PIMCOの視点 社債の新規発行における、アクティブ運用の優位性 社債の新規発行時には、アクティブ運用者が大きなアルファを獲得できる可能性があります。また、規模が大きい運用会社ほど、起債時の買い手としてアロケーションにおいて有利に働くことも珍しくありません。
新株公開時には、メディアが大きく取り上げることがあります。最近のスナップチャット、アリババ、ビザの新株公開案件(IPO)では、経済メディアは熱狂し、投資家はどよめき、少なくとも当初は株価も上昇傾向にありました。 一方、債券市場でIPOに相当する起債案件がメディアを賑わすことは稀ですが、少なくともアルファを追求するアクティブ運用者にとっては、より重要性が高い場合があります。 より魅力的な投資機会 社債の新規発行時には、以下の理由により、アクティブ運用者が大きなアルファを獲得できる可能性があります。 株式と比べ社債の方が頻繁に発行され、新発債の市場シェアは新株を大幅に上回ります。 バークレイズ・ポイントのデータによると、過去3年間、米国の社債市場では新発債のシェアが20%を上回ってきました。これに対して、米証券業金融市場協会(SIFMA)およびブルームバーグによると、同期間に、米国の株式市場ではIPO銘柄のシェアが1%にも満たない状況でした。債券には決まった満期があるのに対して、普通株式には一般に満期がないことを踏まえると、これは合理的と言えるでしょう。 起債市場には、アルファ獲得の好機が継続的に存在します。 一般に債券のアクティブ運用者は、起債時に新発債を購入します。購入のタイミングは、当該銘柄が月初にインデックスに組み込まれるタイミングよりも1週間以上早いことも珍しくありません。新発債には既発債よりもやや割安で有利な条件で発行される傾向があるため(新規発行コンセッションと呼ばれます)、この点は重要であり、アクティブ運用者にとってアルファ獲得の好機になり得ます。 これに対して、パッシブ運用者は購入を先送りする場合もあります。インデックスに組み込まれる前に債券価格が変動すれば、トラッキング・エラーが生じる恐れがあるほか、インデックス非構成銘柄に対する保有制限に抵触することもあります。結局のところ、パッシブ運用の目的は、インデックスをアウトパフォームすることではなく、インデックス並みのパフォーマンスを上げることなのです。 アクティブ運用者は銘柄選択の裁量があり、魅力的な債券を探します。 ほとんどの銘柄がコンセッション付きで発行されるものの、必ずしもすべてを購入するわけではありません。PIMCOをはじめ充実したクレジット・リサーチ・チームを擁する運用会社は、割高感があると判断した銘柄の購入を頻繁に見送っています。これに対してパッシブ運用者には、価格とは無関係に、すべてのインデックス構成銘柄を購入するインセンティブが働きます。 規模の重要性 このほか、規模が大きい運用会社ほど、特に大規模な新規発行案件の際、アロケーションにおいて優遇されることも珍しくありません。数十億ドル規模の債券を販売する投資銀行は、そのためのシンジケート団を結成します。主幹事のポジション獲得を目指すシンジケート・デスクの責任者は、十分な需要を確保して、借り入れコストが上昇する前に起債プロセスを速やかに進めるため、少数の大規模な投資家に依存する場合があります。 2013年にボーダフォンが保有するベライゾン・ワイヤレスの残存持ち分を取得するため、ベライゾンが490億ドルと記録的規模の起債を実行した事例を思い出してみましょう。ベライゾンは、平均的な投資適格銘柄のコンセッションが10~20ベーシスポイントであるところ、発行額の大きさを考慮して、50~80ベーシスポイントのコンセッションをオファーしました。ブルームバーグによると、この案件では、上位10社の買い手(PIMCOを含む)が発行額全体の45%を、上位5社の買い手が全体の3分の1程度を購入しました。 債券市場に対して新発債が与える影響は、株式市場に対してIPO銘柄が与える影響を大きく上回ります。アロケーションを巡る競争は、厳しくなることがあります。また、すべての運用会社が、大規模な新発銘柄を容易に吸収できるほど大きなポートフォリオを運用しているわけではありません。ただし、大規模な案件が必ずしも割安というわけではありません。購入を見送る案件を見極める能力が重要になります。
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