PIMCOでは、3月上旬に四半期の短期経済予測会議(シクリカル・フォーラム)を開催し、向こう1年間のマクロ経済見通しについて合意を形成した上でこれに関連するテール・リスクを見極めるために、グローバル経済の現状を評価、分析しました。

PIMCOでは、向こう1年間にグローバル経済の成長ペースは緩やかに加速し、実質GDP成長率は2.5~3%に達すると予想しています。地域別に見ると、経済成長率は欧州、米国、日本では緩やかに上昇する一方で、中国では緩やかに低下する見通しです。

また、インフレに関しては、2015年は世界のほとんどの中央銀行がインフレを安定させデフレを回避するために金融緩和をさらに強化するでしょう。金融緩和の波は既に生じていますが、さらなる緩和が予想されます。それに対して、米連邦準備制度理事会(FRB)は2015年に金融政策の引き締めに着手する意向を明確にしています。

ニュー・ニュートラルの環境下で政策金利が従来よりも低い水準になるという見通しが、引き続きグローバルな資産市場を強力に下支えしていますが、この見通しがグローバルな債券、株式市場に完全に織り込まれていることが、投資戦略を考える上で難しい問題となります。米国および一部の国の市場では、低利回りが長期化するという基本シナリオに固執せず、リスク・プレミアムをさらに上乗せする必要があるという見方が強まっています。

著者

Richard Clarida

グローバル経済アドバイザー

Andrew Balls

グローバル債券担当最高投資責任者(CIO)

ご留意事項

全ての投資にはリスクが伴い、価値は下落する場合があります。債券市場への投資は市場、金利、発行者、信用、インフレ、流動性などに関するリスクを伴うことがあります。ほぼ全ての債券及び債券戦略の価値は金利変動の影響を受けます。デュレーションの長い債券及び債券戦略は、より短い債券及び債券戦略と比べて金利感応度と価格変動性が高い傾向にあります。一般に債券価格は金利が上昇すると下落し、現在のような低金利環境ではリスクが高まります。債券取引におけるカウンターパーティーの取引能力の低下が市場流動性の低下や価格変動制の上昇をもたらす可能性があります。債券への投資では換金時に当初元本を上回ることも下回ることもあります。株式の価値は一般的な市場、経済、産業の実体と見込み両方の状況によって減少する可能性があります。外貨建てあるいは外国籍の証券への投資には投資対象国の通貨価値の変動や経済及び政治情勢に起因するリスクを伴うことがあり、新興成長市場への投資ではかかるリスクが増大することがあります。為替レートは短期間に大きく変動する場合があり、ポートフォリオのリターンを減少させる可能性があります。社債には、発行体が元利金の支払い不能に陥るリスクがあります。また社債の価格は金利感応度や発行体の信用力に対する市場の認識、市場の全般的な流動性といった要因の影響により、変動する可能性があります。モーゲージ担保証券や資産担保証券は金利水準の変化に対する感応度が高い場合があり、期限前償還リスクを伴い、また、一般的には政府または民間保証機関による何らかの保証が付されていますが、民間保証機関が債務を履行する保証はありません。ソブリン証券は通常、発行体政府によって保証されています。米国政府機関の債務は米国政府からさまざまな形で支援を受けていますが、政府による全面的な保証は付与されないことが一般的です。こうした証券に投資するポートフォリオに対する保証はなく、ポートフォリオの価値は変動します。政府が発行する物価連動債(ILB)は、元本価値がインフレ率に連動して定期的に調整される債券です。実質金利が上がった場合、物価連動債(ILB)の価値は減少します。インフレ連動国債(TIPS)は、米国政府が発行する物価連動債(ILB)です。特定の証券や種類の証券の信用格付により、ポートフォリオ全体の安定性や安全性が確保されるわけではありません。

金融市場の動向に関する記述は現在の市場環境に基づくものであり、市場環境は変化します。本資料で言及した投資戦略が、あらゆる市場環境においても有効である、またはあらゆる投資家に適するという保証はありません。投資家は、自らの長期的な投資能力、特に市場が悪化した局面における投資能力を評価する必要があります。投資判断にあたっては、必要に応じて金融またはその他の専門家にご相談ください。