連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は3月3日のスピーチ「量的緩和拡大からの軌道修正」の中で、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)において今次サイクル3回目の利上げを決定するという市場の予想を裏付けた後に、「運命の3月15日(Ides of March)」に利上げを実行しました。また、同議長による「(緩和の)軌道修正」は、PIMCOの3月の短期経済予測会議(シクリカル・フォーラム)において主要なテーマとなった「(予想の)軌道修正」と偶然にも重なります。PIMCOでは、金融政策の見通しだけでなく、グローバル経済のさまざまな動向の見通しについて「軌道修正」を行いました。

今回のフォーラムには、グローバル・アドバイザリー・ボード(GAB)のベン・バーナンキ氏、ゴードン・ブラウン氏、ウン・コクソン氏、アンマリー・スローター氏、ジャンクロード・トリシェ氏にご参加頂きました。GABの知見に加えて、PIMCOのマクロ経済チームによるシナリオ分析と各拠点のポートフォリオ・コミッティによるプレゼンテーションを基に、PIMCOの投資プロフェッショナルは、昨年12月のフォーラムにおいて形成した「極端な不確実性とテールの拡大」という2017年の短期(6~12カ月)見通し(2016年12月付「未知なる世界へ――2017年グローバル経済の3つのシナリオを想定」をご参照ください)に変化がないかどうかを議論しました。その結果、基本的に変化はないものの、細部の修正が必要という結論が導かれました。

今回のフォーラムでは、トランプ政権の財政政策と貿易政策の詳細が依然として不明であること、フランス、ドイツ、場合によってはイタリアで実施される選挙の見通しが引き続き不透明であること、中国の債務バブルと国外への資本流出圧力に関連するリスクを踏まえて、「安定的だがその持続性には懸念」があると総括した長期(3~5年)見通しと、総論として「テールの拡大」という短期見通しを再確認しました「テールの拡大」とは、今後のシナリオの確率分布において、基本シナリオの発生確率が全般に通常よりも低下する一方で、レフト・テール(ネガティブ)とライト・テール(ポジティブ)のシナリオの発生確率が上昇する状況を指します。その一方で、前回フォーラム以降の3カ月間の動向を踏まえて、いくつかの点において短期見通しを小幅に軌道修正しました。修正の内容と背景は以下の通りです。

第1に、米国において導入が予想される財政刺激策の規模を下方修正しました。現時点では、財政政策案は2018年初頭までは議会を通過しないとみているため、影響が顕在化するタイミングはPIMCOの短期的な時間軸を超えることになります。当面の間、議会はオバマケアの廃止と後継プログラムの導入に忙殺されるため、包括的な税制改革の実現には時間を要し、また、悪影響を受ける輸入産業や上院が国境調整税に反対の動きを強めていることから、実現は困難になっています。このため、財政刺激策の規模は縮小され、導入時期は先送りされる公算が大きいでしょう。この点だけを切り離して考えると、財政政策案がいずれは導入されるとの見方が消費者と企業の景況感を引き続き下支えすることはあっても、少なくともPIMCOの短期的な時間軸においては、経済成長のライト・テール・シナリオの発生確率はやや低下すると考えられます。

第2に、米国の貿易政策の大規模な変化に伴い全面的な貿易戦争が生じる、というレフト・テール・リスクの確率を下方修正することが適切と思われます。トランプ政権が貿易に関して敵対的な発言を繰り返していることは事実ですが、政権内部でも穏健な「グローバリスト」と、より過激な「ナショナリスト」の間で議論があるという報道に鑑みると、発言を額面通りに受け止めるべきではないでしょう。トランプ政権にとっ ては、初期の段階で大統領令を発令することによって貿易制裁を加える方が容易だったでしょう。貿易に関連して、穏健派が議会との合意を待つ構えでいた一方で、初期の段階からタカ派勢力の動きが政権内部で活発だったにもかかわらず、実際に貿易制裁が発動されなかったことを考えると、トランプ大統領の関税に関連する発言は、象徴的な意味合いが強いのかもしれません。これは従来からのPIMCOの基本シナリオと変わってはいませんが、深刻な貿易戦争が生じるというレフト・テール・リスクは低下したようです。

第3に、前述の2点目と部分的に関連することですが、中国関連の深刻な「アクシデント」が年内に発生するリスクについての見通しを、下方修正しました。フォーラムでは、2017年第4四半期の共産党第19回全国代表大会を控えて、中国の政府と中央銀行には金融システムの安定と人民元の(相対的な)安定の維持に努める意思と手段が存在することを、PIMCOの専門家と外部の専門家はいずれも強調しました。長期的にみると、資本流出圧力と債務残高の増加は深刻なリスク要因ですが、中国の短期的な見通しは比較的安定しているようです。しかしながら、2017年の経済成長率の公式目標が6.5%程度に低下したことと、当局が金融システムの 安定をさらに優先するようになったことを踏まえると、年内は中国が与信の拡大を通じてグローバル経済を牽引する力は弱まったと考えられます。

第4に、最近の世論調査や3月15日のオランダの総選挙の結果を見る限り、今後予定されるフランスとドイ ツの選挙においては、反欧州を掲げるナショナリスト的な候補者や政党が勝利を収める確率がいくぶん低下 した様子がうかがえます。実際、フォーラムでも議論されたように、フランスのマクロン候補とドイツのシュルツ候補が勢いを増したことによって、「反欧州的ではなく親欧州的な」結果が生じる確率が上昇し、周縁国関連の資産が追い風を受ける可能性があります。しかしながら、PIMCOでは、ユーロ圏においてリデノミネーション(通貨単位の変更)のリスクが非常に小さいながらも台頭するなかで、現在の形でのユーロの持続性について長期的には懸念しているため、短期的な政治関連のイベント・リスクも念頭に、欧州の見通しには引き続き慎重です。

第5に、(PI MCOの予想通りに)総合インフレ率が足元で上昇したことを受けて、米国における短期的なイン フレ圧力の評価は後退しました。1つ目の理由は、ここ数カ月間にわたって労働参加率が上昇した結果、当面は賃金の上昇が抑制される可能性が高いことです。2つ目の理由は、米国のシェール・オイルの供給に増 加の兆しがみられるなかで、石油輸出国機構(OPEC)が昨年達した減産合意が失効することへの懸念を背景に、ここ最近、原油価格が下落したことです。長期的にはインフレ・リスクは上振れ方向にあるとみているものの、当面は、最近のリフレ見通しに基づく取引を後押ししてきた要因は、一時的に後退する公算が大きいでしょう。

グローバルな経済成長の加速と広がり
PIMCOでは、総合的に判断して、8年近く持続したグローバルな経済成長が、PIMCOの短期的な時間軸において加速しつつ広がりをみせるという基本シナリオに確信を深めるようになりました。実際、2017年の世界の実質国内総生産(GDP)成長率と消費者物価指数(CPI)は、従前の予想を0.25%上回る見通しです。その理由として、(1)大方の先進国では財政政策が全般に拡大傾向にあること(また拡大見通しが存在すること)、(2)年初来、金融環境が緩和方向にあること、(3)消費者および企業の景況感指数が示すように、アニマル・スピリットが改善していること、(4)ここ数カ月間、世界貿易が回復傾向にあることが挙げられます。PIMCOでは、2017年の世界の実質GDP成長率の予想を、昨年12月時点の2.5~3.0%から2.75~3.25%に上方修正しました(2016年の2.6%から上昇)。以下では、2017年の世界の主要国の経済成長とインフレの基本シナリオについて、より具体的に整理しました(予測の図表もご参照ください)。

米国成長率:2%-2.5%
企業投資がエネルギー・セクターを中心に回復する一方で、失業率のさらなる低下、消費者信頼感の改善、来年の個人所得税の減税見通しが個人消費を下支えする結果、2017年の米国の実質GDP成長率はトレンドを上回る2~2.5%になると予想しています。一方、コアインフレ率は年内は横ばいで推移するものの、FRBはトレンドを上回る経済成長を根拠に、3月の利上げに加えて、年内にさらに2 回利上げを実行すると予想しています。また、FOMCでは、2018年から債券の償還元本の再投資を縮小することによってFRBのバランスシートを自然体で縮小する案が、検討の上で決定されると予想しています。

ユーロ圏成長率:1.5%-2%
昨年末にかけて景気が勢いを増したことを踏まえて、2017年のユーロ圏の実質GDP成長率の予想を、昨年12月時点から上方修正して1.5~2.0%としました。フランス、ドイツ、そして場合によってはイタリアでの重要な選挙を控えて、政治の不確実性は引き続き高いものの、財政政策と金融政策はいずれも拡張的であり、また、世界貿易の伸び率の回復が輸出と投資を下支えしています。コアインフレ率は1% 弱にとどまり、欧州中央銀行(ECB)の「2%未満だが2%に近い水準」という目標に近づくことはないと予想しています。また、ECBは、昨年12月の政策理事会において減額された毎月600億ユーロというペースで、2017年12月までは債券の買い入れを続けるものの、その後は金額を縮小して、最終的には買い入れを終了するとみています。

英国成長率:1.75%-2.25%
Brexitがマイナスに作用するものの、足元で景気が堅調であることから、財政支出の増加と英ポンドの下落(昨年1年間で15%の下落)に伴う輸出の拡大が牽引する形で、2017年の英国の実質GDP成長率は、(市場の予想を上回る)1.75~2.25%のレンジを維持すると予想しています。CPIはイングランド銀行の目標(2%)を超えるものの、政策金利は年間を通じて据え置かれるとみています。

日本成長率:0.75%-1.25%
日本では、財政刺激策と円安の動きを背景に、2017年の実質GDP成長率が0.75~1.25%のレンジに押し上げられる一方で、インフレ率は2%の目標を大きく下回る水準で低迷する見通しです。日本銀行は翌日物金利を-0.1%、10年国債利回りを0%に誘導する目標を維持しつつ、政府に対して引き続き財政政策の追加を要請すると予想しています。この要請は、年末までには受け入れられるとみられます。

中国成長率:6%-6.5%
中国の公共部門における信用バブルと民間部門における資本流出の動きは、年内は引き続き抑制される見通しです。2017年第4四半期の共産党第19回全国代表大会を控えて、政策当局が景気の促進よりも金融システムの安定を優先するなかで、経済成長率は6~6.5%のレンジに減速する見通しです。米国との貿易戦争は、実態を伴うことなく、言葉(そしてツイート)のやり取りに終始する可能性が高く、また、人民元は米ドルに対して段階的に4~5%程度下落するとみています。

エマージング市場*成長率:5%-5.5%
エマージング市場では、深刻な景気後退の終了に伴い、ブラジルとロシアの経済は緩やかに成長する見通しです。両国の中央銀行は、インフレ率が高い水準から低下したことを受けて、数回にわたって利下げすることが可能になるとみています。一方、メキシコの中央銀行は、ペソの下支えとインフレの抑制を目的に、FRBに続く形で金融政策を引き締め、その結果、2017年の同国の経済成長率は1.25~1.75%のレンジに減速する見通しです。

*エマージング市場の数字は、中国、ブラジル、ロシア、インド、メキシコのGDP成長率

金融緩和の軌道修正
しかしながら、このような良好な見通しには大きな落とし穴があります。経済成長とインフレの見通しの改善を受けて、政策手段の枯渇した中央銀行は、極めて緩和的な金融政策からの出口に向かう可能性が高いでしょう。その場合、世界中の民間部門、公共部門におけるレバレッジの高い債務者が、緩和終了に対応できるかどうかは不透明です。

3月上旬に、イエレン議長率いるFRBは、「軌道修正」のタイミングが到来したという見方に確信を深めたというメッセージを発しました。FRBは、年内に政策金利をさらに2回引き上げる可能性が高く、また、来年以降には、再投資の縮小を通じてバランスシート上の保有資産を減らす見通しです。さらに、来年を通して議長と副議長を含むFRB理事がほぼ総入れ替えとなる見通しと、完全雇用の状態において財政政策が拡大される見通しが、今後のFRBの金融政策の反応関数(経済指標や景気動向に関する新しい情報に対して「この場合はこうする」といった政策対応の目標を意味します。反応関数自体は、FRBの政策のアプローチと合わせて変化する可能性があります)に対する不透明感を一段と高めています。

欧州では、ECBが今年半ば頃に政策金利に関するフォワード・ガイダンスを変更するとともに、来年初頭から資産の買い入れをさらに縮小すると予想しています。その結果、ユーロ圏の国債利回りと周縁国国債の対ドイツ国債スプレッドが、大幅に変動する恐れがあります。

最後になりましたが、前述のように、中国政府の関心が経済成長から金融システムの安定に変化したことに伴い、昨年から今年にかけて世界経済の浮揚に寄与してきた中国の強いクレジット・インパルス(GDPに対する与信の伸び率)は、年末までに弱まる可能性が高いことを指摘したいと思います。

言うまでもないことですが、PIMCOが5月に開催を予定する長期経済予測会議(セキュラー・フォーラム)では、前述のテーマの多くに伴う長期的なリスクについて、再び徹底的に議論する予定です。

投資への影響
金融市場では、PIMCOの予想通り、経済成長の基本シナリオの上方修正、レフト・テール(ダウンサイド)・リスクの小幅な低下、FRBの利上げペースの加速が織り込まれています。PIMCOでは、足元のバリュエーションを踏まえ、債券ポートフォリオにおいてクレジットのエクスポージャーを小幅に縮小することが適切であるとみています。一方、アセットアロケーションのポートフォリオでは、株式について概ね中立的なスタンスをとる見通しです(PIMCOのアセットアロケーションに関する見解と戦略の詳細については、アセットアロケーション・アウトルックをご参照ください)。

米国経済は世界金融危機後の回復局面から脱却する可能性があり、また、FRBはより典型的な引き締めサイクルを進めることも考えられます(PIMCOの基本シナリオとは異なります)。しかしながら、先進国の経済成長が引き続き低調である状況と、欧州、英国、日本では中央銀行が出口に向かう見通しを、合わせて考える必要があります。不確実性につながる重要な要因として、米ドルの上昇見通しと、さらなる米ドル高に対するトランプ政権の発言と行動が挙げられます。

金利市場
金利は世界的に上昇する可能性があるものの、高止まりする公的債務残高(一部の国では民間債務残高も)、人口動態の影響、生産性と与信の伸びの鈍化を背景に、上昇の度合いは引き続き限定される見通しです。米国では欧州、英国、日本と比べて金利水準の正常化が大きく進み、スプレッドは過去最高水準まで拡大しているため、利回りは世界的に米国の水準に近づく可能性も考えられます。このため、金利市場では、ショックへの備えという意味合いにおいても、米国債の魅力が最も高いと言えるでしょう。

グローバルな見通しが依然として不透明であることから、現在のバリュエーションの水準では、引き続きマクロ見通しに基づいて大きなポジションを構築することは控え、ミスプライスや相対価値の歪みを取引機会として捉えてアルファを捻出し、新たな情報に対応するべきであると考えています。PIMCOではアクティブ運用者として、流動性(「ドライ・パウダー」)を十分に確保することによって、市場のボラティリティが上昇する局面や、確度の高い投資機会が出現するタイミングを捉えることが可能であると考えています。

全般に、中立的な金利リスクのポジションを据え置き、欧州、英国、日本の金利リスクよりも米国の金利リスクを選好する方針です。また、FRBを始めとする中央銀行の引き締めのペースが緩やかな状態にとどまる見通しや、市場は各国のイールドカーブの長期ゾーンにより大きなリスク・プレミアムを織り込むという見通しを踏まえ、インカム獲得の機会として、イールドカーブのスティープニング・バイアスを据え置いています。

米物価連動国債(TIPS)は引き続き、バリュエーションが割安であることに加えて、米国において完全雇用の状態において財政政策が拡大される見通しに伴う不確実性を考えた場合には特に、インフレの上振れリスクに対して魅力的なヘッジ機能を提供するとみています。

クレジット市場
企業クレジットのエクスポージャーを若干縮小したものの、全般にクレジットのオーバーウエイトを据え置く方針です。また、これまでと同様に、一般的な投資適格やハイイールドのポジションを削減する一方で、「曲がっても折れない」銘柄、すなわち、ディフェンシブで、信用力が高く、年限が短く、デフォルト確率の低いクレジットのエクスポージャーに注目する方針です。金融セクターには引き続き魅力的な投資機会が存在するものの、ポジション量の決定には注意が必要です。精緻なクレジット・リサーチが、変わることなく極めて重要です。

米国の非政府機関系モーゲージ債(MBS)は、経済成長の下振れリスクに対してディフェンシブであることに加えて、流動性、複雑性、キャッシュフローのタイミングの不確実性に対するリスク・プレミアムが魅力的であることから、オーバーウエイトとする方針です。また、米国の政府機関系MBSについても、インカムの源泉としてバリュエーションが比較的割安ですが、FRBが再投資を削額する見通しと、それに伴う市場への影響については注意深く見守る必要があります。

ユーロ圏が抱える長期的な問題、政治関連のリスク、ECBによる量的緩和プログラム縮小の決定、年後半にさらなる緩和縮小が予想されることを踏まえ、引き続きユーロ圏周縁国のリスクには慎重です。ECBに関しては、ユーロ圏ではコアインフレ率が政策目標を大きく下回った段階で金融緩和の縮小に着手したため、ユーロ圏諸国の景気浮揚に取り組む姿勢や、政治、経済のショック発生時に周縁国国債を下支えする姿勢が、疑問視されるようになりました。また、足元のバリュエーションに鑑み、欧州の企業クレジットをアンダーウエイトとする方針です。

為替市場
米ドルには他の主要通貨対比で小幅に上昇する余地があるとみていますが、米ドル高に対するトランプ政権の対応が極めて不透明であることは、不確定要因と言えるでしょう。また、高利回りのエマージング通貨は、インカム獲得の手段として魅力的ですが、ポジション量の決定には注意が必要です。

エマージング市場
エマージング市場全般については、現在のバリュエーションの水準において大きなリスク・ポジションを積むことを想定していませんが、ポートフォリオの分散を高める好機を引き続き追求する方針です。

株式市場
アセットアロケーションのポートフォリオでは、株式リスクについて概ね中立的なスタンスをとる見通しです。株式市場では、企業利益の回復とグローバルな経済成長見通しの改善を受けて、上昇局面が続いています。しかしながら、法人税改革に大きな進展がみられない限り、米国株式には現在の水準から大きく上昇する余地があるとは考えていません。グローバルな経済成長の加速によって、欧州のように割安感のある株式市場が循環的に押し上げられる可能性はあるものの、引き続きユーロ圏の政治リスクに左右されるでしょう。

コモディティ市場
昨年来、マクロ経済の活性化と供給調整の大幅な進展を受けて、コモディティ市場のリターンと先行きの見通しは大きく改善しました。PIMCOでは、世界経済の拡大見通しがコモディティ需要を下支えするとの見方から、コモディティのアロケーションを概ねベンチマーク並みにするべきであると考えています。コモディティと他の資産クラスとの相関やコモディティ市場内部における相関が、従来の平均的な水準に戻ったため、コモディティのポートフォリオ分散効果が復活する可能性は高いでしょう。また、インフレや想定外のインフレの動きと正の相関性があることも、PIMCOの想定通りにインフラ投資が世界的に拡大する一方で財政緊縮が後退する場合には特に、コモディティがポートフォリオにおいて有益な役割を果たす可能性を示唆しています。

PIMCOの経済予測会議について
PIMCOの投資プロセスは、長期経済予測会議と短期経済予測会議を基盤としています。年に4回、世界各地からPIMCOの投資プロフェッショナルがニューポートビーチに集結して、世界の金融市場と経済の現状について議論、討論を重ね、投資に関して重要な意味合いを持つと考えられるトレンドを特定します。ファンダメンタルズの長期的な動向にきめ細かく注目することで、投資機会とリスクを特定し、長期的な投資戦略を実行するための指針となる重要なマクロ経済のトレンドを把握することができると考えています。

年に1回開催される長期経済予測会議(セキュラー・フォーラム)では、世界経済の構造変化やトレンドを捉えたポートフォリオを構築するために、向こう3~5年間の見通しに焦点をあてます。毎年長期経済予測会議には、ノーベル賞受賞経済学者、政策当局者、投資家、歴史家などの著名なゲスト・スピーカーを迎え、有益で多面的な知見の提供を受けることで、議論を深めています。また、世界的に著名な経済、政治問題の専門家5名から構成されるPIMCOグローバル・アドバイザリー・ボードからも積極的な参加を得ています。

年に3回開催される短期経済予測会議(シクリカル・フォーラム)では、向こう6~12ヶ月間の見通しに注目し、ポートフォリオの構成に影響する金融政策や財政政策、市場のリスク・プレミアムや相対価値の潜在的な変化を見定めるため、主要な先進国とエマージング諸国の景気サイクルのダイナミクスを分析します。

著者

Joachim Fels

グローバル 経済アドバイザー

Andrew Balls

グローバル債券担当最高投資責任者(CIO)

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