昨今、世界中の投資家はリスクテイクとリスク管理の微妙なバランス調整に苦慮しています。経済成長に翳りが見え始め、資本コストの増加、金融環境の悪化、市場ボラティリティの上昇などの複合的な要因から、金融市場の見通しにも不確実性が高まっています。

そのなかで、イールドカーブの短期ゾーンが適正なバランスとみられる投資家もいます。ショート・ターム債券戦略(米国では税制上有利な地方債を含む)のアクティブ運用には、以下のようなメリットがあります。

  • 激しい市場の動きに対する防御性
  • 現在および将来の支出ニーズに対し、中長期債券よりも高い流動性
  • 一時的な投資機会発生時のリスクテイクに対する柔軟性
  • わずかなリスク追加により、伝統的なキャッシュ運用を上回るリターンとインカムの可能性

バランスの達成

元本を確保しながら魅力的なリターンを求める投資家は、現在の市場環境においてさまざまなバランス調整が必要です。

成長と期待金利のバランス調整 米国はいまのところ2%を超える安定した成長を続けていますが、米連邦準備制度理事会は、現在の政策金利をほぼ中立とし、政策担当者の関心はインフレ率引き上げに移っているようです。このような不透明な金利環境下において、投資家は柔軟性を備えておく必要があります。ショート・ターム債券戦略は、金利リスクを抑えた短いデュレ―ションで、負担するリスクはわずかに増えるものの、伝統的なキャッシュ運用を上回るトータルリターンが期待でき、投資家の資産の購買力保持に役立つ可能性があります。ショート・タームの資産クラスの利回りは、(ブルームバーク・バークレイズ1-3年米国債/クレジット・インデックスでみると)現在2.66%で、S&P500の配当利回り1.93%よりも高く、10年物の米国債並みとなっています。また、 米国の投資家向けの地方債ショート・タームセクターの最低利回りは、(ブルームバーグ・バークレイズ1年超地方債インデックスでみると)現在1.80%で、課税相当利回りでは3.04%*となります。ショート・ターム戦略のアクティブ運用では、利回りはさらに高まる可能性もあり、トータルリターン向上に向けてキャピタルゲイン獲得の機会も窺えます。

リターンとボラティリティのバランス調整 金融環境が厳しくなったこともあり、昨今ボラティリティは上昇しています。昨年11月、12月の株式やその他の資産急落に見られるように、これまでよりも投資家のリスク許容度は低くなっています。ショート・ターム債券戦略は低ボラティリティ投資の選択肢の一つであり、市場ストレスが高まった時には、高リスク資産よりも下落幅は小幅に止まるでしょう。ショート・ターム債券戦略のアクティブ運用では、市場混乱期には信用リスクなどのリスク管理を行い、モーゲージ債や資産担保証券等、高格付けの他の資産にエクスポージャーを分散します。

流動性の守りと攻めのバランス調整 景気サイクル後期にある現状、流動性の維持は投資家にとって非常に大切な防衛手段と言えます。一方で、2018年11月、12月のように市場の下押し圧力が強まった場合、投資家は積極的にポートフォリオのリターン向上の機会を窺って、流動性の供給者となり、魅力的な価格で資産を購入することもできます。ショート・ターム債券戦略のアクティブ運用では、流動性をコントロールしつつ、魅力的なリターンの可能性を追求することができます。

バランスのとれたソリューション

ボラティリティと不確実性が高まる中で、ポートフォリオのバランスを求める投資家にとって、課税ショート・ターム債券戦略や地方債ショート・ターム戦略はポートフォリオ全体のリスクを下げつつインカムを獲得し、高リスク資産に比べ良好な流動性の維持を図る上で手近な解決策となるでしょう。

著者

Jerome M. Schneider

ショートタームおよびファンディング・デスクの統括責任者

Tina Adatia

プロダクト・ストラテジスト

Kenneth Chambers

債券ストラテジスト

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ご留意事項

*米地方債の課税相当利回りは、ブル―ムバーグ・バークレイズ地方債インデックスに基づくものです。総合税率40.8%は、連邦税37%にメディケア税率3.8%を加味したものです。 PIMCOは法律及び税金に関する助言はご提供しておりません。税金及び法律に関する具体的な質問や問題につきましては、税金及び法律の専門家にご相談ください。

地方債のデータは、2019年1月31日現在のバークレイズ・ライブより入手したものです。

全ての投資にはリスクが伴い、価値は下落する場合があります。債券市場への投資は市場、金利、発行体、信用、インフレ、流動性などに関するリスクを伴うことがあります。ほぼ全ての債券及び債券戦略の価値は金利変動の影響を受けます。デュレーションの長い債券及び債券戦略は、より短い債券及び債券戦略と比べて金利感応度と価格変動性が高い傾向にあります。一般に債券価格は金利が上昇すると下落し、現在のような低金利環境ではリスクが高まります。債券取引におけるカウンターパーティーの取引能力の低下が市場流動性の低下や価格変動制の上昇をもたらす可能性があります。債券への投資では換金時に当初元本を上回ることも下回ることもあります。米国において地方債による利子収入は、連邦税は非課税ですが、州税および地方税、場合により代替ミニマム税の課税対象となることがあります。マネジメント・リスクとは、PIMCOが用いる投資手法およびリスク分析が望んだ結果を生まないリスク、また、政策や変更等が戦略の運用においてPIMCOが利用可能な投資手法に影響を及ぼしうるリスクを指します。分散投資によって、損失を完全に回避できるわけではありません。本資料で言及した投資戦略が、あらゆる市場環境においても有効である、またはあらゆる投資家に適するという保証はありません。投資家は、自らの長期的な投資能力、特に市場が悪化した局面における投資能力を評価する必要があります。投資判断にあたっては、必要に応じて投資の専門家にご相談ください。