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不動産市場:バブルか風船か

在庫は記録的な低水準にあり、政府による規制緩和の余地も極めて大きい状態で、中国の不動産市場は徐々に減速していくと予想しています。

国の不動産「バブル」が世界中で長く懸念されてきましたが、中国不動産市場はこれまでうまく持ちこたえています。中国政府は、市場をクールダウンさせるためにさまざまな緊縮政策を実施してきましたが、不動産に対する需要は根強く、大きな価格の下落は見られていません。

都市化の進展、大量の流動性、投資機会の欠如など、多くの要因が中国の不動産セクターを下支えしています。PIMCOは2018年の間に市場の拡大ペースは緩やかになるとみていますが、特に大手の不動産デベロッパーなど、このセクターは債券投資家にとって有望だとみています。

都市化と住宅需要

2000年に36%だった都市部の人口比率は、今や中国全体の58%まで上昇しています。この間、3億人が農村から都市に移住し、新しい住居に対する膨大な需要を生みました。

地域や都市によって、需要の大きさはまちまちです。一般的には、人口流入も多く力強い経済成長に支えられた東部沿岸部の不動産市場の人気が最も高くなっています。しかし一方で、高騰する不動産価格に対し、政策による規制強化のリスクも高まっています。内陸部のほとんどの下級の都市は人口流出が続き、基本的に見通しは明るくありません。

政府の介入により、市場の安定を維持

広義のマネーサプライを示すM2は、過去20年2桁で増加しています。資本規制により、一般の中国人はその資金を海外市場で運用することが制限されてきたうえ、国内投資についても利用可能な手段は限られています。国内金利は(債券利回り、銀行預金共)低く、国内株式市場は著しく不安定なことで有名です。その結果、中国の不動産市場は最も魅力的な投資の選択肢のひとつとなっています。これがバブルの可能性が懸念される理由ですが、中国の不動産市場は、このセクターに対する政府のスタンスに大きく影響を受けます。

中国政府は、(たとえば、2009年の世界金融危機の時のように)市場が急速に沈静化すると、下支えする傾向があります。しかし大半の場合、特に主要な沿岸部の都市において、当局は暴走する不動産価格をコントロールするよう規制を敷きます。直近の規制強化は、不動産市場が力強い回復を見せた2016年終盤に始まり、政策は住宅購入規制から、新規住宅開発に対する価格上限の設定や、住宅購入者やデベロッパーへの与信規制まで、広範囲に及びました。 それ以来、30%を超えていた市場の成長率は、1桁の前半まで低下しています。

中国政府は、是が非でも不動産価格の急騰は避けたいという意思が強いため、近い将来に規制が緩和される様子はみられません。従って、2018年の中国の不動産市場は緩やかに減速するとみています。在庫は記録的な低水準にあり、政府による規制緩和の余地も極めて大きいことから、近い将来のマーケットクラッシュは極めて起こりにくいと考えています。

投資に対する意味合い:不動産セクター内の統合が機会を生む 

 近年政府は、国内消費を刺激し、ハイテク企業によるイノベーションを支援することで、経済のバランス修正に努めていますが、不動産がGDP成長率に最も大きく寄与するセクターであることに変わりはありません。PIMCOの推計では、中国の不動産市場は約22兆ドルで、2017年の中国のGDPの約1.8倍となっています。

ここ数年、当セクターにおける最も顕著なトレンドは統合の加速です。2006年には、中国の不動産デベロッパー上位10社のマーケットシェアは5.4%に過ぎませんでしたが、昨年には25%近くまで上昇しています。大手のデベロッパーは、低コストの幅広い資金調達手段への道が開けています。

 PIMCOでは、鍵となる債券投資の機会は大手不動産デベロッパーにあるとみており、セクター内の統合のメリットを享受できると同時に、信用力の向上も見込まれます。近年では、中国のデベロッパーは、急成長を支える資金を獲得するために、米ドル建てオフショア債券市場を活発に利用しています。このセクターの債券発行残高は940億ドル以上にのぼります。そのうち、約740億ドルがハイイールド債で、JPモルガン・アジア・クレジット・インデックス(JACI)-ハイイールドの30%以上を占めています。 

中国デジタル経済の成長に関するPIMCOの最新のブログ記事「中国の成長バランス修正が債券投資家に好機(英文のみ)」をご覧ください。 

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フランク・チェンは、PIMCO香港オフィスのクレジット・リサーチ・アナリストで、PIMCOブログの定期寄稿者。

著者

Frank Chen

クレジット・リサーチ・アナリスト

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