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アジア債券:今こそ厳選した銘柄選択とアクティブ運用を

ファンダメンタルズの格差拡大によりリターンの格差も広がり、アジア債券のパフォーマンスには大きなばらつきが出るでしょう

PIMCOでは最新の短期経済展望において、今回の景気後退が通常とは異なる理由を説明しています。すなわち、経済の一時的な部分封鎖がコロナウイルス拡散防止のために必要と判断し、史上初めて政府によってもたらされた景気後退である点です。景気後退の原因がこのように特異なため、その深さと長さもこれまでのものとは大きく異なる可能性があります。世界経済と金融市場は、短期的に激しい痛みを感じる段階から、向こう6カ月から12カ月で徐々に治癒する段階へ移行すると予想していますが、参考になる過去の事例はほとんどありません。

緩慢な回復が見込まれる中国経済

コロナウイルスの影響を最初に受けた中国では、その経済損失は甚大で、ほぼ前例の無い規模だと言えるでしょう。2020年第1四半期の景気は後退し、GDPは前期比9.8%の減少を予想しています。

3月と4月の製造業のPMIデータは、成長と縮��の境目である50を上回りましたが、世界にウイルスが拡散するにしたがって輸出が継続的に停滞したため、新規受注は低下しています。発表頻度の高い消費、不動産販売、電力消費、工場稼働率などの主要な経済指標は、通常レベルの半分から9割の水準で推移しています。また、注目すべき点として民間の債務水準があげられます。中国ではこれまで10年にわたって、信用供与を経済拡大の主要な手段として利用してきた結果、民間の債務額は急速に増加してきました。今後も一時的に増加する可能性はありますが、政府は金融リスクを注意深くモニターしており、世界金融危機後と同じよう規模での急速な拡大は見られないと考えています。

抑制政策の緩和に加え、中国政府による膨大で迅速な金融及び財政政策による対応をもってしても、昨年第4四半期の生産水準に戻るには、おそらく2021年の第1四半期までかかるとみられます。

アジア市場の回復はドル資金と原油価格に依存

米連邦準備制度理事会(FRB)は市場の流動性確保のために、3月中旬にさまざまな対策を打ち出し、アジア市場でもその後改善が見られました。各国それぞれの経済活動に加え、2つの要因がアジア地域の回復スピードに大きな影響を与えると考えています。一つ目は、ドルの調達コスト引き下げ対策として、世界の多くの中央銀行と、FRBがドル資金へのアクセスを高めるスワップやレポの取引ラインを設定したことです。これによりドル建て資金需要の激化が回避され、現地通貨急落のリスク発生を避けることができるかどうかに注目しています。

二つ目は、原油価格の動向で、OPECプラスのメンバー国が原油供給削減に合意したものの、これにより急速な需要の減少に対応できると市場が確信を持っていないと思われる点です。アジアのほとんどの国は原油輸入国であり、原油価格暴落は全体的にはプラスに働くでしょう。

投資への意味合い:金利低下、一層のIT化、中国の不動産に対する政策緩和

アジアの中央銀行は、今後数カ月間金融緩和スタンスをとるでしょう。成長回復に向けて良好な環境を整えるため、利下げ、預金準備率の引き下げ、量的緩和やその他の手段による流動性供給など、さまざまな政策手段を講じると考えています。そのため、金利に敏感なセクターや公益セクターをはじめ、こうした中央銀行の緩和政策プログラムの恩恵を直接受けるセクターのパフォーマンスは堅調となるでしょう。

また、アジアのハイテクセクターについては、前向きな見方を維持します。他の経済の分野が大混乱を来たしているなかで、ハイテクセクターは長期トレンドに沿った成長を続けるでしょう。ソーシャルディスタンス(社会的距離)が浸透し、経済の一部では今後さらにデジタル化のスピードが加速すると考えられます。ハードウエアからeコマース、オンライン・エンターテインメント、クラウドベースのサービスまで、ハイテク関連のビジネスが恩恵を受けるでしょう。

中国の不動産セクターも、投資妙味に富んだ銘柄選択の機会を提供してくれると考えています。この数年間、中国政府はこのセクターに対し厳格な政策姿勢を取ってきましたが、国内の経済成長促進のため、それらの政策手段は緩和されると考えています。当セクターは、賃金上昇率の低下や失業者の増大もあり、新型コロナウイルスによって全体的にはマイナスの影響を受けていますが、政府は不動産業界に対する政策スタンスを全般に中立に戻し、都市ごとに緩和政策を進めていくでしょう。先月には何社かの先行企業に対し起債が正式に認可され、資金調達は問題なく実施されており、不動産デベロッパーの国内の債務による資金調達も容易になるでしょう。

このような現状はアクティブ運用にとって望ましく、投資機会を厳選すべき時だと考えます。ファンダメンタルズの格差拡大により、信用力の違いからリターンの格差も広がり、アジア債券の運用パフォーマンスには大きなばらつきが生じるとみられます。市場ボラティリティの高い状況は今しばらく続くとみられることから、PIMCOでは、資金投入には冷静な判断が重要で、柔軟性を維持することが大切だと考えています。

2020年の中国、米国、その他主要な世界市場に対する見通しに関する詳細は、PIMCOの最新の短期経済展望「多くの景気後退の先に-地域別経済展望」をご覧ください。

スティーブン・チャンはPIMCO香港オフィスを拠点とするポートフォリオ・マネージャー

1 出所:中国国家統計局、中国物流購買連合会
著者

Stephen Chang

ポートフォリオ・マネージャー

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