PIMCOブログ

ハイイールド債:見直されるBB格債

BB格債のスプレッドが相対的に魅力的な水準にある現在、ハイイールド債のセクターでBB格債を見直す好機だと考えています。

金融危機後の景気回復局面の最終段階にある現在、社債への投資は慎重かつ選別的であるべきだと考えます。これはハイイールド債セクターにおいて、信用スペクトラムでより上位のBB格債を見直す根拠になりえます。これまでハイイールド債の投資家の多くは、BB格債をアンダーウエイトとしています。固有リスクが重視されるB格債に、より大きなバリューとリターンを求めているものとみられます。年初から5月末時点までの動向を見ると、BB格債はトータル・リターンでもスプレッドでも他のハイイールド債を下回っており、選別的なボトムアップのアプローチが引き続き重要になっています。しかしながら、BB格債については、テクニカル要因とファンダメンタルズが一段と改善するなか、足元のスプレッドは魅力的な水準にあり、ハイイールド債セクターで見落とされてきたBB格債を見直す好機だとPIMCOではみています。

BB格債の魅力的なバリュエーション

2018年に入り、ミューチュアル・ファンドから大量に資金が流出し、米国債の利回りが上昇するなか、ハイイールド債は粘り強さを示してきました。しかしながら、5月末時点の米国のBB格債のスプレッド(および利回り)は、過去1年で最も拡大しています。(下の図を参照)また、ICE Bank of America Merril Lynchインデックスによれば、BB格債は同じ期間に、B格債、CCC格債をアンダーパフォームしています。BB格債のデュレーションが長期化していること、金利が上昇するなか、より高い利回りを求める投資家が信用力のスペクトラムの下位に向かったことが一因だとみられます。

PIMCOでは、直近で利回りが上昇した米国債は今後レンジ内にとどまると見ていますが、投資家にもこの見方が広がれば、軟調なBB格債の地合いは好転すると考えられます。

ファンダメンタルズの改善

好調な景気と予想を上回る企業収益を背景に、米国のクレジットのファンダメンタルズは全般に改善しています。バークレイズ・リサーチによれば、BB格債の発行体の純債務比率(ネット・レバレッジ)は現時点で長期平均を下回っています。また最近の米国の税制改正で債務の税控除に上限が設けられたことを受けて、発行体は債務圧縮を進めるとみられることから、今後も財務体質の改善が見込まれます。純債務比率は、純有利子負債をEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)で割って求めます。

さらに、JPモルガンによれば、2016年以降、BB格債の実績デフォルト率は0%で推移しています(デフォルト前12カ月に格付けされた債券)。ファンダメンタルズの改善を踏まえれば、デフォルト率は当面0%ないし0%に近い水準にとどまるとみられます。これは損失調整後ベースでもBB格債の利回りが魅力的であることを意味します。

良好なテクニカル要因

マクロ経済が堅調で、コモディティ価格が2015年末から2016年初の安値から回復するなど、ファンダメンタルズが改善する中、米国のクレジット市場では、(投資適格級に格上げされる)「ライジング・スター」が増える一方で、(ハイイールドに格下げされる)「フォールン・エンジェルズ」が減っています。

バンク・オブ・アメリカ・メリル・リンチによれば、年初から4カ月間で、ハイイールド債のインデックスから外れた「ライジング・スター」は、インデックスに組み入れられた「フォールン・エンジェルズ」を200億ドル以上上回っており、年末には700億ドルに達すると予想されています。これまで、格上げは、はるかに大型で幅広くフォローされている投資適格のインデックスに組み入れられるため、スプレッド縮小などテクニカル要因の改善につながってきました。通信や住宅建設などのセクターでは、企業の合併・買収(M&A)により、テクニカル要因がさらに改善する可能性もあります。現時点でBB格債の多くが額面を下回る価格で取引されていますが、M&Aでチェンジ・オブ・コントロール条項(資本拘束条項)が発動されると、額面か額面を上回る価格で発行会社に買い戻される可能性があり、キャピタル・ゲインを確保できる好機になります。

BB格債を評価する理由

端的に言えば、足元でのBB格債のアンダーパフォーマンスは、投資家が積極的に利回りを求めて信用スペクトラムの下方に向かったことに加え、デュレーションが長期化し、年初来の債券利回り全般が上昇したことがその背景だと考えられます。とはいえ、社債市場には、大小問わずショックに対して過剰反応しやすい傾向があります。ファンダメンタルズでも、テクニカル面でも改善がみられること、また利回りに重しがかかる「ニュー・ニュートラル」の枠組みに照らせば、ハイイールド債の中でより信用力の高いBB格債には戦術的な投資機会があると考えられます。ボトムアップの考え方と、デフォルト確率の低い「曲がっても折れない」ポジションを重視する慎重かつ選別的な姿勢によって、投資家はデフォルト・リスクを減らしつつ、魅力的で弾力的な利回りを獲得できる可能性があります。

ハイイールド債券の簡単なおさらいとして、「ハイイールド債とは」を読む。

さらに詳しく

著者

Hozef Arif

クレジット担当ポートフォリオ・マネージャー

Matthew Livas

Credit Product Strategist

関連コンテンツ

PIMCOの視点

国連の持続可能な開発目標:影響度によるパフォーマンスの測定

PIMCOのESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みの重要な目的の一つは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を対話に取り入れることです。PIMCOがESGへの取り組みを進めていく際、どこに重点を置き、どう説明責任を果たすのか、そして最終的には影響度合いを測る際の枠組みの一つになりうるからです。

ご留意事項

過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。債券市場への投資は市場、金利、発行体、信用、インフレ、流動性などに関するリスクを伴うことがあります。ほぼ全ての債券及び債券戦略の価値は金利変動の影響を受けます。デュレーションの長い債券及び債券戦略は、より短い債券及び債券戦略と比べて金利感応度と価格変動性が高い傾向にあります。一般に債券価格は金利が上昇すると下落し、現在のような低金利環境ではリスクが高まります。債券取引におけるカウンターパーティーの取引能力の低下が市場流動性の低下や価格変動制の上昇をもたらす可能性があります。債券への投資では換金時に当初元本を上回ることも下回ることもあります。高利回りで低格付けの証券はより高格付けの証券よりも高いリスクを伴います。また、それらへ投資しているポートフォリオは投資していないポートフォリオに比べてより高いクレジット・リスクと流動性リスクを伴う場合があります。

特定の証券や種類の証券の信用格付により、ポートフォリオ全体の安定性や安全性が確保されるわけではありません。金融市場の動向に関する記述は現在の市場環境に基づくものであり、市場環境は変化します。本資料で言及した投資戦略が、あらゆる市場環境においても有効である、またはあらゆる投資家に適するという保証はありません。投資家は、自らの長期的な投資能力、特に市場が悪化した局面における投資能力を評価する必要があります。投資判断にあたっては、必要に応じて投資の専門家にご相談ください。