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米国中間選挙:停滞へ向かう政治

投資家にとって重要なのは、米国中間選挙の結果に関わらず、貿易政策リスクは残るという点です。

アメリカに住んでいれば、来たる11月6日の中間選挙のニュースを聞かない日はありません。 しかし投資家にとって、この中間選挙は本当に重要な意味を持つのでしょうか。

PIMCOでは、選挙結果に関わらず、貿易政策リスクは残ると考えています。通常、株式市場が中間選挙後、特に議会のねじれが生じた場合には大きく上昇することが多いのは事実です。これは投資家が政治の停滞と権力の確認を好む傾向が強いことを表しています。

しかし今回、政治評論家や選挙の市場予測が正しく、(たとえ僅差でも)選挙により民主党が下院の過半数を握り、上院を共和党が支配し続けるとしても、市場は好意的な見方をするでしょうか。PIMCOでもそのような結果を予想し、政治停滞が基本シナリオだと考えていますが、「I」の頭文字のつく以下の三点において、ダウンサイドにもアップサイドにも政治リスクの振れ幅は大きくなったとみています。3つの「I」とは、Infrastructure(インフラ)、Investigations(調査)、Impeachment(弾劾)です。

  • Infrastructure(インフラ):疑問視していますが、上振れリスクは排除できません。中間選挙後のねじれた議会では、2019年の追加的な財政政策による刺激策の可能性は難しいと考えてきました。既に米国は巨額の財政赤字を抱えており、次の議会は、いわゆる財政の崖――(PIMCOでは動くと考えていますが)議会が動かなければ、財政支出が大きく減少すること――の問題に取り組む必要があり、インフラの追加投資の必要性には政党同士が合意しているものの、実際にどのようなインフラをつくり、どのように資金が賄われるかについてはほとんど何も決まっていないという実状があるためです。しかし、否定派に近い見方はしていますが、市場が価格に織り込んでいるよりも、インフラに関する上振れサプライズの可能性を多く見込んでいます。PIMCOの情報筋は、民主党は主導権が握れることを示したい一方で、インフラ整備は大統領の優先順位の高い政策であることから、両者の間には合意が成立すると見ています。ただし成立するとすれば、次の議会の開始直後、民主党議員がトランプ政権の調査を本格的に始める前までの極めて短い期間だと考えられます。 PIMCOでは、3月下旬までにインフラに関する現実的な動きが無ければ、実現しないだろうとみています。
  • Investigations(調査):ねじれた議会で唯一「確かなこと」です。トランプ政権への監視がさらに強くなると予想しています。召喚権限を持つさまざまな下院委員会によって、大小多岐にわたる疑惑(大統領の納税申告や政府高官によるプライベートジェットの使用など)が調査される可能性が高いからです。そのような調査が実際に疑惑確定に結び付くかどうかは不確かですが、既に極めて異例な党員の状況や、二極化された議会の環境をさらに加速させかねず、その影響で、景気の失速や一層広範な地政学上の危機が噴出した場合に、議会が一体となって対処する能力は低下します。
  • Impeachment(弾劾):可能性は低いでしょう。ナンシー・ペロシ氏が下院議長に再任されると予想されることから、ねじれた議会での大統領に対する弾劾リスクは比較的低いと考えています。(弾劾は下院の50%以上の賛成があれば可能ではありますが、罷免を伴う有罪判決は上院の3分の2の賛成が必要です。)2020年に民主党がホワイトハウスと議会の主導権を奪い返す機会が減ることにつながることを見越して、党派を超える動きに見えるものの、ペロシ氏は弾劾を避けるとPIMCOでは予想しています。経験の乏しい議長が選ばれた場合には、弾劾を求めるさまざまな党内の扇動を振り払うことが難しく、弾劾リスクは高まるでしょう。有罪判決を欠く弾劾自体にそれほど大きな意味はありませんが、それによって、議会にわずかに残る礼節をさらに後退させ、超党派の実りある法律制定がより困難なものとなるでしょう。

選挙の結果如何にかかわらず、貿易を巡る緊張は消えないでしょう。

投資家にとって重要なのは、米国中間選挙の結果に関わらず、貿易政策リスクは残るという点です。貿易問題は政治上の不思議な同志を創り出しました。多くの民主党員が、大統領の特に中国に対する強硬な姿勢に好意を抱いています。その一方で、大統領を支持する労働者層を疎外していると懸念する人もいます。さらに大統領は、貿易に関しては広範囲に及ぶ一方的な権限を有していることから、政策実施のための議会の支持は必要ありません。

ひとつ例外となるのは、「新NAFTA」(米国・メキシコ・カナダ協定、USMCA)です。この批准には議会の同意が必要で、民主党が下院を支配すれば、自分たちの主張を織り込むことにこだわるでしょう。大統領が協定撤回を少なくともチラつかせるリスクが拡大し、市場を混乱させるもう一つのリスクを生む可能性があります。

著者

Libby Cantrill

エグゼクティブ・オフィス

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