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貿易をめぐる「不満の夏」?デッドライン、ヘッドライン、加速の分岐点

来月以降、分岐点となる可能性のあるイベントが目白押しで、貿易リスクは加速しているように見えます。

年1月のPIMCOによる見通しの通り、ワシントンの政策議論は貿易一色となり、市場の一部に暗い影を落としています。貿易政策については、トランプ大統領の発言はそのまま受け取るべきだとする立場をPIMCOは崩していません。トランプ大統領の貿易に対する見方は、多くの人が2016年大統領選のなかで培われていった政治的なテーマだと考えているかもしれませんが、実は貿易政策に関してトランプ大統領は公の場で驚くほど首尾一貫しています(たとえば、1988年のオプラ・ウィンフリー・ショーでのインタビューをご覧下さい)。 

貿易により米国は不利益を被っているというトランプ大統領の根深い信念に加え、貿易政策に関する行政機関の絶大な柔軟性、並びにトランプ大統領と概ね同じ考えを持つ(ボブ・ライトハイザー米通商代表などの)側近の布陣を鑑みると、少なくとも当面は、貿易政策に関するリスクが後退するとは考えにくいでしょう。 実際に来月以降、分岐点となる可能性のあるイベントが目白押しで、貿易リスクは加速しているように見えます。 

この夏、投資家は貿易問題を加速するだろう分岐点の中でどれに注目すべきでしょうか。

  • 6月12日:シンガポールでの北朝鮮との首脳会談、および台湾での米国在台協会(AIT)の新庁舎落成式 6月12日の北朝鮮首脳会談が終了するまでは、中国との関税問題の進展はないと見るのが通常の見方ですが、トランプ大統領は常識的な見方を覆す傾向があります。 6月12日は、また別の理由で大きな意味を持つ日となる可能性があります。事実上米国大使館として機能している米国在台協会の新庁舎落成式に、もしアメリカが閣僚級の政府高官を派遣することになれば、中国に対する挑発とみなされ、緊張を高める可能性があります。
  • 6月15日:通商法301条に基づく、中国による米国技術使用に関する調査の一環として、ホワイトハウスによる、500億ドルの中国輸入製品に対する25%関税適用最終決定の期限です。3月にホワイトハウスが取り上げた広範な品目リストに基づく関税は、米国消費者への影響を最小限に留め、中国に対しては「中国製造2015」戦略に最大の打撃を与えるように計画されています。 貿易赤字に対する簡単な合意が形成され、関税適用が回避される期待は残るものの、中国に対する関税第1ラウンドは避け難い状況になりつつあり、そうなれば報復措置につながるのはほぼ確実です。
  • 6月20日:欧州による対米報復関税施行 欧州連合(EU)は(ポール・ライアン下院議長選挙区のウィスコンシン州のクランベリーや、ミッチ・マコーネル多数党院内総務の選挙区のケンタッキーウィスキーなど)政治的な打撃を最大限にするような、米国製品に対する関税リストを既に公表しています。ワシントンの関係者によれば、緊張緩和の糸口は見えず、米国とEUの対立によって、既に高まっている米国と最大の同盟国の一部との緊張関係が益々悪化することは避けられないだろうとしています。
  • 6月22日:自動車に対する米通商拡大法232条に対するパブリックコメントの提出期限自動車輸入は国家安全上の危険をもたらし、関税対象となるか否かの調査に対する、この夏一連の最初の期限です。もし政府が関税の適用を是とすれば、特に欧州や日本からさらなる報復関税を受けることになるでしょう。
  • 6月30日:ホワイトハウスにより、中国の米国内での投資制限が発表される見込み もし中国と米国の間で今後交渉が行われない場合、この発表が早まる可能性がありますが、6月30日はホワイトハウスが設定した期限です。
  • 6月中旬から下旬:NAFTA合意(でも驚かないでください)  既にEU向けの関税措置を決めた後の現状では(交渉が成立する可能性は、たとえそのような関税が無かったとしても小さいことは明らかですが)、NAFTA2.0合意は原則的にも実現は厳しい状況です。大統領貿易促進権限(TPA)によるデッドラインを考えると、中間選挙後、機能不全に陥いった下院での投票機会を得るには、確定NAFTA合意が6月中旬から下旬には下院議会にかけられる必要があります。NAFTA2.0が成立しない場合、トランプ大統領によるNAFTA離脱の脅威は高まるでしょう。 
  • 7月1日:メキシコ大統領選挙 新政府との交渉ではいくらか仕切り直しを必要とする可能性も高く、ワシントンD.C.の関係筋の多くは、これが2018年NAFTA2.0合意に向けての実質的な期限だとみています。
  • 7月:カナダによる報復関税の見込み 鉄鋼、アルミニウムに加えて農産物に対する関税が予想されます。

結論:この先、投資家は貿易に関するさまざまな分岐点に注意する必要があります。 緊張が緩和する可能性はありますが、少なくとも短期的にはリスクは増大するとみています。

グローバル経済や市場を動かす要因についての詳しい見解は、最新の長期経済予測『急変に備えて』をご参照ください。

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著者

Libby Cantrill

エグゼクティブ・オフィス

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