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米中間選挙の注目点:市場におけるねじれ議会の意味

ねじれ議会は一般的に市場に有利とされますが、現在はポートフォリオでは守りの体制をとるのが賢明だと考えています。

米国の中間選挙は概ね予想どおりの結果となり、下院では民主党が過半数を奪回するのに必要な23議席(以上)を抑え、上院では共和党が過半数を超える議席数を維持しました。一般的に、ねじれ議会は市場に有利とされますが、PIMCOでは今回の選挙結果は過去に比べて政策リスクが大きいとみています。市場の上昇要因としてはインフラ投資が挙げられる一方、下落要因としては、政府閉鎖や大統領の弾劾捜査の可能性が挙げられます。また、貿易政策リスクは緩和されることなく続くとみられます。これらのリスクはボラティリティの上昇を示唆しており、よりディフェンシブな投資姿勢をとるべきであることを裏付けています。

米中間選挙の注目点

議会共和党は「トランプ色」を強める。
上院では(ボブ・コーカー氏やジェフ・フレーク氏といった)穏健派が去り、上院の共和党の過半数が少なくとも2議席上積みされたことで、国境の壁建設などの政策への支持が高まるでしょう。一方下院では、トランプ支持派の共和党議員が残ったため、今後政府の閉鎖の可能性も高まり、議会の分裂が深まるとみられます。

民主党の女性議員への注力は概ね奏功。進歩派はふるわず。
下院では少なくとも100人という過去最多の女性議員が誕生し(23%に過ぎませんが、歴史的であるのは事実です)、その多くが民主党新人議員です。一方で、民主党進歩派の著名な候補の一部はふるいませんでした。いずれも、2020年への教訓になります。

保護主義的な貿易政策は、両サイドで打撃ではなく追い風に。
一部では、トランプ大統領の貿易政策での強硬な姿勢がマイナスになるとの見方もありましたが、(ノースダコタ州などの)農業州では与党・共和党が好調でした。同様に、オハイオ州では、保護主義色の強い民主党のショロッド・ブラウン上院議員が大勝しました。NAFTA2.0(米国・メキシコ・カナダ協定、USMCA)をめぐる今後の攻防では、民主党は自らの手柄を残したい考えで、大統領の脅しが撤回される可能性があります。前述のとおり、PIMCOでは貿易政策のリスクは収束しないと予想しています。貿易政策は、大統領が議会の承認を必要とせず発動できる有力な手段であることから、危険な賭けに出る可能性があるとみています。

インフラ投資と弾劾調査が注目の的に。
民主党はみずからが主導権を握れることを示したい意向で、インフラ投資や司法制度改革、薬価の改定など、合意できる分野に力を入れることになるとみられます。インフラ関連協議で合意できるかどうかは、民主党が財源をどう提案するかにかかっています。提案に減税幅の縮小が含まれる場合は、上院で否決されることになるでしょう。ジェフ・セッションズ司法長官が更迭され、下院民主党が早期に調査権限を発動して大統領弾劾に向けた調査を開始するとみられる中、インフラ法案で合意が成立する可能性はさらに狭まったとみています。2019年春から夏までに協議が行われなければ、協議そのものが行われない可能性もあります。

ナンシー・ペロシ議員の下院議長就任により大統領弾劾リスクは低下。
民主党の下院幹部選挙は12月初旬に予定され、下院議長の投票は1月に実施される予定です。ペロシ議員は引退する2020年までの「暫定」議長を務める考えを明かしています。ペロシ議員が議長に就任した場合、2020年に民主党が政権を奪還することを念頭に、トランプ大統領に対する弾劾の動きを牽制するものとみられます。

「共和党色」を強める上院で、トランプ大統領の任命承認は容易に。
セッション司法長官がいち早く更迭され、閣僚の入れ替えが見込まれる中、司法で共和党色が強まると予想されます。

投資への示唆

膠着状態は金融資産に有利との見方が一般的ですが、PIMCOでは経済の成長は続くも減速」するとみており、バリュエーションに割高感があり、リスクプレミアムが上昇する可能性がある現状では、ポートフォリオをディフェンシブにすることが賢明だと考えます。過去数年は中央銀行主導のもと市場のボラティリティは比較的落ち着いていましたが、今後は常態的にボラティリティが高くなると予想されます。

PIMCOでは、米連邦準備制度理事会(FRB)に対するトランプ大統領の批判がFRBの反応関数を変えることはなく、FRBは12月に1回、2019年に2回の追加利上げを実施するとの見方を維持します。これらの追加利上げの実施により政策金利は中立でも引き締めに近い水準になるでしょう。来年の金融政策の引き締めは、景気の減速を予想する理由の1つです。

米国の債券のポジショニングに関しては、信用力が高く、満期の短い資産で適正水準に近づいているようにみえます。社債については慎重な見方をしており、むしろ信用力の高いエージェンシー系モーゲージ債(適正水準の割安寄りだとみています)や、非エージェンシー系モーゲージ債を高く評価しています。ボラティリティは、通貨において戦術的な投資機会を生む可能性がありますが、米ドルがこの動きを主導するとは考えていません。

つまり、現在は幅広いリスク資産がアウトパフォーマンスすることに賭ける時期ではなく、ボトムアップによる魅力的なアルファの捻出に注力すべきだと考えています。

著者

Libby Cantrill

エグゼクティブ・オフィス

Scott A. Mather

米国コア戦略担当最高投資責任者(CIO)

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