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イラン制裁再開で原油が数年来の高値に:投資家が注目すべき点

米国の強硬な政策姿勢で高値が維持されると予想して差し支えありませんが、制裁免除の拡大が価格動向を左右する可能性があります。

米国の対イラン経済制裁の再開で、原油が数年来の高値水準に押し上げられています。当面は強硬な政策姿勢により高値が維持されると予想して差し支えないとみている一方で、制裁免除の適用拡大が下方リスクになると考えています。

ブレント原油先物価格は10月第一週に終値で1バレル=86.30ドルの高値をつけました。これは、石油輸出国機構(OPEC)が市場の不均衡拡大是正のための減産を退けた2014年末以来の高値水準です(図表参照)。米ドル高が進み、ベースメタルをはじめとする他のコモディティ市場が軟化しつつある中で、年初来で1バレルあたり20ドル近い原油価格の上昇は際立っています。この原油の上昇は、主として地政学的要因、具体的にはベネズエラの産油量が減少を続けていること、イランの輸出が減少し始めたことに起因すると考えられます。こうした供給量の喪失分は、(一部は通商摩擦の激化を背景とする)世界的な景気減速に対する懸念や、米国国内の産油量や天然ガスの生産量の拡大の影響を上回っています。

期間が長い先物価格の上昇は、供給力に対する懸念を反映

ロシアや、サウジアラビアなどのOPEC主要国は産油量を増やしており、イランの輸出量減少の穴埋めに一役買っていますが、相場上昇を落ち着かせるには力不足で、むしろ、市場の供給余力の少なさを浮き彫りにしています。新たに供給が阻害された場合は、供給余力のあるサウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)が過去最高を上回る水準を産出して喪失分を穴埋めし、市場に(実証済みではなく)公表された供給余力を信頼するようゆだねる必要があるとみています。歴史が示しているように、コモディティ市場で緩みがほとんどない場合、価格リスクは上方に偏ることになります。

供給余力の減少に対する市場全体の懸念は、期間が長い先物価格の上昇に表れています。当初、支援材料になったのは、春先に米国がイラン核合意の包括的共同行動計画(JCPOA)からの離脱を表明したことでした。オバマ前政権では、制裁免除を認め、原油消費国が180日ごとに段階的に輸入量を減らすよう誘導していましたが、現政権がこのシナリオに従わないことがあきらかになると、価格は一段と上昇しました。産油を阻害する現政権の強硬な政策は、予想以上にシステムに歪みをもたらし、需給要因で裏付けられる以上に価格を押し上げています。

制裁免除のワイルドカードが価格動向を左右

今後は、原油消費国に制裁免除を認めるかどうかの米国の決断が、価格動向を大きく左右することになるでしょう。欧州、ロシア、中国はいずれもイランとの石油取引促進とJCPOAの維持に腐心しているようにみえますが、米国の継続的な脅しは石油を使用する企業を委縮させ、取引を米国の金融市場と接点のない企業や米ドル以外での決済に(物納決済にさえ)制限することになるとみています。

原油高が潜在的に経済にもたらす打撃への懸念から、米国の政策が短期的に柔軟になれば、おそらく来月の中間選挙を前に、原油価格は70ドル台に戻ると予想しています。重要な点として、戦略的石油備蓄(SPR)の放出は同様の影響力はもちえず、むしろ限定的な供給余力をさらに浮き彫りにするだけだと考えています。もちろん、ジョン・ボルトン国家安全保障担当・大統領補佐官、マイク・ポンペオ国務長官、ブライアン・フック政策企画局長兼イラン特別代表、トランプ大統領が揃って示しているように、米国の現在の政策が継続した場合、原油価格は容易に80ドル台半ばをつけ、さらに供給が阻害される事態になればそれ以上に値上がりする可能性があります。

結論は?いずれのケースでも、期近物が期先物より高いバックワーデーションが継続するほど原油市場がタイトであることは変わらず、コモディティ投資家には支援材料であるとみています。

Oil Hits Multiyear Highs on Renewed Iran Sanctions: What Investors Should Watch

実物資産と物価を左右する複雑な要因に関するPIMCOの詳細な見方については、インフレのページをご覧ください。

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著者

Greg E. Sharenow

リアル・アセット(実物資産)担当のポートフォリオ・マネージャー

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