経済・マーケット関連

足元のボラティリティ上昇に関して

PIMCO投資最高責任者(CIO)からのマーケット・アップデート

PIMCOでは、経済や市場に関して、短期的な市場のボラティリティの上昇期にも、投資の意思決定のベースとなる長期的な見方を重視しています。しかし急激なボラティリティの再燃により、多くの投資家の皆様が不安に駆られていることも理解しています。グループCIOのダニエル・アイバシンと米国コア戦略担当CIOのスコット・マザーが、2月9日時点でのさまざまな動きをお客様にご説明します。昨今の短期的な動きに加え、今後何年にもわたって影響を与える長期的な要因についても触れています。また、今後のポートフォリオのポジションについてもご説明させていただきます。

当面のボラティリティ

このボラティリティの背景は、長期的というよりも短期的な性格のもので、今回の景気サイクル固有のものです。考慮すべきポイントは、これでようやく通常レベルのボラティリティに戻ったという点です。

  • 米国経済はフル稼働に近い状態で、景気サイクル終盤において歴史的にも大きな財政刺激策がとられようとしていますが、これは経済の成長とインフレにつながります。
  • 最近のワシントンでの財政をめぐるやり取りで、議会は赤字財政支出を許容していることが明らかになりました。
  • このレベルのボラティリティが実体経済に影響を与えるとは考えていませんが、高いボラティリティは当面継続し、それが長引けば波及効果が顕在化するリスクも高まります。
  • ボラティリティはバリュエーションの決定要因で、株式と一部の債券市場ではバリュエーションが割高となりすぎたため、市場はネガティブなニュースに動揺しやすくなっています。
  • クレジット市場の動揺は株式市場よりも小さいものですが、それがクレジット市場で投資機会を生むリスクや弱さを隠しています。

マクロの見方:米連邦準備制度理事会(FRB)とインフレ

PIMCOは2009年より長期的な世界の経済環境は、ディスインフレの強い圧力と相対的に安定した低成長に象徴されるニュー・ノーマル、さらにはその後修正されたニュー・ニュートラルの状態にあるとみてきました。

  • その後、継続的に社内や外部の専門家ともこの考え方について意見を戦わせてきましたが、依然としてこのニュー・ニュートラルという見方を維持しています。
  • PIMCOの基本シナリオは、引き続き世界経済の拡大とインフレは緩やかなペースで続くというものです。
  • しかしながら、差し迫るインフレリスクは投資家にとって現実的な問題だということも認識しています。
  • 財政刺激策は米国経済を若干引き上げ、インフレ率は今年FRBの目標に到達する、もしくは超過する可能性もあるとみています。
  • 今回の市場での一連の動きが実体経済に大きな影響を与えてはおらず、財政刺激策も整いつつあることから、FRBは3回の利上げを行い、それにより、2018年末までに中立金利は2%前半まで上昇するでしょう。
  • より広い視野で世界を見ると、局地的にインフレのオーバーシュートが見られ、その国の金利が上昇しても、パラダイムシフトや金利暴騰の引き金となるインフレ率の急騰は予想していません。

ポートフォリオへのインプリケーション:リスク管理と投資機会の確保に注力

インベストメント・コミッティ-での中心的議題はリスク管理です。ボラティリティの急騰に対して、継続的にポートフォリオのストレステストを行い、守りと攻め両方の対策を検討しています。その議論には、世界数か国の拠点のPIMCOの投資プロフェッショナルや、FRB(連邦準備制度理事会)元議長のベン・バーナンキ氏を議長とするグローバル・アドバイザリー・ボードを含めた外部の専門家から意見や知見が寄せられます。ポートフォリオのリスクは少しずつ減らして流動性を高め、ボラティリティにより発生する投資機会に注目しています。

コア債券ポートフォリオへの影響:

  • 10年債は3%からそれほど大きく上昇しない
  • イールドカーブの短期ゾーンは利回り上昇によりフェアバリューに近づいたものの、長期ゾーンでは、財政赤字拡大懸念、タームプレミアムの回復、高まるインフレ期待により、もう一段の利回り水準見直しが見込まれます。
  • 信用力の高い米国債券では中期ゾーンが割安で、モーゲージ債は押しなべて魅力的だとみています。
  • 社債については多少の価格修正は見られるものの、株式市場からの追加的な波及効果の懸念もあるため、慎重な姿勢を維持します。
  • また、インフレ連動債は、ボラティリティによる影響には十分注意する必要があるものの、ここ数カ月パフォーマンスは良好ながらも依然として割安です。
  • 市場のボラティリティ上昇により、投資機会は生れつつあるものの、債券全般について警戒しています。

インカム戦略への影響:

  • 金利はレンジ内で推移するとみられるものの、デュレーションに関しては慎重な姿勢を維持します。
  • 米国と(アジア、特に中国の経済成長率低下に対して、ある程度のヘッジの役割が期待できる)オーストラリアの信用力の高い債券を引き続き多く保有しています。
  • また、金利が上昇しても住宅関連の投資は魅力的だと考えています。市場に対する規制が厳しく、貸し出し姿勢は過度に積極的とはいえず、特に社債と比較すると、ファンダメンタルズが相対的に強固なためです。
  • 近い将来に景気後退が起こるとはみておらず、デフォルトの発生は引き続き低いと考えていますが、ボラティリティの高まりが予想される中、一般的な社債については特に注意して銘柄を選びたいと考えています。
著者

Daniel J. Ivascyn

グループ最高投資責任者(グループ CIO)

Scott A. Mather

米国コア戦略担当最高投資責任者(CIO)

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