価値がインフレ率に連動して定期的に調整される債券です。実質金利が上がった場合、物価連動債(ILB)の価値は減少します。インフレ連動国債(TIPS) は、米国政府が発行する物価連動債(ILB)です。外貨建てあるいは外国籍の証券への投資には投資対象国の通貨価値の変動や経済及び政治情勢に起因するリスクを伴うことがあり、新興成長市場への投資ではかかるリスクが増大することがあります。 マネジメント・リスク とは、PIMCOが用いる投資手法およびリスク分析が望んだ結果を生まないリスク、また、政策や変更等が戦略の運用においてPIMCOが利用可能な投資手法に影響を及ぼしうるリスクを指します。本資料で言及した投資戦略が、あらゆる市場環境においても有効である、またはあらゆる投資家に適するという保証はありません。投資家は、自らの長期的な投資能力、特に市場が悪化した局面における投資能力を評価する必要があります。投資判断にあたっては、必要に応じて投資の専門家にご相談ください。

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