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メイ首相のEU離脱協定案に対する市場の反応

英国債の利回りが上昇し、英ポンド高が進むと共に、ボラティリティが高まる可能性があると予想しています。

過去数週間、難航していた英国のEU離脱(ブレグジット)をめぐる議論は、にわかに動きがみられ、離脱に関する協定案が閣議承認されました。英国のEU離脱協議は市場に短期および長期の影響を及ぼします。PIMCOでは、協議の進展に伴い英国債の利回りが上昇し、英ポンド高が進むと共に、ボラティリティが高まる可能性があると予想しています。ただし、ブレグジット関連のリスクプレミアムの一部は残るとみています。

閣議承認された離脱案には、2020年12月末までに貿易協定が最終決着しなかった場合を想定した、アイルランドとの国境問題に対する暫定解決策が盛り込まれました。英国とEUが関税同盟に関する協議で合意すれば、英国領の北アイルランドとEU加盟のアイルランドとの間に国境を設け、厳格に管理する事態は避けられます。しかしながら、関税協定の枠組みの中で規制基準に関して英国は主権を発揮できるのか、どのような形で英国が完全離脱するのかという新たな問題が残されます。

この問題については既に閣僚の発言が相次いでおり、メイ政権は難しい舵取りを迫られています。保守党とパートナーである北アイルランドの民主統一党(DUP)の党員の多くは、ブレグジットについて思い思いの絵を描いており、異なる利害を如何に調整していくかという困難な道のりが待ち受けています。

英国の閣議承認という最初のハードルを突破した今、焦点は保守党やDUPの議員からの反発や、EU全般での協定案の受け止め方に移っています。今後もヤマ場がいくつも訪れるのは必至で、不透明な要素は数多く残ります。しかしながら、理由に違いはあれども、両者とも最終的に合意に至ることを望んでいると考えています。

協定案の合意は引き続き予想される結果に

保守党内には依然、深い溝がありますが、協定案は将来に大いに交渉余地を残した内容になっており、どの派にも支持する十分な理由があります。同様に、EU側から見ると、英国は少なくとも2020年12月末まではEUと緊密な関係を維持し、この間、EU予算の義務を履行する可能性が高いことになります。そのため、政治的に瀬戸際の駆け引きは残っているものの、協定案は最終的に合意されるとPIMCOではみています。

しかしながら、だからといって今後数週間、ボラティリティと無縁という訳ではありません。特に市場参加者は、EU側の反応に注目する一方、12月に英国の議会承認が得られるかどうかの可能性も見極めていくことになります。11月末の開催が見込まれるEUと英国の首脳会議で、何らかの不具合が発生するリスクもあります。

投資への示唆

離脱協定案がまとまり、様々な政治的ハードルを越えていくにつれ、短期的な不透明感が解消される中で、英国債の利回りは上昇し、英国債は他のグローバル債券をアンダーパフォームすると予想しています。英国経済がフル稼働の状態にあり、賃金上昇の兆しが見られる中、協定案を受けて、イングランド銀行は、市場が現時点で織り込んでいる(向こう2年で2回)以上に、利上げを実施する可能性があります。これは英ポンドの強材料になります。英国銀行債の利回りについて、諸外国の同等の銀行債に対する上乗せ分の一部が剥落するとも予想しています。いずれのケースでも、ブレグジット関連のリスクプレミアムのすべてが解消されるわけではありませんが、安定的な将来の貿易協定に向けた前進が確実に支援材料になっていくとみられます。

著者

Mike Amey

ポンド建てポートフォリオおよびESG戦略統括

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