買戻し条件付き取引(レポ取引)は、流動性を供給する主要な手段として、多くの点で金融市場の基礎的な資金供給する機能を果たしています。ショート・ターム戦略の核となる、こうした要素について理解を深めることは、リターンの向上にも役立ちます。

レポ取引は短期的な資金調達の一形態であり、ディーラーが投資家に通常オーバーナイト(翌日)またはあらかじめ定められた期間で証券を販売し、翌日または一定期間後に追加の利息または割増金を現金の貸し手に支払ってそれらを買い戻すことに同意します。レポ取引は、金融危機の最中に不正会計で注目を集めましたが、グローバルな金融市場が日々機能するにあたって重要であるという点は、依然として確固たるものがあります。通常、質の高い担保(大抵の場合は米国債)を受け取る代わりに、キャッシュの投資機会を提供するという意味で、今改めてレポ取引に注目する必要があるとPIMCOでは考えています。見逃されがちなことですが、レポ市場はグローバル市場における流動性の健全度合いを投資家にリアルタイムで知らせるバロメーターであり、機関投資家と投資家の双方にとっての真の資本コストと資金調達コストを浮き彫りにする役割を果たしています。

レポ取引のような短期資産が魅力的

米国債の逆イールド、市場ボラティリティの再燃、多くの株式の平均配当利回り低迷で特徴づけられる景気拡大の最終局面において、投資家は、世界経済の見通しが不透明な中、許容できるリスク調整後リターンを提供する選択肢を物色しています。こうした経済環境では短期資産が魅力的だとPIMCOでは見ており、具体的には分散の効いたポートフォリオの基礎としてレポ取引を高く評価しています。その理由として、魅力的な利回り(詳細は後述)、他の証券に比べて最小限に抑えられた価格変動、金利エクスポージャーを最小化することでフラットな利回り曲線が提供する投資機会が挙げられます。さらに、レポ取引のように満期が翌日ないし満期までの期日が短い取引は、今回の景気循環の最終局面において金融市場の他のセクターで生じうる混乱に乗じた取引の手元資金として活用することができます。

短期物の金利は全般に魅力的だと見ていますが、レポ市場の金利は引き続きリスク調整後ベースで多くの資産クラスの金利を上回っています。現在のオーバーナイトのレポの利回りは2.50%前後で、満期を10年以下とする米国債の利回りを上回っています。(図表を参照)

レポ取引の利回りは米国債の短期物を上回る。

レポ取引の利回りはなぜ名目米国債を上回っているのでしょうか。多くの市場参加者が、向こう1、2年における米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを予想しており、その結果、足元の米国債の利回りが低めに再調整されていることがその理由です。景気後退が間近と考えるのであれば、期間の長い資産がアロケーションの選択肢となる可能性が高いでしょう。

しかしながら、PIMCOが予想するとおり、FRBが当面金利を据え置くことにより明確に示した慎重なアプローチを採る場合、レポ取引を基盤とするフロント・エンド型戦略へのエクスポージャーが、より大きな市場ボラティリティにさらされる他の選択肢と比べて魅力的な提案になります。最近、米国債を中心に資金調達に向けた資産に対する市場のニーズが徐々に高まっていることも、レポ市場の利回り上昇を支えており、現在の取引金利はFRBのベンチマークである超過準備預金金利(IOER)の2.40%を上回っています。

全てのレポ取引のアプローチが、同じ結果を生むわけではない

レポ取引のアプローチはどれも同じ結果を生むわけではなく、投資家がレポ市場で価値を追求するための重要な方法が2つあると考えられます。

  1. 競争力のある取引執行を求める。資産運用会社はしばしば資金の貸し手と借り手の両方の立場で動くことがあるため、両面で競争力のある市場をつくることをディーラーに促します。これは、従来のマネーマーケット・ファンドが貸し手としてのみ機能し、ビジネスを獲得するため高い利回りを提示するディーラーのインセンティブの恩恵を受けられないことに比べ、競争上の優位となります。資産運用会社による競争力のある取引執行は、こうしたより高い利回りの確保に役立ち、それを投資家に還元できます。
  2. 質の高い担保とオペレーションに注目する。買戻し契約で担保を受領する方法は、潜在的な利益にも(損失にも)なりえます。(投資会社法規則2a-7が適用される大半のマネー・マーケット・ファンドのように)第三者機関のカストディアンに担保の保管を委託するのではなく、資産運用会社がカストディ口座で顧客の担保を保管するフレームワークは、担保保護の観点から優れているだけでなく、より高い金利を獲得できる可能性があると考えられます。

あらゆる投資がそうであるように、レポ取引も貸出金に対する超過担保から利益を得ますが、リスクがあります。特筆すべきなのがカウンターパーティ・リスクです。配管が詰まったり漏れたりすれば家の中が大変なことになるように、レポ市場の混乱は、対処しなければ、たちまち問題に発展しその代償は高くつくことになります。これは、金融危機に発展した「レポ市場の取り付け」の最中に市場が学んだとおりです。いったんレポ市場が落ち着くと、メディアや市場参加者の関心は、すぐにもっと刺激的な話題に移りますが、レポ市場は継続的に注視する必要があるとみています。

投資へのヒント

最小限のボラティリティで、投資家のインカムを得る競争は始まっています。オーバーナイトのレポ取引は、利回りが10年満期までの米国債の利回りを引き続き上回っており、注目に値します。

レポ市場を動かす要因を徹底的に理解したうえでのアクティブ・アプローチは、投資家がリスクを抑えつつ、リスクの高いポートフォリオを短期運用に振り向けるという魅力的な変化を最適化するのに役立つと考えられます。

著者

Jerome M. Schneider

ショートタームおよびファンディング・デスクの統括責任者

Tina Adatia

プロダクト・ストラテジスト

Kenneth Chambers

債券ストラテジスト

関連コンテンツ

ご留意事項

全ての投資にはリスクが伴い、価値は下落する場合があります。本資料で言及した投資戦略が、あらゆる市場環境においても有効である、またはあらゆる投資家に適するという保証はありません。投資家は、自らの長期的な投資能力、特に市場が悪化した局面における投資能力を評価する必要があります。投資判断にあたっては、必要に応じて投資の専門家にご相談ください。