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アジア⻑期⾒通し: 注目が集まる中国の共産党全国大会​​​

7年以上にわたって拡大を続けてきた世界経済は、金融、財政、通商、外交、為替の政策分野で、その方向性と規模において転換を迫られています。とりわけ中国およびアジア新興国の⻑期的な⾒通しを左右する転換点が、今秋に控える共産党第19回全国代表大会です。この大会を受けて、中国指導部は、経済、通商、内政、外交の分野でどのような舵取りを行っていくのでしょうか。

習近平国家主席の意図が⾒えにくく、経済改革の手腕が未知数であるなど不確実性が高いことから、様々なシナリオが考えられます。中国は、金融市場の自由化、過大なレバレッジや影の銀行システムへの対処、さらに国有企業の資源や資本を転換するコスト管理でも相当な困難に直面しています。

基本シナリオでは、中国の経済成⻑率は足元の6.5%前後から5.5%前後に徐々に減速するとみています。共産党第19回全国代表大会を受けて、習近平国家主席は「なりふり構わない成⻑」モデルからの脱却を目指すことになります。この基本シナリオでは、⼈⺠元レートは秩序立って切り下げられ、現行の資本規制で外貨準備の損失を十分に抑えられるとみています。

明るい見通しはあるが……
より楽観的なシナリオも考えられます。習国家主席が第19回全国代表大会で⾒事な采配をふい、固まった地盤を踏み台にして、政策不全に終止符を打ち、経済の効率を高める主要な改革に乗り出します。投資・輸出主導の経済モデルから消費・サービス志向の経済モデルへの転換が図られます。こうした楽観シナリオでは、経済成⻑率は足元の6.5%を上回る水準を維持し、壊滅的な⼈⺠元の切り下げは回避され、変動相場制への緩やかな移行がスムーズに進むと考えます。

トランプ大統領と習国家主席は、通商政策、為替政策、さらには北朝鮮のミサイル計画の凍結や縮小などの地政学的問題も含め、重大な取引の合意に達することが考えられます。

……だが、ダウンサイド・リスクが大きい
しかしながら、中国については弱気シナリオも存在します。このレフト・テール・シナリオでは、第19回全国大会が構造改革を後押しする契機にはならず、政策が不発に終わる悪循環に陥ります。

このダウンサイド・シナリオでは、経済は停滞し、デフォルトが相次ぎ、影の銀行システムが膨張して、経済成⻑率は急低下します。米国が中国からの輸入品全般の関税を引き上げ、これを契機に二国間の貿易戦争が勃発します。中国は世界経済を破壊しかねない⼈⺠元の切り下げを実施し、これにより資本逃避が加速し、巨額の外貨準備が流出します。中国⼈⺠銀行は為替レートのコントロールを維持するための引き締めを余儀なくされますが、うまくいきません。不動産価格と株価は暴落し、中央銀行はペッグ制を断念せざるをえなくなり、⼈⺠元は変動制に移行、資本流出が加速し、世界市場にリスク・オフと不信感が蔓延するといったシナリオです。

最も可能性が高いのは基本シナリオですが、中国のリスクはいくぶん下方に偏っているとみています。世界経済にとってもエマージング市場にとっても、中国は引き続き大きなリスク要因です。

より詳しい世界経済の⻑期⾒通しについては、2017年⻑期経済予測(セキュラー・アウトルック)の「転換点」をご参照ください。

アイザック・メンは、エマージング・マーケット担当のポートフォリオ・マネージャー。主に中国のマクロ経済と財務分析を担当。ルーク・スパイッチは、アジアのエマージング市場ポートフォリオ運用の統括責任者。アジア・クレジット・ポートフォリオの運用を担当。

著者

Isaac Meng

エマージング・マーケット担当のポートフォリオ・マネージャー

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