PIMCOブログ

中国の社債:2018年の5つのテーマ

ペースが鈍化するとはいえ、商品以外のセクターの持続的な拡大は、売上高と利益の伸びが続くことを意味しています。

中国のオフショア社債市場は、投資適格級の国有企業および民間企業の旺盛な資金調達ニーズを背景に、2018年も成長を続けるものとみられます。この市場は、様々な需給要因やマクロ経済要因により、過去12ヵ月、並外れた回復力と底堅さを示してきました。これを受けて中国はエマージング債の発行をリードする立場となり、グローバル・クレジット・インデックスで存在感を増しています。以下では、オフショア市場における米ドル建て中国社債を来年も牽引するとみられる、5つのボトムアップのテーマについてご説明します。

  1. 多年にわたる生産統合と不動産の在庫調整
    2017年第3四半期の中国製造業の設備稼働率は76%となり、2年ぶりの高水準に回復しました。この背景には、サプライサイドの改革、外需の増加、内需の回復など多くの要因が挙げられます。中国の住宅市場はクールダウンするものの、こうした需給の改善は今後も続くとみられます。住宅用不動産の在庫は、旺盛な需要を背景に、ティア1(政府直轄4市)、ティア2(省都、副省級市クラス)、ティア3(地級市クラス)の一部で、数年来の低水準にあります。ただ、投機抑制を目的とする地方政府の規制の影響が出始め、平均住宅価格の上昇ペースは鈍っています。不動産価格や売買件数は来年も沈静化が続くとみられますが、在庫がタイトであることから暴落する可能性は低いとみています。

  2. 企業の価格支配力
    コアインフレ率と非商品セクターの生産者物価の上昇は、生産者がコストの上昇を消費者に転嫁しやすくなっていることを示唆しています。例えば市場調査会社のチャイナ・マーケット・モニターによれば、冷蔵庫、エアコン、洗濯機などの家電製品の価格は、昨年10%前後上昇しています。この背景として、主原料である鉄金属の価格が足元で大幅に上昇していることが挙げられます。

  3. 非商品セクターの拡大
    企業の価格決定力の向上を背景に、エレクトロニクス、テクノロジー、機械、ヘルスケア、住宅などの商品以外のセクターが、鉱工業の売上と利益の伸びの牽引役として台頭しています。

  4. 設備投資の伸びのばらつき
    2018年の固定資産投資の伸びは鈍化するとみられますが、民間部門、とりわけ製造業における設備投資の高い伸びが、国有企業の伸び率の低下を一部穴埋めするものと予想しています。現サイクルの設備投資の牽引役は、新規のプロジェクトではなく、既存の設備や機械の更新です。理論的には、この投資で生産性が向上することになり、民間部門でより顕著になるはずです。中規模から大規模の民間不動産開発業者は、2016年以降、土地を担保とした借り入れによる積極的な開発を進めてきましたが、来年の投資は鈍るとみられます。

  5. クレジットのファンダメンタルズの分散
    投資適格債のクレジット指標は、EBITDA(利払・税引・減価償却前利益)の改善で向上していますが、債務水準は、合併・買収(M&A)と設備投資の伸び鈍化で、引き続き横ばいです。ハイイールド社債については、不動産、商品、製造業の主要企業でEBITDAが改善したことにより、クレジット指標は2016年以降、やや安定化しています。オフショア市場で発行された米ドル建てハイイールド社債のデフォルトは、概ね個別の問題であり、デフォルト率は2%前後と低水準にとどまっています。良好なファンダメンタルズを踏まえれば、当面、デフォルト率は低水準にとどまると予想しています。

投資へのインプリケーション

中国における非商品セクターの持続的な拡大は、ペースは鈍化するものの2018年も売上と利益の伸びが続くことを意味しています。基本的に信用力の高い中国債を選好しており、特に政府の手厚い支援が期待できる「政策」的国有企業、単独でもファンダメンタルズが良好な「商業」ベースの国有企業、また中国のニュー・エコノミーで活躍する民間企業を高く評価しています。これらのセグメントでも、中国の投資適格債が先進国の社債をアウトパフォームしている現状を踏まえ、利回り曲線の異なる点で相対価値を慎重に検討します。

グローバル経済と中国の短期的なマクロの見通しについては、最新の短期経済予測「これ以上は望めない」をご覧ください。

「これ以上は望めない」を読む

ラジャ・ムケルジー は、ポートフォリオ・マネージャー。PIMCOのアジアのクレジット・リサーチの責任者

著者

Raja Mukherji

アジア・クレジット・リサーチの統括者

プロフィールを見る

Latest Insights

PIMCOの視点

国連の持続可能な開発目標:影響度によるパフォーマンスの測定

PIMCOのESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みの重要な目的の一つは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を対話に取り入れることです。PIMCOがESGへの取り組みを進めていく際、どこに重点を置き、どう説明責任を果たすのか、そして最終的には影響度合いを測る際の枠組みの一つになりうるからです。

関連コンテンツ

ご留意事項

全ての投資にはリスクが伴い、価値は下落する可能性があります。
過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。本資料には、本資料作成時点でのPIMCOの見解が含まれていますが、その見解は予告なしに変更される場合があります。本資料は情報提供を目的として配布されるものであり、投資助言や特定の証券、戦略、もしくは投資商品の推奨を目的としたものではありません。本資料に記載されている情報は、信頼に足ると判断した情報源から得たものですが、その信頼性について保証するものではありません。
運用を行う資産の評価額は、組入有価証券等の価格、デリバティブ取引等の価値、金融市場の相場や金利等の変動、及び組入有価証券の発行体の財務状況や信用力等の影響を受けて変動します。また、外貨建資産に投資する場合は為替変動による影響も受けます。したがって投資元本や一定の運用成果が保証されているものではなく、損失をこうむることがあります。運用によって生じた損益は、全て投資家の皆様に帰属します。弊社が行う金融商品取引業に関してお客様にご負担頂く手数料等には、弊社に対する報酬及び有価証券等の売買手数料や保管費用等の諸費用がありますが、それらの報酬及び諸費用の種類ごと及び合計の金額・上限額・計算方法は、投資戦略や運用の状況、期間、残高等により異なるため表示することができません。
債券市場への投資は市場、金利、発行体、信用、インフレ、流動性などに関するリスクを伴うことがあります。ほぼ全ての債券及び債券戦略の価値は金利変動の影響を受けます。デュレーションの長い債券及び債券戦略は、より短い債券及び債券戦略と比べて金利感応度と価格変動性が高い傾向にあります。一般に債券価格は金利が上昇すると下落し、現在のような低金利環境ではリスクが高まります。債券取引におけるカウンターパーティーの取引能力の低下が市場流動性の低下や価格変動制の上昇をもたらす可能性があります。債券への投資では換金時に当初元本を上回ることも下回ることもあります。外貨建てあるいは外国籍の証券への投資には投資対象国の通貨価値の変動や経済及び政治情勢に起因するリスクを伴うことがあり、新興成長市場への投資ではかかるリスクが増大することがあります。本資料で言及した投資戦略が、あらゆる市場環境においても有効である、またはあらゆる投資家に適するという保証はありません。投資家は、自らの長期的な投資能力、特に市場が悪化した局面における投資能力を評価する必要があります。投資判断にあたっては、必要に応じて投資の専門家にご相談ください。