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PIMCO長期経済見通し「創造的破壊」の主なポイント

PIMCO長期経済見通しにおける基本シナリオおよび、創造的破壊の要因にいかに対処すべきかのポイントをご紹介します。

こう3~5年の世界経済、金融市場、投資家のポートフォリオを大きく攪乱する可能性のある主な要因が存在します。最新の長期経済見通しは、最近開催された経済フォーラムにおけるPIMCOの投資プロフェッショナルや外部専門家との議論をもとに策定されたもので、世界経済の長期見通しの基本シナリオについて論じ、投資家が創造的破壊の要因にいかに対処すべきかの考え方を紹介しています。本ブログでは主なポイントをお伝えします。

PIMCOの基本シナリオでは、精彩を欠く成長、低インフレ、浅めの景気後退を想定

向こう3~5年の世界経済に関するPIMCOの基本シナリオは、少なくとも一見したところでは比較的穏当です。概して精彩を欠く経済成長の継続を予想しています。低インフレは続き、中央銀行は政策金利をニュー・ニュートラルの水準以下にとどめると予想しています。

重要なのは、PIMCOの基本シナリオでは、向こう3~5年間のどこかで世界的な景気後退入りを引き続き想定しているということです。景気後退の谷は浅いと見ていますが、回復力も弱い見通しです。

連続する創造的破壊要因に注意

しかしながら、この比較的穏当な基本シナリオは、いくつか存在する現実的なシナリオの1つに過ぎません。フォーラムの議論の中で私共は、向こう3~5年に世界経済、金融市場、投資家のポートフォリオを攪乱する可能性のある5つの要因と、さらに長期的な視点でお客様や資産運用業界、PIMCO自体にとって重要だと考えられる「超長期」の要因を特定しました。

中国:PIMCOの基本シナリオでは、向こう3~5年の中国経済について管理された段階的な減速を予想していますが、米国との貿易戦争が一段と激化した場合は特に、その道のりは予想以上に困難なものになる可能性があります。また、中国が進める製造業のバリューチェーンにおける高付加価値化は、諸外国の既存企業を脅かす可能性があります。最後に、中国の高まる経済力と政治力は、米国が支配する既存の地政学的秩序を破壊する可能性があり、現在の貿易摩擦の行方にかかわらず、今後米中間の継続的な経済的、政治的緊張につながるとみられます。

ポピュリズム: 政治スペクトルの両側からのポピュリストの要求は、経済・金融市場にとってプラスにも、マイナスにもなりえます。政府が過度な規制の緩和や税負担の軽減、極端な格差の解消に取り組むとすれば、経済成長と資産価格は支えられるでしょう。他方、ポピュリズムが移民排斥や財・サービスのクロスボーダー取引、資本フローの制限を目指す場合には、経済成長や資産価格の打撃になりえます。多くの場合、ポピュリズムと保護主義は共同歩調を取りますが、これは、複雑な国際サプライチェーンや無数の金融が連携し成り立っている世界の経済システムにとって、差し迫った脅威であるのは明らかです。

人口動態: 主要国における人口の伸び鈍化と寿命の延伸は、精彩を欠く経済成長、低インフレ率、世界的貯蓄余剰の重要な要因であり、中立金利が抑えられています。このため主要中央銀行は、引き続き政策金利を低水準ないしマイナスに維持せざるをえないとみられます。こうしたトレンドは長期化するほど、より破壊的な性格を帯びます。長期にわたる低金利とフラットな利回り曲線は、金融セクターの舵取りを難しくする一方、企業の債務比率を押し上げ、利回りを求める多くの投資家を、よりリスクの高い資産へと向かわせることになります。

テクノロジー:最新テクノロジーの性能が向上し、安価になり、幅広い企業が利用しやすくなったことで、生産性向上へのテクノロジーの寄与が目立つようになっています。他方、テクノロジーには負の側面もあります。企業セクターでは既存のビジネスモデルを破壊し、勝者を生み出す一方で、多くの敗者を生み出すのです。また、PIMCOの基本シナリオではないものの、明確な可能性として、生産性の伸びが急上昇した場合、一時的ないし長期的な技術的失業につながり、それが政治的不満に跳ね返り、さらにポピュリスト政党や候補への支持を高める恐れがあります。

金融市場の脆弱性:向こう3~5年を見通すと米連邦準備制度理事会(FRB)の最近の方針転換で、クレジットを中心にバリュエーションが割高になり、世界的金融危機が始まる前の2000年代半ばに似た状況になる可能性があります。現時点でそこまでには至っていませんが、マクロ要因の観点から、ただし、あくまで規律ある投資プロセスの一環として、行き過ぎや修正の可能性を注視することが理に適っています。

気候関連の攪乱要因:フォーラムでのもうひとつの注目点は、気候変動などの環境リスクが、人々の生活や経済活動、金融市場に及ぼす長期から超長期に及ぼす破壊的影響でした。気候関連のショックは頻度が増しているだけでなく、常態化、深刻化しています。さらに投資家は、規制、炭素税、公共投資といった形での環境リスクに対する、政府の追加的な反応も織り込まなくてはなりません。これらは企業セクターにおいて多くの勝者と敗者を生むことになり、それゆえ、信用リスクとクレジット・リスクの積極的な管理が必要になると考えられます。

投資へのヒント

上記で論じた創造的破壊に関するリスクは、バリュエーションの延伸と相まって、困難な投資環境を生み出しています。このためPIMCOでは、利回り追求よりも、慎重さ、柔軟性、流動性を優先しています。とはいえ、創造的破壊を予感させる市場環境は、アクティブ運用者にとっては魅力的な投資機会も提供します。

株式市場では、絶対リターンが低下し、ボラティリティが高まる可能性があります。リスク資産の減価に対するヘッジ手段として米国のデュレーションを選好しています。また、米国の政府機関担保証券については、相対的に安定的で保守的なインカム確保の手段であるとの見方を継続します。クレジット・ベータについては全般に慎重な姿勢を維持しつつ、企業クレジットにおいて確信がもてるアイデアを追求していきます。

グローバル経済とマクロ見通し、および投資家にとっての意味合いについてさらに詳しいPIMCOの見解は、2019年長期経済予測「創造的破壊」をご覧ください。

ヨアヒム・フェルズは、PIMCOのグローバル経済アドバイザー。アンドリュー・ボールズは、グローバル債券担当最高投資責任者(CIO)。ダニエル・アイバシンは、グループCIO。

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著者

Joachim Fels

グローバル 経済アドバイザー

Andrew Balls

グローバル債券担当最高投資責任者(CIO)

Daniel J. Ivascyn

PIMCOグループ最高投資責任者(グループ CIO)

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