PIMCOブログ

景気後退入りの懸念 - 短期年限の債券投資

米国における景気拡大局面の長期化により株価が上昇した結果、投資家はリスクを削減するタイミングをうかがっています。

10年目を迎えた米国の景気拡大局面は、過去最長記録を更新する可能性があります。PIMCOでは、政策の判断ミスがない限り、拡大局面の「最終段階」は少なくともあと1年は続くと予想しています。もっとも、この先1年間は、税制改革の効果が弱まるとともに、金融環境の引き締めが実体経済に影響を及ぼすようになり、さらに、貿易摩擦などのリスク要因が投資見通しを曇らせることから、経済の成長ペースはいくぶん鈍化する可能性が高いとみています。

このように経済成長と金融緩和の局面が長期化した結果、株式をはじめとするリスク資産の価格が上昇したことを受けて、投資家はリスクを削減するタイミングをうかがっています。景気サイクルの転換点を予測することは容易ではありませんが、金利の持続的な上昇と金融環境の引き締めを背景に、ボラティリティが高まる見通しを踏まえると、リスクを削減しつつ、金利変動リスクの低い安定的なインカムの源泉に注目することを、慎重に検討すべきでしょう。

投資家がこのようなバランスをとる上では、短期債戦略が適しているとPIMCOでは考えています。この保守的な運用戦略によって、景気サイクル後期においてリスクを削減しつつ、債券市場の短期ゾーンに投資機会を広げることでより高い利回りを確保できるかもしれません。

以下では、この先数ヵ月間にわたって投資家が保守的なスタンスを維持する上で、短期債投資が有益であるとPIMCOが考える理由を5つ取り上げました。

    1. デュレーションが短いこと ― 短期債のデュレーションは短く、1年未満の銘柄も多いため、米連邦準備制度理事会(FRB)が緩やかな利上げサイクルを継続する環境において、ポートフォリオの金利リスク削減に寄与します。また、現在、イールドカーブの形状は比較的フラットであることから、中長期債から短期債にシフトすることによって、デュレーションを短期化しつつ利回りの水準を維持することが可能です。

    2. 他の戦略と比べてボラティリティが低いこと ― 短期債のボラティリティは、特に株式を始めとする伝統的な高リスク資産と比べて低い傾向があります。過去のデータを見ると、株式のボラティリティが15%程度だったのに対して、短期債のボラティリティは1%を下回ってきました(10年を1期間とする)*。景気サイクル後期において、将来の経済成長や金利上昇の道筋に関する不透明感が高まるなかで、ボラティリティを抑制することはプラスに作用する可能性があります。

    3. 柔軟性が高いこと ― 一般に短期債は長期債よりも流動性が高いため、株式などの資産のバリュエーションの魅力が高まった場合、比較的速やかに再投資する柔軟性が期待されます。

    4. 現在の利回りおよび金利上昇時の利回りが魅力的であること ― この1年間に、短期債の利回りは大幅に上昇しました。その結果、株式の配当利回りに肩を並べるとともに、イールドカーブのフラット化が進むなかで10年国債との金利差が縮小しています。このため、短期債投資によってリスクを抑制しつつ、より高い利回りとインカムを期待することが可能です。

    5. アクティブな予防的流動性管理(PALM)― この先数年間にわたって金融緩和の縮小が続く見通しを踏まえ、投資家は流動性管理に一段と留意するべきでしょう。流動性危機の到来は想定されませんが、微妙な変化は生じうるでしょう。投資家は、柔軟性に限りのある伝統的な流動性ツールのみに依存せずに、アクティブに運用される短期債戦略を活用することによって、予防的措置を講じることを検討すべきでしょう。同戦略は、変わりゆく市場環境を乗り切るために、高い柔軟性を備えています。

PIMCOでは、米国経済が向こう3~5年間に景気後退入りする可能性は高いとみていますが、短期的に景気拡大局面がさらに続く余地は存在します。短期債投資によってベンチマーク金利が上昇するなかでも、リスクを抑制しつつ、質の高いリスク調整後リターンと高いインカムを追求し続けることが可能になります。

ジェローム・シュナイダーは短期債ポートフォリオ・マネジメントの統括責任者でPIMCOブログの定期的寄稿者。ティナ・アダティアはマルチセクター及び短期債戦略担当のプロダクト・ストラテジスト。

著者

Jerome M. Schneider

ショートタームおよびファンディング・デスクの統括責任者

Tina Adatia

プロダクト・ストラテジスト

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ご留意事項

*短期債戦略はブルームバーグ・バークレイズ・短期国債/社債指数に、株式はS&P500株価指数に基づいて計算しています。インデックスに直接投資することはできません。

全ての投資にはリスクが伴い、価値は下落する場合があります。債券市場への投資は市場、金利、発行体、信用、インフレ、流動性などに関するリスクを伴うことがあります。ほぼ全ての債券及び債券戦略の価値は金利変動の影響を受けます。デュレーションの長い債券及び債券戦略は、より短い債券及び債券戦略と比べて金利感応度と価格変動性が高い傾向にあります。一般に債券価格は金利が上昇すると下落し、現在のような低金利環境ではリスクが高まります。債券取引におけるカウンターパーティーの取引能力の低下が市場流動性の低下や価格変動制の上昇をもたらす可能性があります。債券への投資では換金時に当初元本を上回ることも下回ることもあります。本資料で言及した投資戦略が、あらゆる市場環境においても有効である、またはあらゆる投資家に適するという保証はありません。投資家は、自らの長期的な投資能力、特に市場が悪化した局面における投資能力を評価する必要があります。投資判断にあたっては、必要に応じて投資の専門家にご相談ください。