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IMF・世界銀行の春季会合の10の結論

通商政策、地政学、エマージング市場に多くの投資家の注目が集まるなか、IMFと世界銀行合同の春季会合はとりわけ重要な意味を持ちました。

世界各国の中央銀行総裁、財務大臣、民間企業幹部、市民団体がワシントンに一堂に会する国際通貨基金(IMF)と世界銀行と合同の春季会合が、先ごろ開催されました。多くの投資家にとって、通商政策、地政学、エマージング市場が目下の最大の関心事であるなか、今年の会合は特に重要な意味を持ちました。

本稿では、10の主要な結論をお伝えいたします。

  1. 政治が経済に勝る米国の通商政策と制裁が、中国、メキシコ、ロシア、ベネズエラなど様々な国の資産価格の動向をますます左右することになるとみられます。景気サイクル終盤における財政拡大が米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の軌道に影響を与えるなか、エマージング市場の命運のかなりの部分が、米政権に左右されることになります。
  2. 米政権が米中貿易関係の抜本的見直しを重視していることから、政策面で中国政府との対立が最大の焦点となり、短期間で簡単に収束するとはみられません。これを受け、北米自由貿易協定(NAFTA)の優先順位は低いとの見方が広がっており、解決まで難航が予想され、遅れる可能性が高まっています。貿易摩擦の影響は、これまでのところ金融市場にとどまっていますが、一部の投資家は、摩擦が激化すれば世界の実体経済に影響が出かねないと懸念しています。
  3. ロシアとベネズエラに対する経済制裁の行方は、引き続き米政権の意向次第であり、特にロシアに関してはそう言えます。明るい材料は、外国人投資家にロシア国債の保有を禁じる「厳格」な制裁が科される可能性はかなり低いとみられる点です。しかしながらベネズエラについては、チャベス元大統領の影響を受けたニコラス・マドゥロ大統領の再選が予想されるなか、今夏にも米欧の制裁が強化される可能性があります。
  4. コロンビア、メキシコ、ブラジルは今後半年の間に大統領戦を控えており、選挙結果が注目されます。ブラジルは候補者が乱立しており、結果の予想が難しい状況です。メキシコでは、当選が見込まれるアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール候補の経済政策が、ここ数年の財政再建の努力を無にするのではないかと懸念されており、投資家はそのリスクを見極めようとしています。
  5. 会合参加者は、エマージング市場の成長とインフレについて依然として前向きに評価しています。エマージング市場全体が圧力にさらされる事態は予想していません。例外は特殊な状況にあるトルコで、成長軌道に脆弱性を抱えています。成長を阻害する最大の要因になりえるのは、引き続き米金利の上昇です。
  6. コモディティの見通しも同じく良好で、生産が多くのエマージング諸国経済を支えています。これは、サウジアラビア、カタール、クウェート、オマーンなど湾岸協力会議加盟国にはプラス材料ですが、インドなどの原油輸入国にとっては必ずしもそうとは言えません。
  7. 投資家は銘柄選択を進めていますが、これまで以上に国の選別に慎重になっています。エマージング市場への投資は、もはや純粋にベータ(個別銘柄)の話ではなくなっています。債務残高の対GDP比が150%で、さらに債務が増えつつあるレバノンのような軟調な先にリスクをとって投資をしたいと考える人は殆どいないでしょう。
  8. 2017年は未曾有のペースを記録したエマージング諸国への資金流入は、今年に入っても衰えていません。バリュエーションの上昇は見込めませんが、需給要因はこれまでのところ引き続き良好です。
  9. 確実な利回りを追い求める動きが続いています。いわゆる「高利回り国」の中で、最も有望なのはエジプトです。またアルゼンチンの最近の利上げは、通貨安定への同国政府の強い意志を示しています。
  10. ブラジルの金利が過去最低水準にある中、会合では同国の投資家が目立ちました。かつて高利回り国であった国の投資家が、新たな投資アイデアを求める投資家の一団に加わったのです。利回り追求はますます進化し、地理的に動いていると言えるでしょう。

より詳しい情報は、エマージング市場:ボラティリティ上昇への抵抗をご覧ください。

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ヤコブ・アーノポリンルピン・ラーマンシルヴァ・ヴィンカスはエマージング市場のポートフォリオ・マネージャー。共にPIMCOブログ の定期的寄稿者。

著者

Yacov Arnopolin

エマージング・マーケット担当のポートフォリオ・マネージャー

Lupin Rahman

ソブリン・クレジットのグローバル統括責任者

Vinicius Silva

エマージング市場担当のポートフォリオ・マネージャー

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