PIMCOブログ

株式60%/債券40%のポートフォリオは健在で順調

60/40の株式・債券ポートフォリオは陳腐化したのでしょうか?PIMCOはそう考えてはいません。

本ブログは、12月22日付のフィナンシャル・タイムズ紙に掲載された寄稿文を編集したものです。

この一年は、伝統的な株式と債券の投資比率、いわゆる60/40のポートフォリオが陳腐化したのではないかと投資家が疑問を抱いた年でしたが、ベンチマークを用いた同比率のポートフォリオでは12月15日時点で11%のリターンを記録しています。金利が低下し続け、長期の債券強気相場は終わったとの懸念があるなか、それ以前の30年間の年率7.6%のリターンに準じる実績です。2021年は債券に対する懸念が再燃するのは避けられず、60/40のポートフォリオが今後も投資家に適切なリターンをもたらし続けられるのか、より具体的に言えば、債券が株式などのリスク資産を効果的に補完しうるか否かが、引き続き焦点となるでしょう。

長期的なリターンの達成は難しくなる可能性がありますが、債券はポートフォリオにおいて引き続き極めて重要な役割を果たしていくと考えられます。実際、債券はマルチアセットのポートフォリオにおいて分散効果とボラティリティ抑制効果を発揮してきました(図表1を参照)。今後数年にわたって紆余曲折の回復と世界経済の長期的な変化が予想され、ボラティリティが過去10年を大きく上回ると見られる中、債券のこうした効果が特に有効になるとみられます。

図表1:株式のみのポートフォリオは、株式・債券を組み合わせたポートフォリオよりもボラティリティが高い傾向

3年ローリングのボラティリティ:60/40マルチアセット 対 全株式

従来、米国債などの債券投資は、マルチアセット投資に対して、利回りの向上と分散の二重の効果をもたらしました。過去30年の米国債の確定利回りは平均4%超で、マルチアセット・ポートフォリオのトータル・リターンを補完してきました。事実、過去30年間の60/40のマルチアセット・ポートフォリオのリターンのうち2.3%は、債券によるものです。このリターンは元本毀損のリスクをほとんど伴わないため、ポートフォリオのリスクが高い部分においてボラティリティが高まる時期には、投資家のエクスポージャーにある程度の安定性をもたらします。

こうした歴史的な債券のヘッジ効果が、60/40のポートフォリオの人気に一役買いました。株式の過去30年のリターンは年8.8%ですが、この資産クラスのボラティリティ2は15%と高く、MSCI ACWIインデックスで市場が30%強下落した局面が3度あります。株式はリターンの高い資産クラスである一方、ポートフォリオにかなりのリスクを抱えることになります。そして、株式資産内での分散は、分散効果が最も必要とされる時に失敗することがよくあります。

しかしながら、債券は安定をもたらしてきました。過去20年間、株式と債券の相関性は概ねマイナスになっています(図表2を参照)。これは、株式の下落時には、一般に債券が上昇したことを意味します。こうした負の相関性、つまり債券のボラティリティ抑制効果によって、前述のマルチアセット・ポートフォリオの過去30年のボラティリティは9.1%で、株式のみのポートフォリオのボラティリティを5.9%ポイント下回っています。

図表2:債券リターンは引き続き株式リターンと負の相関性

株式と国債のリターンの3年ローリング相関

ただ、株式と債券のこうした歴史的な関係は、時にマイナスとなる現在の超低金利の世界でストレスにさらされています。しかしながら、今年第1四半期に市場が経験したような、投資家が「安全な逃避先」を求めるボラティリティが高い時期は、超低金利下での株式のヘッジ手段としての債券の耐性を試すものでした。債券は、出発点の2020年初めの利回りは低かったにもかかわらず、引き続き期待通りのリスクの分散効果を発揮しています。ドイツの場合、10年物の独国債の利回りは2020年初めの時点で既に若干のマイナスでしたが、第1四半期中、新型コロナ関連でボラティリティが高まる中、-0.86%という過去最低に急落しました。さらに米国債は、過去50年の間に起こった米国でのすべての景気後退期において、プラスの名目リターンをあげています。

今後数年にわたって、市場のボラティリティは過去10年よりも高まるものと予想されます。金融・財政の緩和策が段階的に縮小され、インフレ率が徐々に上昇し、貿易の脱グローバル化とポピュリズムが引き続き政治を不安定化させかねない状況では特にそう言えるでしょう。さらに、技術的な変化と人口動態の変化によって引き起こされる経済および市場の創造的破壊は、市場のファットテールの肥大化と、不確実性の上昇につながると考えられます。したがって、ほとんどの投資家にとっては、ストレス時に株式のリスクを相殺する手段として、債券などのボラティリティを抑制するエクスポージャーを維持することがきわめて重要になります。

利回り向上については、先進国の名目利回りなど従来の債券が、魅力的な利回りをもたらす機会はほとんどありません。新型コロナウイルスへの政策対応とリスク回避によって、先進国の国債利回りはさらに低下しています。その代わり、投資家は、リターンと分散効果を最大化するには、特定の地域やイールドカーブの特定部分に狙いを定める必要があることに気づきつつあります。こうした機会は、多様なオルタナティブ戦略のほか政策支援を受ける質の高い資産にあります。具体的には、政府系モーゲージ債(MBS)、ダブルA、トリプルA格の投資適格社債、為替ヘッジ付き現地通貨建てエマージング債などです。

投資家は債券の価値を、ヘッジ資産と利回り資産の2つの資産に分解することで、多大なメリットを享受しうる分散効果の高いマルチアセット・ポートフォリオを構築することができます。

各資産クラスに対するPIMCOの詳細な見方については、2020年12月のアセットアロケーション展望「景気サイクル初期の投資:回復時の舵取り」をご覧ください。

エリン・ブラウンはニューポートビーチを拠点とするマネージング・ディレクター。マルチアセット戦略担当のポートフォリオ・マネージャー。

(2020年12月24日発行)



1 60%MSCI ACWIトータル・リターン(米ドル、ヘッジなし)/40%ブルームバーグ・バークレイズ・グローバル総合インデックス(米ドル、ヘッジあり)
2 年率標準偏差
著者

Erin Browne

マルチアセット戦略担当ポートフォリオ・マネージャー

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