PIMCOブログ ダボス会議の報告:グローバル化の修正 市場や事業活動、資産運用に、持続性の考え方をうまく取り込んでいくことにより、グローバル化はより安定的かつ持続可能で包括的なプロセスになると考えられます。
今年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では、経済の不均衡に基づく国家主義、保護主義、社会的緊張が際立つ中、グローバル化の行方を憂慮する主催者や代表団が内省的な議論を展開しました。 今年は米国のトランプ大統領、中国の習近平国家主席の両名が不在のなか、また米中貿易戦争の瀬戸際にあることから、ダボス会議の参加者は様々な点で、会議の包括的なテーマである「グローバリゼーション4.0」を真剣に考える余地が与えられたと言えるでしょう。 本稿では、今年のダボス会議で目立った動きと成果をご報告いたします。 かねてダボス会議で提唱されてきた純粋なグローバル化のプロセス(いわゆるバージョン1.0、2.0、3.0)が、特に全体的な経済成長と貧困削減との関連で好ましい成果をあげたものの、負の側面ももたらしたのは確かであり、経済格差や地球環境の破壊が目立つとの認識は、今や広く共有されています。これに関連して、調査会社エデルマンの信頼度調査トラストバロメーターでは、「持てる者」と「持たざる者」の信頼度に大きなギャップがあることが示されました。これがポピュリスト(大衆迎合主義者)の反発を招いた主因の一つであるのは間違いありません。 国家主義を振りかざし、多国間主義や(ルールに基づく開かれた貿易をはじめ)長年にわたって積み上げてきた自由経済の秩序を拒絶することは、世界の安定と全体の繁栄を脅かすものである、との意見が多くの参加者から聞かれました。こうした規範と、それを生み出している機関を積極的に擁護し、死守する姿勢を改めて示すことが必要であるとの見方は多くの人に共通しています。 部分的であっても問題を解決する施策として挙げられたのが、ESG(環境、社会、ガバナンス)と国連の持続可能な開発目標(SDGs)などの持続可能性の関連した事項です。市場、事業活動、資産運用に、持続可能性の考え方をうまく取り入れていくことで、グローバル化はより安定的かつ持続可能で包括的なプロセスになり、激しさを増している気候変動の脅威に対処していくこともできると考えられます。 PIMCOと国連グローバル・コンパクトが共催したセッションでは、民間部門のリーダーと政策立案者が、SDGsを達成しながらビジネスチャンスを切り拓くための新たな経路や戦略をどう立案するかについて議論を重ねました。 PIMCOの米国コア戦略担当最高投資責任者(CIO)であるスコット・マザーは、SDG債などの新たな市場イノベーションによって、新時代のインパクト投資を推進しながら大きな投資機会を創出できる-つまり、金融収益の確保と、社会や環境に好影響を与えるという両方の目標達成が可能だろうと述べました。マザーは、持続可能性の目標を達成するための資金調達手段として、より多くの企業や政府がSDG債の発行を検討するよう呼びかけました。 またPIMCOの特別セッションでは、国連グローバル・コンパクトのCEOリーゼ・キンゴが、世界の企業や投資家にSDGs目標の採用と、目標達成に向けた直接投資と資金調達を促す、グローバルな「行動喚起」を発表しました。 以上、PIMCOがダボス会議から持ち帰った成果の一部をご紹介しました。新たなアプローチが富、繁栄、幸福をより多くの人にもたらすことを期待しつつ、グローバリゼーション4.0を遵守するのみならず、むしろ形作っていくことが不可欠になるでしょう。 債券市場はESG関連の取り組みに対して資金を提供すると同時に、利益獲得の機会も提供する独自の地位を築いている。 「ESG投資と債券:新たなニューノーマル?」を読む
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