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PIMCOアジア・クレジット市場見通し:2019年の投資機会とリスクの上位3分野

アジアのクレジット市場全般で多数のリスクを管理し、リターンを追求するうえで、注意深い銘柄選択とアクティブなポートフォリオ管理はきわめて重要です。

2018年の米ドル建てのアジア・クレジット市場は、ベンチマークのJPモルガン・アジア・クレジット指数(JACI)に代表されるとおり、リターンが5年ぶりにマイナスとなりました。PIMCOではアジア・クレジットの今年のパフォーマンス向上を予想しており、昨年のアンダーパフォーマンスは、クレジット投資家にとってはむしろ好機をもたらすものであり、特に先進国やエマージング市場のグローバル・クレジット・オルタナティブに比べて有利であるとみています。

全体としては、投資適格債よりもアジアのハイイールド債を選好しています。ヒストリカル・ボラティリティ(歴史的変動率)は高まっていますが、特に米国や他のエマージング市場のハイイールド債に比べてバリュエーションが魅力的なのがその理由です。今年1、2月に市場はかなり反発しましたが、昨年のスプレッド拡大を踏まえると、相対的なバリュエーションは依然として魅力的です(図表を参照)。

アジア・ハイイールド債のバリュエーションは米国のハイイールド債に比べて魅力的

PIMCOアジア・クレジット市場見通し:2019年の投資機会とリスクの上位3分野 

セクターと発行体の選択が重要

現時点でハイイールド債を選好していますが、このセクターでのリスク管理と利回り追求には、注意深い銘柄選択とアクティブなポートフォリオ管理がきわめて重要だと考えています。アジア・クレジット市場はばらつきが大きく、17カ国の多様なセクターにベンチマーク債が500以上存在しています。

現時点で潜在的な投資機会を見出している主要3セクターは、以下の通りです。

  • 中国の大手不動産開発:中国の一部の不動産開発大手が発行するハイイールド債は、2019年に入っても魅力的だと見ています。対外的な貿易問題を勘案すると、中国政府は消費喚起と不動産市場の規制緩和によって景気刺激を模索するものとみられます。
  • アジアの石油・ガス:同セクターは国有企業が主流であり、前回の原油価格低迷以降、コスト管理や設備投資の面でかなり規律が取り入れられています。原油安ショックへの抵抗力をはるかに高めると共に、原油価格上昇を追い風にできる態勢を整えています。
  • アジアの輸送インフラ:空港、有料道路、コンテナ港などのアジアの輸送インフラ事業者は、旅客輸送の増加の恩恵を受けています。多くのアジア市場で規制環境が進化を続ける中、PIMCOでは関税設定メカニズムに透明性がある、安定的な規制環境下の発行体を選好しています。

逆に、特に警戒している3分野は以下の通りです。

  • アジアの銀行:全般に経済成長が鈍化する中、アジアの銀行にとって資産の質が懸念材料になりつつあります。特にインドでは、資本規制と企業の借入意欲の減退から、クレジットは引き続き伸び悩むと予想しています。インド以外の地域については、クレジット・コストは徐々に上昇するものの、銀行の資本は総じて潤沢であり、事業環境のさらなる悪化にも耐えられるとみています。
  • 中国の地方政府の資金調達機関(LGFV):2019年もLGFVが借り換えに苦労する年になるとみています。透明性が低く、単独での信用力が弱いことから、等級が下位の都市やLGFVの債務比率が高く、体力のない省や、下位の都市が発行するLGFV債については特に警戒しています。
  • アジア全域の金属・鉱業:中国当局の一連のサプライサイド政策を受けて、多くのコモディティで供給の規律が緩んでいますが、景気サイクルの最終段階にある現在、需要見通しは危うくなっています。今年は同セクターのクレジットの格上げ余地はほとんどなく、経済の動向を踏まえると、リスク・リターン特性は下方に偏っているとみています。

幅広いセクターの動向を追い、割安な水準での市場投入が見込まれる安定した発行をものにできるアクティブな債券運用会社にとっては、2019年は興味深い投資機会が訪れると考えています。

著者

Stephen Chang

ポートフォリオ・マネージャー

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ICE BofAメリルリンチ・アジア・米ドル・ハイイールド・コーポレート・インデックスは、米国国内市場およびユーロボンド市場でアジア企業の発行体が発行した投資適格未満の米ドル建て証券の動向の指標です。ICE BofAメリルリンチ米国ハイイールド・インデックスは、米国国内市場で発行された米ドル建ての投資適格未満の社債の動向の指標です。JPモルガン・アジア・クレジット・インデックス(JACI)は、アジアのドル建て固定利付債の総利回りの指標です。JACIは時価総額加重インデックスで、国債、準政府債、社債で構成され、国、業種、格付けごとに分けられています。インデックスに直接投資することはできません。

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