PIMCOでは、今後もニュー・ニュートラルの状況が継続する見通しであり、重要な点として、資産市場はそのような展開を概ね価格に織り込んでいるとみています。このような状況は全体として、PIMCOが長期的な時間軸として考える今後3~5年間にわたって、資産価格の動向やマルチ・アセット・ポートフォリオの運用方法に対して重要な意味合いを持ちます。 PIMCOのニュー・ニュートラルという命題の中核には、中央銀行は利上げを行う場合でも緩やかかつ慎重なペースで実施し、今後のサイクルにおいては、刺激的でも抑制的でもない中立金利の水準は過去のサイクルを下回る、という見方があります。米国ではこれが、多くの市場参加者が想定する4%という従来の水準ではなく、2%程度に近い水準になると予想されます。また、PIMCOでは、物価の上昇が限定的な時期から脱却するにしても、インフレが問題化するとは予想していません。低金利と緩やかなインフレが、低水準ながら長期にわたる景気回復をサポートし、現在の資産価格を下支えするとみています。 それでは、PIMCOのニュー・ニュートラルという命題がマルチ・アセット運用に対して長期的に重要な意味合いを持つのはなぜでしょうか。その理由として、過去30年間に経験した極めて低い政策金利とターム・プレミアムの縮小という追い風が、ようやく過去のものになることを指摘したいと思います。また、ほとんどの市場では低金利という現実がすでに価格に織り込まれているため、現在のバリュエーションはこの先の潜在的なリターンを抑制する可能性が高いでしょう。 このため、投資家は、向こう5年間の各種資産クラスのリターンや最適なポートフォリオを構築するパラダイムが、過去5年間、場合によっては過去30年間とは異なる公算が大きいという現実に順応する必要があります。また、投資家は、全体のアセットアロケーションをよりダイナミックかつタクティカルに行うことが求められ、リスクを個別のポジションに割り当てる際に差別化の姿勢を強めながらポートフォリオを構築するべきでしょう。高いリターンを達成することは引き続き可能なものの、ポートフォリオのアクティブ運用がかつてなく重要かつ必要になっているとPIMCOではみています。
注目の運用戦略 インカム戦略アップデート:レジリエンスとキャピタルゲインの可能性に備える 利回りが魅力的で、景気が悪化した場合にキャピタルゲインの可能性がある、質が高く流動性の高い債券に大きな価値を見出しています。
アセットアロケーション展望 プライムタイムを迎えた債券投資 PIMCOの2024年の見通しでは、傑出した資産クラスとして債券に注目しています。その堅調な見通しや強靭性、分散効果のほか、株式と比較しても魅力的なバリュエーションを提供しています。
PIMCOの視点 今日のクレジット市場における投資方針:マーク・キーセルおよびジェイミー・ワインスタインとのQ&A クレジット市場を俯瞰すると、パブリック市場には利回りが魅力的で底堅さを備えた質の高い投資機会が存在し、プライベート市場では長期的な投資機会が増加しています。